レジェンドには雨が良く似合う。

ここしばらくずっと気になっていた大井競馬所属のマンダリンヒーローが、遂に補欠からの繰上げでケンタッキーダービーに出走叶った、というのは、この週末の嬉しいニュースの一つだった。

だから、土曜日の夜はJRAの海外馬券の購入サイトに飛び、微かな夢を託して眠りについたのだが・・・。

現実は厳しい。

起きてすぐ見たレース動画(残念ながら録画・・・)の高速英語実況はいつもながらほとんど聞き取れなかったが、マンダリンヒーローがリッチストライク*1になれなかったことだけは良く分かった。

日本のメディアでは順位すら報じられないほどの惨敗*2

そして、気持ちを切り替えようと外を見たら「連休」の最終日なのに降り続く激しい雨。

正直、そのまま週末が終わってしまっても全く不思議ではなかったのだが、そうならなかったのは、日本にも競馬があったから・・・。

大雨が降って芝もダートも馬場が荒れた日は、直近数走のデータには目をつむり、「重・不良実績」のある馬をひたすら指名する。そうすることで、的中率も回収率も格段に上がる・・・という当たり前のことに気付いてから、雨の日の競馬ほど楽しいものはないな、と思うようになり、そしてそれはこの日も決して例外ではなかった。

ちょこちょこと中穴を的中させた末に、雨の新潟で15番人気が絡む馬券を立て続けにゲット。

その過程では、来週からしばらく乗れなくなる若手騎手たちが、必死の騎乗で勝ち星を挙げる*3、という美しい景色も目撃した。

そしてめぐってきたのは、この日の東京メインの3歳GⅠ、NHKマイルカップである。

確固たる本命不在、と言われたレースで、1番人気のカルロヴェローチェですら単勝5.7倍。10倍を切る馬が6頭もいる混戦模様の上に、このレースに限っては人気サイドの馬にはそれなりに湿った馬場への実績もある。

なので最後は、父馬の名を見て「えいや」とばかりに、オオバンブルマイウンブライル(+ついでにドルチェモア)の組み合わせ、というワイド馬券に逃げてしまったのだが・・・


雨で濡れた馬場にしてはハイペースで進み、先行勢が総崩れとなった最後の直線で、猛烈な脚を使って追い込んできたタフな2着、3着馬の姿を見て、自分が狂喜乱舞したのは言うまでもない。

そして、そんな瞬間的な小市民的歓喜の次にやってきたのは、9番人気のシャンパンカラーが勝った、という事実への驚きだった。

何といっても鞍上は御年52歳の内田博幸騎手で、大井のNo.1騎手として鳴り物入りで中央入りしたのはかなり昔のこと、ここ数年はGⅠどころか重賞の勝利すら挙げていなかった*4にもかかわらずの激走、である。

そういえば、雨といえばウチパク。

2008年の宝塚記念、重馬場の阪神芝2200mをエイシンデピュティで逃げ切って、当時国内中長距離最強のメイショウサムソンに土を付けたのは紛れもなくこの騎手だったし、よく考えたら16年前のこのレースで内田騎手がブービー人気(17番人気)のピンクカメオを操って豪快な差し切り勝ちを決めた時も雨だった*5、ということに気付いたところで、レースが終わった後では大した意味はない。

ただ、3着に入ったオオバンブルマイ武豊騎手との年齢の合計が、2着の横山武史騎手の年齢の4.4倍、という驚異的な”長老ワールド”を見られたこと自体が実に幸運なことだったと思うし*6、何よりも、マンダリンヒーローの夢がついえた数時間後に、未だ「大井」の記憶と共にあるこのジョッキーが大一番での勝利を挙げた、というところに、こじつけではない何か、を感じた、ということは、ここに書き残しておきたいと思っている。

*1:昨年のケンタッキーダービーで補欠から繰り上がって出走し、優勝して大波乱を巻き起こした馬。

*2:結果的には12着だったようである。

*3:角田大河騎手、永島まなみ騎手が2勝ずつ、古川奈穂騎手も1勝。

*4:直近の重賞勝ちが2020年セントライト記念のバビット、GⅠとなると2018年のノンコノユメまで遡る。

*5:しかも傑出した人気馬がいなかった(2着に来た1番人気のローレルゲレイロ単勝5.5倍だった)、という点でも今年と共通点は多かった。

*6:52歳でGⅠを制覇しても武豊騎手が勝ち続ける限り「最高齢」記録を更新できない、というのがこの世代の騎手たちの悲しいところではあるが。

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