どんな世界でもカレンダーがめくられていくスピードは速い。
自分の中では、「ついこの前カタールでやってた・・・」という気分のサッカーW杯も、気が付けば「アジア最終予選」が始まってしまい何とも・・・という気分ではある。
で、この「最終予選」、メディアの煽りを受けるまでもなく、既にW杯常連国となったこの国にとっても長らく”鬼門”だった。
特に↓のエントリーにもあるとおり、4年前、カタールW杯最終予選の出だしの酷さは未だに生々しい記憶として残っていたりもするわけで、「W杯本戦に出ることが当たり前」ではなかった時代を生きてきた者としてはこれはこれでスリリングでよいのだけど、そうはいってもメディアが一喜一憂してざわつくのは鬱陶しいな・・・という通過儀礼でもあった。
k-houmu-sensi2005.hatenablog.com
ところが、蓋を開けてみれば、躍進著しい、という触れ込みだった中国相手に
7‐0にて圧勝。
ほぼリアルタイムで観戦していたが、フィールドの選手たちの動きの質は相手チームと明らかに異なっていたし、「いつでもどこからでも点が取れる」という雰囲気すら漂わせていた攻撃陣の充実ぶりはこれまでにないレベル。
ホームでの開催だったことを差し引いても、「次元が違う」という表現がぴったり当てはまる、そんな展開と結果だった。
年始のアジアカップで苦戦を強いられ、最後はほとんど見せ場なくベスト8で姿を消したあの代表チームはどこへ行ったのか・・・。
ひいき目で見すぎ、と言われるかもしれないが、2月の屈辱のアジアカップの後、U-23日本代表が五輪最終予選を兼ねたAFC U-23アジア杯を優勝し、本戦でもオリジナルメンバーだけで戦った末にこれまでとは一回り違うクオリティを見せたあたりから、まだ一段フェーズが変わってきたのかな、と思うところはある。
かつて「大きな大会で活躍して海外へ」というのが定番だった国内若手選手たちは、「大きな大会を待たずして」海を渡る、というマインドに切り替わり、代表チームの中で「海外組」はもはや珍しくもなんともない、当たり前の存在になった。
そして、毎週同じピッチで各国の代表レベルの選手たちと戦い続けている選手にしてみれば、「世界の強豪と戦う」ことに憧れを抱いていたのは遥か昔の話で、予選から本戦まで「目の前の試合でどう勝つか」というのが今のマインドなのだろうな・・・と思えるようなエピソードに触れる機会も最近では多い。
そうやって蓄積されてきた経験と、完全に塗り替えられたマインドが、日本代表をまた新たな地平へと引き上げた…などと言ってしまうのは、勇み足に過ぎるだろうか。
もちろん、この日の「7‐0」だけで手放しで喜んで良いはずもない。
「マインドの変化は2022年のW杯の時点で既に言われてただろ、でも結局その後アジアでも苦戦を強いられたのが今の代表じゃない」という突っ込みは当然あるだろうし、欧州各国のシーズンが佳境を迎え、コンディションに難を抱える代表選手が増えてくれば、再び苦しい試合を強いられるようになることも覚悟しなければいけないのかもしれない。
ただ、これまで何度もフル代表チームの「美しい試合」を目撃し、そのたびに「いよいよブレイクスルーの時が来たか!」と心躍らせては次に来る失望を味わってきた者として、「今度こそ」という思いはあるだけに、今度も一日でも長くポジティブな思いで眺め続けていられることを今は願うのみである。