127回目のファンファーレの末に。

レース数はそれなりにあるとはいえ、有力馬の手綱が一部のトップ騎手に集まる今の中央競馬で、若手・中堅騎手にとっての”GⅠ”のタイトルはなかなか遠い。

3度、4度の挑戦で取れたら超エリート級で、技術に定評があってコンスタントに騎乗馬を集めている騎手ですら、デビュー10年超、数十回の騎乗を経てようやく・・・というのは決して珍しい話ではない*1

だが、今年のスプリンターズS、8歳馬のウインカーネリアンで初のGⅠタイトルを奪った三浦皇成騎手の「127回目」という数字は、さすがにギネス級、というべきだろう*2

デビュー18年目、実質的にGⅠに騎乗できるようになってからまだ17年くらいしか経っていないことを考えると、年7.5回ペース(年間の国内GⅠレースの3分の1くらい)騎乗している、ということ自体がかなり凄いことではあるし、それでも勝てていなかった、というのが”競馬界の七不思議のひとつ”と言われた由縁でもあるのだが、その連敗記録を11番人気の8歳馬で、しかも、2歳時から騎乗しそれまでの8勝全て自分の手綱で挙げていた、という今どき珍しいくらいの一途な馬で止めた、というのが、とことんドラマティックだな・・・と思わずにはいられない。

50歳代現役の騎手もゴロゴロいる今の中央競馬界で「35歳」という年齢は全く老け込む年代ではないように思う一方で、ここ数年50勝前後の勝ち鞍に甘んじている三浦騎手に往時の勢いはない。

ただ、一瞬ブレイクしたと思っても、次の瞬間には表舞台から姿を消してしまう、流れ星のような若手騎手も多くなってしまっている目下の状況で、三浦騎手が積み重ね続けている「1121」の勝ち星にはまた重みがあるわけで、この1勝をきっかけに、再び関東のトップジョッキーとしての輝きを取り戻してくれればな、というのが、自分の切なる願いである。

*1:2022年高松宮記念丸田恭介騎手はデビュー16年目、2024年ヴィクトリアマイル津村明秀騎手はデビュー21年目、48戦目の挑戦にして悲願の初GⅠ、だった。

*2:101回目のプロポーズ」に象徴されるように、数字が3桁になると、俄然希少価値が増す。

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