「ジャパンカップ」がこの国を代表する国際レースだったのも今は昔。
昨年まで19年連続で、優勝したのは日本調教馬だったし、一時は馬柱に「カク外」の表示を見ることすらできなくなっていた時もあった。
それでも、日本を代表する馬が豪快に勝てば、それはそれでまだよかったのだが、時には国内組の中でも??という馬が勝ったりするものだから、そんな状況を憂いて呟きのエントリーを上げたのはつい3年前の話である*1。
k-houmu-sensi2005.hatenablog.com
そんな中、「世界は広い」ということを20年ぶりに知らしめてくれたフランスからの刺客・カランダガン。
今年のドバイシーマクラシックではダノンデサイルの後塵を拝したものの、目下、欧州のGⅠ3連勝中。明らかにここ数年の来日馬とは格も勢いも違っただけに、当然馬券の候補には入れていた。
だが、まさかあの”永久不滅”と思われたアーモンドアイのレコードタイムまで塗り替えて優勝をかっさらっていってしまうとは・・・。
20年前にアルカセットが勝った時は、「レコード走破」でも破ったのは同じく外国調教馬だったホーリックスのタイム。そして、まだまだ日本調教馬と外国調教馬が勝ったり負けたり、という時代だったからそこまで特別な印象は受けなかったのだが、今回は20年ぶりの外国調教馬勝利であり、破られたのもこの国が誇る名牝・アーモンドアイが作った記録・・・となれば心穏やかで済むはずがない。
レース後も続いたラジオの実況を聞きながら、「2着に敗れたとはいえ、天皇賞・秋に続いて好走したマスカレードボールもアタマ差で勝った馬と同タイムだから、それはそれで日本の矜持は保たれた」とかなんとか、全く慰めにならない理屈で心を鎮めようとしていた。
レースが終わって約1時間後、初めて今年のジャパンカップのレース映像を見るまでは・・・
そこに映っていたのは、驚異的なレコードタイムを叩き出した欧州年度代表馬の「さらに一歩先」を駆け抜けた芦毛の馬。
スタート直後に川田騎手が落馬して、場内のざわめきとともに2度その名を呼ばれて以来、音声実況の中では完全に”消されていた”4歳馬・アドマイヤテラこそが、このレースの「主役」だったのだ。
騎手を振り落とした”カラ馬”が、軽くなった背中を好機として気持ちよくレースを続ける、というのはよくある話だが、所詮は制御する鞍上を失った馬。
大抵、レースの勝負所となる3コーナー、4コーナーでは逸走して画面から消えていくのが常である。
ところが、アドマイヤテラは最後のコーナーまで器用に回って、直線でもしっかり2番手に。そして、マスカレードボールとカランダガンの激しいデッドヒートの横にピッタリつけて、ゴール前さらにもう一伸び・・・というあり得ないような芸当を見せた。
結果、馬本来の賢さに、友道厩舎の日々の調教の成果が見事に発揮されて生まれた「幻の1着」のドラマ。
騎手を失えばその時点で競走中止、以後はどんなに場内を沸かせる走りをしようが、「なきものとして扱われる」というのがこの世界のルールだということは重々承知してはいるが、最後の瞬間に先頭で駆け抜けた馬の名が呼ばれなかったことをこれだけ残念に思えたことはない。
そして、天賦の才を満場の観衆に見せつけた、このアドマイヤテラという馬が、どこかのGⅠの舞台で再び同じクオリティの走りを見せ、今度こそ「世界一速い馬」として、名実ともに「主役」の座を晴れる日が来ることを自分は願わずにはいられない。