先週のジャパンカップの余韻が何となく抜けきれずにいたものの、開催もガラッと変わり、今度は舞台を中京に移して行われたダートのGⅠ・チャンピオンズカップ。
昨年まで連覇を遂げていたレモンポップは既に引退し、どの馬が勝ってもこのレースは初制覇・・・という状況なれど、顔ぶれを見れば、4連勝でジャパンダートクラシックを制覇した3歳馬・ナルカミを筆頭に、ケンタッキーダービー帰りで前走・武蔵野Sも制覇した同じく3歳馬・ルクソールカフェ、デビュー以来6戦で負けたのは門別競馬場開催の一度だけ(それも2着)、中央では5戦無敗、と、レモンポップの初GⅠ時よりも美しい戦歴を持つ・ダブルハートボンド等々、骨っぽいメンバーは揃っていた。
そんな中、昨年、一昨年とレモンポップの2着に入っていたウィルソンテソーロが今年も出走。
ダートに転向するや否や3歳夏の未勝利戦から4連勝を飾り、4歳時には交流重賞3連勝。さらに4歳暮れの東京大賞典からは、帝王賞、翌年の東京大賞典と3度の2着を続け、その間には佐賀で開催されたJBCクラシックもしっかり制覇する、という、まさに高いレベルで安定した力を発揮してきた馬で、特に昨年のこのレースでは、レモンポップに”あと一歩”のハナ差まで迫った実績もあるだけに、6歳で臨む今年は悲願の・・・と言いたいところではあったが、中東遠征から始まった今年はここまでどうにもこうにも波に乗り切れず、勝ったのは僅かに南部杯の1勝だけ。
前走のJBCクラシックでは5着に敗れており、今年同じレースで顔を合わせてきた馬たちとの力関係からしても、優勝はおろか、馬券圏内に絡めるかどうかも微妙だな・・・というのが、正直な予想だった。
だが、中京のこの大舞台は、再びこの馬の本能に火をつけたのか・・・。
過去2年とほぼ同じ枠順からの発走*1なれど、後方待機策から直線外側を回って追い込んできたこれまでとは打って変わり、中位から先団、好位置につけて最後のコーナー回ってきた今年のレース運び。
直線では一瞬、前が詰まるか、と思わせるような窮屈なポジションではあったが、先週の汚名返上に執念を燃やしていたに違いない川田将雅騎手の見事な手綱さばきで内側の進路を切り開き、抜け出しかけていたダブルハートボンドに照準を定める。
好位でしっかり溜めていた分、明らかに脚色が良い状態での叩き合いに持ち込んだ時点で、歓喜の瞬間は目前に見えていたのだが・・・。
写真判定の末、今年も勝ち名乗りを挙げたのは坂井瑠星騎手の方だった。
中央のレースでの連勝記録を「7」まで伸ばしたダブルハードボンド、鞍上はレモンポップから通算して3年連続でこのレースを制覇。
そして、一世一代の豪脚を炸裂させたウィルソンテソーロは、またしても「ハナ差」に泣いて2着となってしまった。
ハナ差でも大差でも、勝った馬の名だけが歴史に残り、負けた馬はいずれ忘れ去られていく、というのが残酷なこの世界の掟だから、どれだけこの負けを惜しんだところで歴史が変わることはない。
ただ、一方で、3着に付けた着差が、昨年の1.5馬身から今年2.5馬身に開いた、というのは決して偶然ではないと自分は思う。
そして、年が明ければまた中央へ地方へ、そして世界へ、と混線する世界線の中で、「中央の大舞台」での悲願達成をそう遠くないうちに目撃できると信じて、この馬をもう少し見守ってみたいと思っているところである。
*1:いずれも青の4枠発走。8番というゲート番は昨年と全く同じ。