国策捜査の極み

佐藤優氏や田中森一氏の活躍もあって、「国策捜査」というタームはもはやすっかり定着した感があるが、個人的にはその原点ではないかと思うようなこの事件。

薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長、松村明仁被告(66)の上告審で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は、4日までに「重大な危険があったのに行政上の対策を怠り、患者を死亡させた」として同被告の上告棄却を決定した。同被告を禁固1年、執行猶予2年とした二審・東京高裁判決が確定する。」(日本経済新聞2008年3月5日付朝刊・第1面)

エイズウィルス混入非加熱製剤をめぐる一大疑獄も、これで全て終結したわけだが、果たして、霞が関の一課長を刑事法廷で断罪することにどれだけの意味があったのだろうか?


医者、行政、製薬会社の三者が槍玉に上がったこの事件で、世論を丸く収めるには、行政からも誰か一人、人身御供を出さざるを得なかったのだろうが、それにしても・・・という思いは拭えない。


なお、「行政の不作為」すら刑事制裁の対象となりうる現実に、喝采をあげるむきは決して少なくないのだろうが、それによって誰かが受けるダメージに思いを馳せるならば、手放しで喜べる方はそうそうはいないはず・・・否、そうであると筆者は信じたい。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html