2月4日に開幕した、4年に一度の冬のスポーツの祭典、ミラノ・コルティナ五輪。
元々、夏のスポーツに比べるとどの競技もマイナーだから、前哨戦や国内選考会等での盛り上がりもないまま「突然始まる」感が強いイベントだし、今回に関しては開幕直後の日程が”高市祭り”と丸被りになってしまったこともあって、始まる前はハラハラしていたのだが、そこは開幕して早々から、選挙の熱に負けないくらい連日連夜ニュースバリューのある結果速報が飛び込んできて、終わってみれば約20日の日程の最初から最後まで、実にホットな熱を持ち続ける大会となった。
何といっても素晴らしかったのは、金メダル5個、銀メダル7個、銅メダル12個、合計24個、という冬の大会としては驚異的なメダル数*1。
メダルを取れるかどうかだけがアスリートと競技の価値を決めるわけではない・・・とはいえ、やっぱり時差の中、眠い目をこすりながら応援した競技で自国の国旗が表彰台に輝くシーンを見るのは格別だったし、今大会に関しては、同じ種目で日本人が複数表彰台に上がる”固め打ち”も多かった。
開幕前のお愉しみ、Number誌の特集*2で取り上げられた選手たちも、スキージャンプの丸山希選手は真っ先に銅メダルに輝いたし、個人戦では振るわなかった小林陵侑、高梨沙羅の両選手も混合団体でしっかり銅メダルを取った。スノーボードのハーフパイプはピンで取り上げられた平野歩夢選手こそ大会前の負傷で本領を発揮できなかったものの、日本選手団全体で見れば男子ではあわや表彰台独占の金・銅、女子でも小野光希選手が銅メダル。モーグルの堀島行真選手は2種目で銀・銅のメダルを奪取したし、村瀨心椛選手もスノーボードのビッグエアで金メダル、スロープスタイルでも銅メダルと2大会連続でメダリストになった*3。高木美帆選手は今大会でも3つメダルを取って日本史上個人では最多のメダル10個、という偉業を成し遂げたし、フィギュア勢も団体銀メダルに続いて男子、女子ともに複数メダル*4、そして何といってもペアで日本史上初の金メダル、と文句なしの結果を残した。
全体を見れば、高木美帆選手以外のスピードスケート陣とか、「前回大会以上」を期待されてあえなくついえたアイスホッケー女子、カーリング女子のように、期待が空回りしたまま終わってしまった競技もあったが、活力ありすぎるその他の競技が、モヤモヤする暇を与えないくらい最初から最後まで「五輪」の話題を覆いつくしていたなぁ、というのが今回の率直な印象だったような気がする。
個人的にはトリノの成田童夢選手をめぐるトラブルからバンクーバーでの国母選手事件と炎上が続き、五輪日本選手団の中でも厄介者扱いになりかけていたスノボの選手たちに助け舟を出した当時の選手団長が、JOC会長として、今大会のスノボ勢の大躍進を誇らしげにコメントする立場になった、というめぐりあわせには何ともキュンと来るところがあったし、自分も現地にいた2018年平昌*5のフィギュアスケート会場で団体のペアを自信なさげに滑走していたように見えた*6木原龍一選手が、その8年後、三浦璃来選手との運命の出会いを経て金メダルに輝いた*7なんて話もちょっと出来すぎてて怖いのだが、そんな分かりやすいストーリーが随所にあったのも、2026年の冬季五輪がこの国で盛り上がった一因だったのかもしれない。
国としての勢いは失っても、スポーツの世界では存在感を示し続ける、そろそろそういうモードに頭を切り替えても良いのではないかなぁ・・・と思いつつ、あっという間にめぐってくる次の夏、その次の冬、に、また思いを馳せられれば、と思っている。
*1:夏の大会と比較しても、アトランタやシドニーの頃は20個を越えられずにいたことを考えると、この結果は凄いの一言に尽きる。
*2:今回もあくまで特集は「フィギュアスケート」で表紙を歴代の一流スケーターが飾る、というあくどい作りになっているのだがw、ちゃんと五輪プレビューの記事も入っている。
*3:スロープスタイルでは下馬評では村瀬選手の後ろに隠れていた深田茉莉選手が金メダルに輝く、という歴史も生まれた。
*4:ただし「金」に届かなかったのは、今大会がロシア勢が出場しない最後の大会になるかもしれない・・・ということを考えると、ちょっと勿体なかった気がしなくもない。
*5:正確に言うと、当時も会場は分散していて、フィギュアスケートの会場は平昌からは遠く離された江陵というエリアで行われていた。
*6:実際、結果も決勝に進出した5組中、断トツの最下位の5位。当時は団体でのメダル獲得はまだまだ遠い夢だった。
*7:しかもSPで大失敗した後にフリーで大逆転、という漫画でもそこまで書くとベタ過ぎる・・・と突っ込まれるような展開の末に、だ。
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