再び燃え上がった「柿の種」

今日の法務業界は、夕方に飛び込んできた関西スーパーの臨時株主総会をめぐる大阪高裁の逆転満塁ホームラン(=抗告認容決定)の話題一色、という感がある。

確かに自分も関西スーパー側の一発目のリリース*1を見た時は心底びっくりしたし、決定文が公表されたら是非読んでみたいと思っているところではあるのだが、それ以上に今日一番の企業発法務系ニュースが何だったかといえば、新潟が誇る米菓業界の雄が繰り出した↓である。

www.nikkei.com

同じ仮処分事件でもこちらの舞台は東京、請求も「不正競争防止法等に基づく製品の製造・販売の差止め」、争われているのは「柿の種」である。

で、このリリースを見た時、自分はちょっとした既視感に襲われたし、同じような感想を抱いた方は他にもいらっしゃったことだろう。

そして、歴史を掘り返してみたら、やっぱりあった。

かつて2012年から2013年にかけて、亀田製菓が株式会社宮田を相手取って起こした「柿の種」パッケージ訴訟である。

折しも時代は、同じ新潟拠点の佐藤食品工業が、同郷の越後製菓相手に特許侵害訴訟を仕掛けたり、北の雄、石屋製菓が「面白い恋人」を訴えたり、と、それまでお世辞にもメジャーとは言えなかった伝統的食品業界にまで知財紛争の波が来た、と感じさせるようなときだったから、その流れの中で、この訴訟もそれなりに注目を集めたものだった。

今、検索すると、真っ先に出てくるのは、日栄国際特許事務所の田口健児弁理士の解説(↓)なのだが、実際この解説と、そこで紹介されているパッケージデザインの比較を見ていただけると、なぜ紛争になったかは一目瞭然。
p-nic.com

最終的には和解で終わっているものの、金銭支払いがなかったことを除けば、ほぼ原告だった亀田製菓の思惑通り*2の結果となっているように思われ、そりゃあそうだろう…と言いたくなるくらいギリギリのところを攻めてきていたのが、この時の被告の製品でもあった*3

それから8年。

今回も亀田製菓が請求の元にしたのは、今も昔も変わらない「6袋詰」の「柿の種」のパッケージ*4

そして、相手が地元の企業ではない関東圏の会社(株式会社久慈食品、戸田市)である点も共通している。

だが、ただ一つ、8年前と違うところを挙げるとしたら、不競法上の商品等表示の類似性で争うにしては、

「あまりに似ていなさすぎる」

ということだろうか(相手方製品との比較については亀田製菓のリリースの2頁参照)。

確かに背景で使っている色や組み合わせは何となく似ている。

「柿」で始まる特徴的な文字色や、字体、レイアウトなども、似ていると言えば言えなくもない。

ただ、パッケージの中で最も重要な要素である文字に関して言えば、「柿の種」と「柿ピー」で全く異なるし、それ以外のパッケージの構成要素にも、強調できそうな相違点はそれなりにある

そう考えると、このレベルの類似度合いでここまで仕掛けるのか・・・ということに、素朴に驚いたところはあった。

現時点では、この仮処分申立てに至るまでの間に当事者間でどのようなやり取りがあったのか、その詳細までは分からないし*5、申立人側でどのような主張の組み立てをしているのかも不明である。

もしかしたら、陳列状況や消費者調査の結果等を踏まえ、「完全なパッケージ同士の比較では似ていないように見えても、店頭では誤認されやすい」という主張立証を申立人が行おうとしているのかもしれない。

いずれにしても、ここからうかがえるのは「お客様の誤認混同を防止し、当社製品のブランドを保護する」ことに向けられた申立人の執念であり、そのために使える手段は最大限活用する、という積極的なスタンスだったりもするわけだが、結果はどうあれ、これも”看板商品”を抱える会社の一つのあるべき姿勢だ、ということ、そして、無駄なく簡潔に、だが整然とわかりやすく自社の立場を説明しているお手本のようなリリースを見て、子供の頃から製品に親しんできたこの会社の良さを改めて感じた、ということはここに書き残しておきたいと思っている。

できることなら一度は裁判所の判断を見てみたいな、と思うところだが、果たしてどうなることやら・・・。

*1:www.nikkei.com

*2:被告側の「柿の種製品」の販売を一定期間差し止め、問題となった商品包装も破棄させる、というもの。

*3:なお、栗原潔弁理士も提訴時にこの事件を取り上げておられる。【小ネタ】「切り餅」訴訟の次は「柿の種」訴訟? | 栗原潔のIT弁理士日記 大変ありがたいことに、この栗原弁理士の記事の中で当ブログのエントリーもご紹介いただいていた(佐藤食品工業の話の方だが)ことを自分は10年近く経った今、初めて知ったような気がする。

*4:もっともよく見ると、容量が230→190gになっていたり(この点に関しては、内容量の変遷について追いかけているサイトまで見つけてしまった。亀田の柿の種 スーパーフレッシュ6袋詰の値上げ情報)、今のパッケージにちょっとしたキャッチコピーや外国人を意識したと思われる「No.1」表示が入っていたり、と時代の流れとともに当然モデルチェンジはしているのであるが、基本的なパッケージのデザインコンセプトは何ら変わっていないように見える。

*5:一応、亀田製菓側のリリースの中に「再三警告したが相手方が応じなかった」という趣旨のことは書かれているのだが・・・。

新たな伝説の誕生が夢と消えた日。

ジャパンカップ」の冠を外して久しく経ってしまったものの、今年も一線級のダート馬たちを迎えて行われたチャンピオンズカップ

そして「初のダート挑戦」というこの種のレースでは明らかに不利な立場ながら、直前までかなりの人気を集めていたのが、3歳牝馬・ソダシだった。

父は当時3歳、春は芝戦線でG1タイトルを奪い、ダービーにも出走しながら、第2回のこのレース(当時はジャパンカップダート。しかも東京コース2100m)で2着に7馬身差という圧勝劇を見せたクロフネ*1

芝の三冠レースでは最初の一冠以外、苦しいレースになってしまったものの、距離短縮、さらに血統的にも妙味のある*2ダートに回れば、この白毛馬が再び主役を奪い返すのも夢ではない・・・そう信じたファンが、データ度外視で彼女を2番人気に押し上げた。

実際、懸念されたゲートの出は特訓の甲斐もあってそこまで悪いものではなく、再内枠から飛び出すや否や二の脚を使って先頭に立つ。
後ろに従えるは歴戦の勇者インティ。されど流れはそこまで速くなく、逃げ馬にとっては絶好にも思えるペースで進行する。

そんな展開の中、自分がモニターを見ながら思わず目を見張ったのは、彼女の透き通るまでの”白さ”

シロニイからハヤヤッコ、最近ではダノンハーロックまで、ダート戦線で活躍する白毛馬は今や珍しくないし、そろそろ見慣れた、と思っていたのだが、そんな馬たちと比べても、彼女の白さは別格で、これまでの緑とは違う、茶褐色の背景の中に溶けて透明になって走っていく・・・そんな幻想すら抱いてしまうような神秘さがそこにはあった。

4コーナーを回っても依然として先頭。そこから春のクラシックで、あるいは夏の札幌で見せたような最後のスパートを決められれば、ダート界の歴史は変わり、新たな伝説が再び刻まれる・・・はずだったのだが・・・。

夢を見られたのはそこまで。

逃げた白馬は馬群に沈み、代わって浮上したのは今の膨張財政を象徴するような牡4歳、テーオーケインズ*3

鋭く伸びてそのまま、気が付けば後続を6馬身、という近年このレースでは見たことのなかった着差を付けてゴールに飛び込む。これぞまさに令和のクロフネ

続いて追い込んだ昨年の覇者、チュウワウィザードが飛び込んだことで、データ通り、JBCクラシック上位組のワン・ツー。
さらに、3年前、一緒に見に行った仲間がこの馬で大きい馬券を取って以来、気になって追いかけていたアナザートゥルースが一世一代の粘り腰で3着に飛び込んだことで、馬券的には今年一番の大フィーバーだったのだが、それでも何となく虚しさを感じたのは、歴史が変わる瞬間を見損ねた悔しさゆえ、だったのだろうか。

もちろん、自分はソダシ絡みの馬券など一つも買っていない。
仮に彼女が勝っていたら、さすがに出来すぎだとかデータ無視だとかいって、未練たらたらにレースを振り返っていたかもしれない。

ただ、こうなることは分かっていても、常識はずれの何かを見たかった・・・
そんなわがままなファンの夢は、寒空の下、消えていった。

*1:とはいえクロフネの場合、ステップレースで武蔵野Sを使って9馬身差圧勝、という布石があった。

*2:父馬もさることながら、この白毛一族、とにかくダート戦には強いのである。

*3:個人的にはワイズスペンディング(字余り)とでも名付けた馬をライバルに仕立ててぶつけたいくらいだが、まぁそのネタはこの辺で。

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去り行く人が残した言葉。

今週届いた『Number』(1041号)も、特集は「日本シリーズ完全詳報」ということでプロ野球ネタだった。

これで1039号から3号連続で表紙をBaseball アスリートが飾ったことになる。

確かに、このコロナ禍、競馬を除けば予定通り開催することすら難しかったスポーツ興行の世界で、それでもこれまで通りの存在感を発揮できていた数少ないコンテンツが日本のプロ野球であり、海の向こうのメジャーリーグだったような気がする。

かくいう自分も、それまでスルーすることが多かった「速報」に何となく目を留めることが多くなったのがこの2年間だった。

ちなみに、前号は言わずもがなの今年の「MVP」*1大谷翔平選手の特集で、今号も冒頭で紹介したとおり日本シリーズを戦った両チームの監督、選手たちの姿がメインで描かれており、シリーズには進出できなかったチームの選手たちも含め、まさに”今が盛り”の人々の声が届けられている*2

だが、それと同時に、「去り行く人」の”今だからこそ・・・”の声が届けられるのもこの時期の常。

特に今号で衝撃だったのは、鳥谷敬選手の生々しいコメント*3

既に引退会見時のコメント等でその一端は報じられていたが、改めて丁寧に説明された形で読むと、より壮絶感は増す。

「鳥谷は活躍するだろう。今年も優勝だろうと、見えないものへの期待がすごすぎて・・・。土地柄も違うし、発言にしろ行動にしろ、そのままを受け入れてもらえるかどうかも分からない。それならば架空の人物じゃないけど『阪神鳥谷敬』を作り上げて、それを演じることで周りの理想に近づける自分を作った方が楽だった。」(70頁、入団直後の熱狂を振り返って)

そこからタイガースで演じ続けること15シーズン。2000本の安打を重ね、歴代2位の1939試合連続出場、という記録まで作った。

それでも「野球で長くご飯を食べていくためには出続けるしかなかった。」と自分を追い込んでいたストイックさに、かの球団がもう少し「結果」で報いることができていたら・・・と思わずにはいられない。

続いて、斎藤祐樹選手の声も載っている*4

甲子園時代から「色眼鏡で見られていたこと」を振り返って、

「選手として見てほしかったという気持ちがあったんだと思います。僕は小学生の頃から、活躍して有名になって、モテたかった。でもそれは野球選手として活躍することが前提です。なのに甲子園でハンカチを使ったら、そこにフォーカスされた。これってたまたまハンカチを使ったからで、実力じゃないところで注目されたんじゃないかと・・・喩えれば、美人だねって言われる女の子が、いやいや、中身をちゃんと見て、私、顔だけじゃないし、みたいなことを考える感覚です(笑)。」(67頁)

と(笑)付きで答えているあたりに11年間の歳月を感じるのだが、一方で、大学3年時の故障をきっかけに体の柔らかさを失い、大学4年の春にはキャッチボールで「以前に投げられた伸びるボールが投げられなくなっていた」というエピソードを見てしまうと、「良くぞここまで続けたな・・・」という言葉しか出てこない。

そういえば、2号前に特集が組まれた松坂大輔選手に関しては、逆に「肩の可動域を広げるストレッチで関節を緩めて柔らかくした」ことが長い故障との戦いの原因になったことが示唆されていた*5

いずれも最初は常人には理解できないレベルの変化だったのかもしれないが、それが重なってアスリートとしての人生を大きく変えてしまう。

出続けても苦しい、故障で出られない日々が続けばもっと苦しい。
それでもまだ、こういう形で取り上げてもらえるだけ彼らは幸せだし*6、次の人生の保証もある程度あるからいいじゃないか、と言ってしまえばそれまでなのだが、一時代を作りながらも、最後はボロボロになるまでやり続けた、というところに自分はこの3選手の共通点を見たし、だからこそ肉声も尊いのだと思っている。

ちなみに、松坂選手に関しては、引退特集でのロングインタビューの中の、以下のようなコメントも印象的だった。

「僕、昔は人に教えることを意識したことがなかったんです。それは『お前だからできるんだよ』と言われ続けたからです。ミーティングの中で僕が何かを発言しても、それはお前だからって、すぐ言われる。そのせいで誰かに教えることを遠慮するようになっていました。こうしたほうがいいと思うことがあっても、またお前だからって言われそうだなと思うと言えなくなる。そこはケガをして悪い状態を経験したことで、これまでよりも僕の言葉が伝わるようになるのかなと思うことはありますね。」(石田雄太「ロングインタビュー 松坂大輔」Number1039号14頁、強調筆者)

ああこれ・・・ほんとこれ・・・。
自分自身がやって来たことを伝えようとしても、勝手によく分からない壁を作られて素直に受け取ってもらえない切なさ。

自分も、生きている世界こそ違えど時々これを言われることがあって、そんな時は、仮に相手に悪意がなかったとしても、心底はらわたが煮えくり返ることは多い。

『お前だから』という前に、自分がやってきたことに近づくためにあなたはどれだけのことをしたのか。
近付こうとする努力さえもせずにそれを言わないでくれ・・・と。

たとえ選手生活の後半、ずっと苦しんだ時期があったとしても、この後、振り返られたときに出てくるのは超人的な活躍の日々だったりもするから、この先も松坂選手の言葉に耳を傾けられるのは、同じレベル以上の資質を持つ者だけに限られてしまうのかもしれないが、それでも引退の日を迎え、こういう形で苦しんだ日々が世に明らかにされることで、彼の言葉が少しでも多くの才能に届くようになるのであれば、せめてもの救い、というべきなのかもしれない。

いずれにしても、長きにわたって戦ってきた彼らがこの先善き日々を過ごされるように、と、今は願ってやまない。

*1:流行語大賞までもっていってしまった・・・。

*2:個人的には、鈴木忠平氏の「1995年と2021年 2つの死闘を貫くもの。」という記事(Number1041号44頁)の中で、小林宏・現オリックス二軍監督が95年日本シリーズのオマリーとの14球の死闘を振り返っている記事を読んで、忘れていた記憶が蘇り、懐かしさとほろ苦さを感じたりもした(だって、オマリーといえば・・・だから)。

*3:佐井陽介「生き残るためには出続けるしかなかった」Number1041号68頁。

*4:石田雄太「これからもずっと野球とともに。」Number1041号65頁。

*5:石田雄太「336度目のラストマウンドへー。」Number1039号58頁、前田高典トレーナーのコメント。

*6:現実にはろくにコメントも報じられないまま姿を消してしまう選手たちも多くいるので・・・。

「ZOOM」をめぐる戦いはまだまだ終わらない。

いよいよ師走・・・ということで、そうでなくても慌ただしいことこの上ない季節に突入したのだが、昨日出された↓のリリースの関係者ともなれば、より・・・という気がしてならない。

www.nikkei.com

今年9月にビデオ会議サービス「ZOOM」の日本第1号代理店、NECネッツエスアイ提訴を大々的にアピールしていた株式会社ズームが、満を持して米国法人であるZOOM Video Communications, Inc.を商標権侵害で提訴したのである。

この件に関しては、9月の最初の提訴時にこのブログでも取り上げて、以下のようなエントリーを書いた。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

このエントリーをご覧いただければわかる通り、この「ZOOM」をめぐる商標バトルは、そう簡単に白黒つけられるようなものではない、と自分は思っている。

だが、昨日のリリースによれば、株式会社ズームは今回も至って強気のスタンスを貫いている。

「本提訴に当たっても、先の提訴と同様に損害賠償を請求しておりませんが、これは当社に金銭的損害がないことを示すものではなく、当社登録商標が法的に保護されるべき知的財産であることの確認が訴訟の目的であり、和解金等での解決を排除する姿勢を示すものです。また、本提訴にあたっては、複数の知財を専門とする弁護士事務所から、本提供行為等が当社登録商標権を侵害している可能性が高いという見解を得ていることを申し添えます。」(強調筆者)

個人的にはこの「複数の知財を専門とする弁護士事務所」*1というのがどこなのか、というのが結構気になっていたりもするのだが、それはさておき、国際私法的要素も絡む今回の株式会社ズーム側のアクションに対し、訴えられた側がどういう返しをするかは、興味を持って見守っていきたいな、と思うところ。

ちなみに、9月のエントリーで紹介した、株式会社ズーム、ビデオ会議の「ZOOM」双方の登録商標のステータスを確認すると、株式会社ズーム側の商標(登録第4940899号)*2は、依然として健在でステータスにも特段の変更なし。

一方、ビデオ会議の「ZOOM」側の商標(登録第6417625号)*3は、登録自体は維持されているものの、

2021年9月30日 異議申し立て(異議2021-900358)

というステータスが新たに加わった。

申立人は当然ながら株式会社ズーム、ということで、もうこれは徹底的に戦争するという意思の表れに他ならないだろう、ということは素人でもわかる。

株式会社ズーム側は、既に今年の3月18日に、先に登録第4940899号と同じ態様のロゴで、第42類*4を指定した商標(商願2021-32682)*5まで出願しているから、晴れて異議申立てが成功してビデオ会議の「ZOOM」側の商標を消すことができれば、第9類と第42類をがっつり固めて万全の態勢で相手を追い詰めることができることになる*6

一方、ビデオ会議の「ZOOM」側は、長くペンディングになっている商願2020-61572号*7に関し、しびれを切らした審査官から2021年7月5日付で「引用商標権者との交渉はどうなってるのか、さっさと報告しろ!」という通知を出されていたのだが、今年の10月5日、それに対する答えを記した上申書を提出しており、これまた「2つ目」*8の商標の登録に向けて準備に余念はない。

「まず引用商標1(筆者注:登録4363622号)について、出願人は、登録名義人 株式会社トンボ鉛筆(以下「トンボ鉛筆」という。)に対し同登録の譲渡等の申し入れを行い、あわせて本願と抵触する指定商品(電子計算機,電子計算機用プログラム,電子式卓上計算機)に関し本年3月26日付で(不使用による)一部取消審判を請求いたしました(取消2021-300219)トンボ鉛筆からは当社との交渉に応じる旨のご意向が示され、具体的な譲渡条件や手続について交渉を継続してまいりました。」
「一方、引用商標1に対しては前述の指定商品に関し本年2月10日付で第三者による一部取消審判が請求されており(取消2021-300089)、貴庁審判廷から、そちらを先に審理するため本年7月28日をもって本件審判事件(取消2021-300219)の手続を中止するとの「手続中止通知」[資料3]がなされました。 そのため、先に審理される取消審判(取消2021-300089)における応答状況など同審判の経緯を見ながらトンボ鉛筆との交渉を進めています。」

次に、引用商標3(注:登録6255174号)*9については、登録名義人 レイショナル インテレクチュアル ホールディングス リミテッドとの交渉の結果、その譲渡について合意が成立し、譲渡証書が作成されました[資料4]。その他必要な書類が準備でき次第、引用商標3について商標権移転登録申請を行う予定です。」

単に「守り」に徹するのみならず、株式会社ズームよりさらに早く商標を登録していたトンボ鉛筆に対して二段構えの作戦で協議に挑み、さらに後発の会社の登録商標については、自ら買い取ることで問題を解決しようとするこの作戦。いずれも王道のテクニックである。

このように、今攻めている側だけでなく、訴えられた側にも互角に戦う能力は十分にあると思われるだけに、かえって終わりが見えないこの戦い。

今回の件の話題に関連して、10年以上前のアップル社の「iPhone」対アイホン社の話を取り上げる人も多いのだが、今回の件は、訴えられた側でも独自の商標出願戦略で足場を固めてきた、という経緯があるだけに、ガチで争えば、「iPhone」の件とは比較にならないくらい訴える側としては難しい状況になる、ということだけは、ここではっきりと強調しておくこととしたい。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

*1:この表現自体、日本語的にも業界的な言葉の使い方としてもちょっと違和感があって、少なくともリリースを作ったのは法務関係者ではないな、という気がして眺めている。

*2:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2005-073679/38C36D874EC5D2CE9EB7C97E0B8568AFA81FF8D988AAEA506C75C431880A774A/40/ja

*3:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-003455/7C8E936AD4D17B91F88842A9C9F40CA63E25CECDBC5AECCF67B6A318B6465A03/40/ja

*4:指定役務は、「音声処理装置の設計,ウェブサイト経由によるコンピュータ技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供,デジタル音響及び映像の記録媒体の設計及び研究開発,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子商取引のための技術を利用したユーザー認証,音声録音及び画像録画に使用されるコンピュータソフトウェアの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの貸与,サーバーのホスティング,電子データの保存用記憶領域の貸与,音楽再生のための電子計算機用プログラムの提供」である。

*5:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-032682/5EC04C6362360744105BC9926123EFE27D83E31935DCC03634C04ACEF296D1B6/40/ja

*6:それでも、この商標の特殊なロゴの態様からすれば、侵害場面では「非類似」という判断が下される可能性も十分あると自分は思っているが。

*7:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2020-061572/3C0ED5EDA6B97FDB9DF27E8EC0828F1ABC8374F2F86884E9CFE36FEC54EDCF32/40/ja

*8:国際登録された第38類の商標と合わせると、これが「3つ目」の日本での商標となる。

*9:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-103207/2C2390D273C5B30E5C98956BBE76A2C312D27D9AD5D794924F075E52F4E175CD/40/ja

2021年11月のまとめ

長く続いた「コロナの時代」もようやく終わりか・・・という雰囲気になって、街中にも何とか人が戻ってきた感じになってきたところで突如世界に衝撃を与えた「オミクロン」。

ハリウッドのB級アクション映画なんかだと、最初からずっと最大の敵、と思われていた相手を主人公が倒して館内にやれやれ・・・という空気が流れたところで、いきなりとんでもないラスボスが現れてチャンバラ始める・・・なんて言うのが最後の20分、30分の展開だったりするのだが、今回のもまさにそれ、な感じがする。

もちろん、既に戦いのヤマを越えているのは間違いないわけで、これも完全終息までの最後のハイライトに過ぎないから、戻ってくる”平時”は見えているわけだが、そうでなくてもインフレ警戒で消費の戻りも鈍かったこのタイミングで、いろんなものに水が差されてしまったのはちょっとな・・・という気はしている。

仕事の方はそんな世の中の騒ぎもあまり関係なく、一気に年末進行モードに突入しているのだが、昨年と違って今年はそこそこ「忘年会」の予定も入ってきているだけに、うまくやり繰りしないと昨年以上にキツイことになりそうで*1

できることなら、かたっ苦しい飲み会はコロナで消えて、しばらく延び延びになっていた心置きなく飲める方々の会だけ残ってくれれば…と思ったりもしているのだけど、そううまくもいかないだろうから、後は出たとこ勝負で師走を駆け抜けようと思っているところである。

さて、今月のページビューは10月と大体同じ15,600弱、一方で、セッションは10,000強、ユニークユーザーも6,000弱で、ユーザー数、特に新規の方が比較的多かったのが特徴といえるかもしれない。

<ユーザー別市区町村(11月)>
1.→ 横浜市 708
2.→ 大阪市 663
3.↑ 千代田区 381
4.↓ 港区 350
5.→ 新宿区 340
6.→ 名古屋市 252
7.→ 世田谷区 178
8.→ 中央区 166
9.→ 川崎市 147
10.→ 渋谷区 135

順位自体にほとんど変動はないが、千代田区が戻ってきた、というところに「コロナの終わり」を感じる。

続いて検索ランキング。

<検索アナリティクス(11月分) 合計クリック数 1,240回>
1.→ 企業法務戦士 131
2.↑ 匠大塚 不振 25
3.↑ 大ヤマト 裁判 17
4.圏外シャルマントサック 裁判 
5.↑ 企業法務 ブログ 14
6.圏外匠大塚 業績不振 12
7.↓ 取扱説明書 著作権 11
8.圏外CRフィーバー大ヤマト事件 9
9.圏外インナートリップ 霊友会 8
10.↓ 試験直前 勉強しない 8

いつものように昔の記事が並ぶ中で、シャルマントサックの商標的使用に関する判決紹介記事への検索がランキングに入ってきたのは、ちょっと嬉しかったりする。

そして今月は、Twitter経由の人気記事のトップも「貴船神社」の写真をめぐる著作権侵害事件の判決紹介(インプレッション数10,623)。

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なかなか立ち止まって分析するような時間が取りにくい日々は続いているのだけれど、こういうのを読んでくれる方がいらっしゃると、また元気が出るかな、と。

ということで、今年も必死で走り切って、我に返ると大晦日・・・という展開が目に見えるわけだが、まずはダウンせずに乗り切ることを第一に。
残り三十一日全力疾走、それあるのみ、である。

*1:昨年の11月末と、心情はほぼほぼ変わらない・・・。2020年11月のまとめ - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

これは同期に捧げた花道だったのか。

第41回ジャパンカップ

ここ数年、「名ばかり国際レース」のようになってしまっていたこのレースだが、今年は外国産馬3頭が参戦*1
迎え撃つ国内勢の方は、昨年に比べるとちょっと寂しい顔ぶれにはなったが、三冠馬・コントレイルを筆頭に、今年のダービー馬、オークス馬が揃い、さらに「昔のダービー馬」2頭も元気に参戦した、ということで、一応最低限の形は整うことになった。

昨年のアーモンドアイと同じく、注目の的となったのは、「ラストレース」を掲げたコントレイルだったし、他馬との実績の違いもあってオッズは昨年以上に小さな数字となった(単勝1.6倍)。

一方で、昨年の菊花賞で「三冠」を手に入れて以降、3戦連続3着以内とはいえ「負けている」コントレイルには、アーモンドアイ以上に不安要素があったのも事実で、レース展開次第では”危険な人気馬”として飛ぶリスクも皆無ではなかった。

敗れた前走に続いて1枠。ゲートからすんなり出たものの、今一歩出足は付かず、早めに前に行ったアリストテレスオーソリティ、シャフリヤールといった馬たちがポジションを固めたのを見た時には、再び天皇賞(秋)のパターンになってしまうのか・・・という思いも頭をよぎった。

運の悪いことに、逃げたアリストテレスに騎乗していたのは、今秋もノリにノリまくっている横山武史騎手。

生来の”逃げ馬”ではないとはいえ、スタミナ十分で、菊花賞でも無敗の三冠馬に一泡吹かせかけた馬だけに、最初の1000㎡を「62秒2」という超スローペースで悠然と流している姿と、その時のコントレイルの位置取りを見た時には、波乱が起きる予感しかしなかった。

だが、そんな状況がたった一頭の馬の仕掛けでガラリと変わるのだから、競馬というものは面白く、そして恐ろしい。

そう、今年も、レースを作ったのはキセキ、ただ一頭だった。

かの馬の最後方からの渾身のまくりによって、12秒台で緩やかに刻まれていたラップは、1200㎡を過ぎたところで激変。

突き放して逃げるキセキが刻んだのは、11秒6-11秒6-11秒7-11秒6ー11秒5、というあたかもスプリント戦のようなラップ。そして、それに引っ張られた後続の馬たちのペースも必然的に上がり、4コーナーでは既に馬群もばらけ、コントレイルにとっては絶好の「花道」が開けた。

終始先行していたキセキ、アリストテレスワグネリアンといった馬たちが下がっていく中、踏みとどまったのは名手・ルメール騎手が操るオーソリティと、川田騎手騎乗のシャフリヤールの2頭だけで、それも、結果的にいい感じで脚を溜めることができたコントレイルの敵ではもはやない。

上がり33秒7。別次元で差し切って2馬身差の完勝。

かくしてGⅠ5勝目。新馬戦以外はすべて重賞、それも内8戦はGⅠというハイレベルな戦いを続けながら、【8‐2‐1‐0】と、一度たりとも馬券圏外に着順を落とすことなくラストレースを飾ることができたのである。

最後の最後に戻った往時のキレは、”有終の美”に賭けた矢作調教師の執念と、馬の力を信じて”いつものレース”に徹した福永騎手の情と技術、そして何よりも馬自身の底力から生まれたものであることは間違いない。

ただ、それも、キセキの”途中からペースメーカー”的な爆走がなければ、100%発揮できたかどうか。

キセキに騎乗していたのが、福永騎手と同期の和田竜二騎手だったことで、ゴールした瞬間、様々な想像が自分の頭の中をよぎった。

普通に考えれば、スタートで出遅れた騎乗馬を何とか勝負できる位置に戻すために仕掛けただけ、ということなのだろうし、まくりに入った時の和田騎手のポジションで、先頭にどの馬がいるか、とか、コントレイルがどこにいるか、なんてことまで把握できたかどうかはかなり怪しい。

自分の馬にベストな走りをさせようと策を講じた結果、たまたま本命馬を助ける結果になった、というのがおそらくは真実なのだろう。

それでも、2021年のジャパンカップ、王道を歩み始めてからは初めて、といっても良いくらいの大観衆の前で、無敗の三冠馬に恥をかかせない名アシストをした馬として、自分がキセキの走りを忘れることはないだろう。

そして3年前、敗れはしたものの、アーモンドアイに次ぐ驚異的なレコードタイムジャパンカップ2着、というリザルトを記録し、その後、昨年から2年連続で絶妙な”助演”役を果たしたこの馬が、今度こそ真の「主役」としてこの舞台を駆け抜けてくれる日が来るならば、どれほど嬉しいことか・・・

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

ということで、撤回された「引退」報道が、今年再び現実のものにならないことを願いつつ、今から一年後に向けて夢を託すことにしたい。

*1:一線級というにはちょっと物足りないメンバーだったとはいえ、まだコロナ禍も続く中、所有馬を遠い日本まで遠征させてくれた関係者には頭が下がる思いである。

まだ、終わってはいなかった。

オリックスの大逆転サヨナラ劇で幕を開けて以来、連日白熱した試合が続いた今年の日本シリーズ

2点差以上付いたのはわずか1試合だけ*1。あとは第3戦以降、どっちに転んでもおかしくない展開で舞台を東京ドームから神戸に移して4試合。

最後の第6戦も、無双・山本由伸投手が9回141球、11奪三振でわずか1点に抑えたかと思えば、対するヤクルトも意地を見せて7奪三振の高梨投手の力投から細かくつないで結局、リミット限界の延長12回まで突入。

8回、山本投手が山田(哲)選手からのクリーンナップを圧巻の三者連続三振に取った後、1番から始まる打線でオリックスがきっちり点を取っていれば*2、おそらく日曜日まで続いていただろうが、そこで突き放し切れなかった結果、最後はベテラン・川端慎吾選手の意地の一振りと、3イニングまたいだマクガフ投手の魂のピッチングでヤクルト勝利。

チームとしては20年ぶり、セ・リーグのチームとしても2012年の読売以来、実に9年ぶりにヤクルトスワローズが覇権を奪回する、という形で幕を下ろすことになった。

ちょうど1年前、読売の見るも無残な4連敗(2年続けて8連敗)の惨劇を見た時に、もうこれはこのタイトル戦自体の意味がなくなってしまったのではないか、と感じたことは今でもちゃんと記憶に残っている。

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そして、例年とは顔ぶれがガラリと変われど、セ・パ両リーグ優勝のタイトルを引っ提げて順当に大舞台に出てきた今年の両チーム対戦がワンサイドで終わるようなことになれば、「終了」の予感も確信の域に達するはずだったのだが・・・

*1:それも、両チーム先発の高橋奎二投手、宮城投手が投げ合い、8回にようやくヤクルトが先制しての2‐0だから、決して大味な試合ではなかった。

*2:2番・宗、3番・吉田(正)の連打で格好のお膳立ても整っていたのだが・・・。

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