雨の悪戯。

台風19号による被害の収束が未だ見えない状況で競馬の話か!という突っ込みはあると思うのだが、売得金の一部は一般財源、しかも多くは畜産振興等の農業予算に充てられる、ということで、特に土曜日から明日までの4日間は、先月から立て続けに災厄を受けている農家の方々への募金も兼ねるつもりでやっている*1

で、こんな時に行われた競馬だから、当然ながら、重賞が行われた日曜日の京都、今日の東京ともに、天候は悪く、馬場も湿っていた。

秋のGⅠウィークの皮切りとなる日曜日の秋華賞は、いつもは大体良い天気の中、開幕したてのパンパンの京都競馬場の芝の上で行われるものだから、切れ味の良い良血馬、特にここ数年はディープインパクト産駒の独壇場のようになっていたのだが*2、天候が悪化して馬場が湿った数少ないレースでは、一転してディープインパクト産駒が来ない、というデータもある。

1番人気馬(アエロリット)とともに2番人気だったファンディーナも飛び、ハービンジャー産駒2頭(ディアドラ優勝、モズカッチャン3着)とハーツクライ産駒(リスグラシュー)が上位を独占した2年前のレースや、ジャングルポケット産駒のアヴェンチュラが好タイムで制する中、桜花賞馬・マルセリーナがあえなく散った2011年のレースがそのサンプル。

そして、今年も1番人気・ダノンファンタジーを筆頭に、2番人気・カレンブーケドール、5番人気・コントラチェック、さらには7番人気に留まっているもののデビューから3連勝で不思議な存在感を発揮していたサトノダムゼル、といったディープインパクト産駒たちに注目が集まる中で、「雨」の影響がどう出るか、ということが、個人的には最大の関心事だった。

結果的には、いかにも重い馬場に強そうなバゴ産駒のクロノジェネシスが、桜花賞オークスともに3着というじりっぽさをパワーで克服して優勝。そしてこれまた雨に強いダイワメジャー産駒のシゲルピンクダイヤ(桜花賞2着)が10番人気で3着に飛び込み、一方でダノンファンタジーは伸びきれずに8着*3、という概ねデータ通りの結末に。

ただ、その一方で、オークス2着のカレンブーケドールが空気を読まずに2着に飛び込んだことで*4、中途半端に予想を外してしまったのは自分だけではないはずだ。

翌日の府中牝馬S(東京芝1800mだから本来ならディープインパクト産駒の独壇場)でも、1番人気のプリモシーンが飛び*5ヴィクトワールピサメイショウサムソンオルフェーヴルという馬場悪化を苦にしない血統を持つ馬たちが勝つ、という展開になったから、「雨の日にディープ産駒を買うな」という格言は依然として生きている、ということなのだと思うのだけれど・・・。

*1:そのためなのか、日曜日以降、馬券はかすりもせず、ただただJRAに上納金を収めるだけ、という展開になっているが、それもまたよし、である。

*2:昨年はアーモンドアイ(ロードカナロア産駒)という怪物にタイトルこそさらわれたが、2着、3着は順当にディープインパクト産駒が占めていた。

*3:最後の直線で不利を受けた影響が大きかったにしても、いつもの切れ味を発揮できなかったのもまた事実だと思う。

*4:米国血脈を引き継ぐチリ産の母馬が、道悪対応力を多少なりとも補強してくれたのか、それともいち早く天候が回復傾向に向かった関西での開催だったから「稍重」でも多少馬場状態は良くなっていたのか、純粋にこの馬が強いのか、真相は闇の中である・・・。

*5:久々の出走で馬体重が大幅に増えていた影響もあるのだろうが、最下位15着という大惨敗だった。

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最後に待っていた最強の敵と、勝った後の居心地の悪さと。

ラグビーW杯、POOL A最終戦、日本対スコットランド

台風による甚大な被害が各地で報じられている中、しかも日産スタジアム自体が浸水被害を受けている、という状況の下、行われるかどうかすら分からない試合に向けて*1、集中力を維持するのはどちらのチームにとっても容易なことではなかったと思う。

それでも関係者の必死の努力で*2、試合は予定通り開催。

そして、始まってからの展開がまた壮絶。

誰かが筋書きを描いたかのような、だがフィクションだったらベタ過ぎて却下されてしまうような、日本代表の応援者にとっては美しすぎるストーリーだった。

暫しの劣勢の後に訪れた日本の時間

序盤は、スコットランドが得意のパントキック戦法を繰り出して前半6分にあっさり先制。これまでの対戦相手と比べても攻撃のスピードは速いし、守備陣形もきっちり整っていて穴がない。なんでこれで1次リーグ敗退寸前まで追い込まれているのか?と不思議に思うくらい、スコットランドは整っていた。

一方の日本の攻撃はぎこちない印象で、敵陣に攻め込んでもボールを相手に渡す展開がしばらく続く。「待たされた」ゆえの硬さなのか、気合が入り過ぎていたのか、何かこれまでと違うな・・・と感じる時間はそれなりにあった。そして、敵陣での相手反則で選択したPGを田村選手が外したシーンがまさにそのピーク。

台風の影響で強い風が吹いていた影響もあるのだろうが、そもそもまだ前半15分くらい、スコアも0-7、というタイミングで、PGで点差を縮めに行く、という選択をリーチ・マイケル主将がしたこと自体が、何かマズイぞマズイぞ・・・と思わせるに十分なものだったし、今大会決して安定感があるとはいえない(と自分は思っている)田村選手のキックが外れたのも実に予定調和的で、あの瞬間はこのままズルズルと引き離されて1次リーグ敗退、という悪夢も頭をよぎった。

だが、その直後の、福岡選手のサイドからの突破と、タックルを食らってからの一瞬の粘りでつないだ末の松島選手のトライで一気に流れが変わる。

PG失敗で生まれた相手の隙をつくような豪快なシーン。しかもそれが今大会の日本の最強バックスコンビの連携から飛び出したのだから、チームが勢いづかないはずがない。度重なる連続攻撃の結果、続く前半26分には、FWの選手まで絡んだ巧みなパス回しから、プロップの稲垣選手がゴール真下にトライして逆転。

堅固なスコットランドのディフェンスのプレッシャーを受けても、ミスをすることなくボールをつなぎ続ける日本代表選手たち。低迷期の日本代表監督たちが志向しては挫折してきた理想形がそこにはあった。

その後も、少々攻めあぐねる時間帯はありつつも、再び「田村選手のPG失敗の直後に相手ボールを奪って反撃に転じる」というパターンから、今度は福岡選手が快足を飛ばしてトライ。

「PGはわざと外してるのか?」と思わせるくらい、田村選手のコンバージョンゴールがきっちり決まったこともあって、この時点(前半終了時点)でのスコアは21-7。両チームの1次リーグ突破の「条件」を考慮すれば、この時点で楽観ムードに傾いた人も多かっただろう。

更に後半開始2分、福岡選手がアイルランド戦終了間際のシーンのVTRを見るかのようなターンオーバー、しかも今回はきっちり最後まで走り切ってトライを決めた時は(ゴールも決まってスコアは28-7)。

元々持久力がウリの日本代表、一方相手は、大ベテラン・レイドロー選手を筆頭に主軸の平均年齢は高いし、控え主体で臨んだとはいえロシア戦から中3日、という過酷なスケジュールの中戦っている。「スコットランド最強説」をひそかに心の中で唱えていた自分ですら、これでトドメを刺したか・・・と思ったものだった。

怒涛の反撃と、それを耐えしのいで得たものと。

突き放した後も、まだまだ攻撃を仕掛けていた日本の勢いは、後半9分のスコットランドのトライで萎む。当然のように、レイドロー選手がコンバージョンゴールを決めて28-14。さらに10分も経たないうちにスコットランドの速攻が決まり、スコアはさらに縮まって28-21。

思い切った選手交代が効を奏したのか、あるいは、勝利を意識したがゆえの綻びか。素人目に見ても「流れが向こうに行ってしまったなぁ」という展開の中、局地的な「反撃」を試みてもトライには結びつかず、徐々に勢いを増すスコットランドに押されてフラストレーションがたまる。特にラスト10分は、生きた心地がしないくらい徹底的に攻められた。

体格がいいのはもちろんだが、それ以上に、キックも交えた攻撃オプションの多彩さや整った守備の力が光るチームに本領を発揮されてしまうと、なかなか太刀打ちすることは難しい。アイルランド戦では、徹底して「相手の良さ」を消すことでロースコアの勝利に持ち込むことができたのだが、この試合に関しては、日本が先に大量リードしていたがゆえの隙もあったのだろうし、何より相手の「本気度」が違った。

それでも、最後の一線で持ちこたえた、というところに今大会の日本代表の強さの真骨頂がある、と言えるのだろうし、残り1分、相手ボールのスクラムからボールを取り返して、ボールをキープするための密集肉弾戦をひたすら繰り返し、笛の音とともにボールをけり出してノーサイド、という最後のシーンなどは、日本代表が別の次元に到達した*3、という感すら抱かせるものだったのは確かである。

堂々のグループ首位通過。

しかも、弱い相手に数字合わせした結果ではなく、勝ち上がりの可能性を残したチームとの直接対決でガチンコ勝負した上で、ボーナスポイントまで取って首の皮1枚しのぎ切った、という結果だから、文句なしにベスト8にふさわしいチームとして勝ち上がったといえるだろう。

決勝トーナメント初戦の相手が南アフリカ、というのも(ニュージーランドとかエディ・ジョーンズ率いるイングランドとかと対戦するのに比べたら)、まだ多少なりとも「さらに上」に向けた希望を与えてくれる。

*1:しかも、試合がなくなれば日本代表の史上初のの決勝トーナメント進出が自動的に決まってしまう、という状況の下で・・・。

*2:どことは言わないが、この状況だったら早々に主催団体にプレッシャーをかけて「試合中止」にしてしまう開催国だってあっても不思議ではないわけで、そんな中、前日の博多のアイルランドサモア戦も含め、きっちり試合をして決着を付けるフェアさはさすが、である。

*3:昨年のサッカーW杯のポーランド戦で0-1で自軍ボール回しを続けたシーンとも重なるのだけど、「勝ち上がるチーム」だからこそ、の戦術だけに、しびれるものではある。

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「自ら判断する」ために必要な情報を届けることの大切さ。

数日前から予告されていたとおり、今日は台風19号の接近に伴って朝から雨が降り続き、そして公共交通機関からスーパーまで生活を支える様々な都市機能も文字通り止まった。

自分の場合、元々「超地元密着」の行きつけの医院*1に行くくらいしか用事がなかったので、朝、前日さぼったあれこれの買い出しに追われたほかには特にアクシデントもなかったのだけど、3連休前半を直撃した自然災害だけに、一世一代の大事な予定が流れ、「仕方ないね・・・」と言いながら涙をのんだ方も決して少なくはなかったことと思う。

もちろん、「命を守る」ことは最優先

先月初めに襲来した台風15号が、関東圏にかなりのダメージをもたらし、しかも交通機関のオペレーションも含めて混乱が生じて批判を浴びたことも考えれば、安全サイドに振って、雨風が本格化する前から駅も空港も閉じてしまう、という判断は決して間違いではないし、小売店舗でも飲食店でも、その場で店を回すのが「人」である以上、最大級の風雨が予想され、交通機関がまともに動かない状況では、早々に閉めるという判断も妥当だろう*2

ただ、ちょっと気になったのは、ラジオから流れてくる「直ちに命を守る行動を・・・」とか、「数十年に一度の災害が差し迫っています・・・」といったフレーズの連呼

「3・11」の際の津波に始まり、その後の豪雨災害等の過程で「危機感が伝わらなかった」という非難があちこちから出て以来、NHKを中心に、災害に関する情報伝達の中で、こういうフレーズが繰り返し使われるようになって久しいし、それ自体を責めても仕方がない。

問題は、放送をそのまま聞いていても、じゃあその後にどうするんだ・・・?というのが分かる仕掛けになっていないところ。

気象庁の会見等も含め、「避難できる人は避難して、でも、指定避難場所にはこだわらなくていいから安全な場所で・・・」等々、同じような言い回しが繰り返されているのだが、どの地域の人々に向けて何を勧めているのか、聞いていても全く分からない。

今、どこで何が起きているのか、今回の台風で警戒すべきなのは、雨なのか風なのか、あるいは両方なのか。そういった局地的な情報をタイムリーに入手するのが難しい状況で、首都圏全域をカバーする公共放送を通じて伝えられることに限界があるのは分かる。

「3・11」やその後の災害の例を引くまでもなく、こういう時に頼れるのは「自分の状況判断」しかない、というのも分かり切ったことではある*3

でも、そうでなくても公共交通機関がストップし、外は強い雨、強い風、という状況の中で、抽象的なアナウンス、抽象的に広域に出される避難勧告・避難指示、その他、今一つ決め手がない諸々の情報だけで「動くか動かないか」を判断できる人がいるのだろうか・・・?

幸運にも、自分が住んでいる場所は高台だし、水辺からもだいぶ距離はあるし、近くに崖というような地形もない。そして、目の前の大通りに水が浮き、木が激しく揺さぶられているのを見れば、そんなに頭を使わなくても「ここにいるのが一番」の一択にたどり着けるのだけど、仮に自分の住んでいる家が平屋建てで、もう少し川縁に近かったとしたら、一体どう判断したか・・・。

今、確認できる情報だけで合理的な判断ができる自信は全くないし、その結果、判断を誤ったとして「自己責任」と言われたらやり切れない、という思いはある。

*1:自宅で開業されている医院で、患者もほとんどが徒歩圏内の近隣住民なので、今日も何事もなかったかのように診療していただけてありがたいことこの上なかった。これぞ本当の意味での「地域医療」だな・・・と。

*2:もしかしたら、明日朝の状況を見て、「やり過ぎ」とか「過剰反応」といった批判がどこかから湧いて出る可能性もあるだろうけど、そういう人たちは、こういう時に普段通りに動かしたら動かしたで、ああだこうだ言う人たちなので、まぁ放っておくのが吉だろう、と。

*3:「3・11」の時も、その後も、「逃げるために動いた」ことが裏目に出たケースは決して少なくない。そして、だからこそ、ああいうトーンのアナウンスになってしまうのだ、ということも、リスク管理に携わってきた者としては分からないではない。

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日本人ノーベル賞受賞の報を聞くたびに思うこと。

ここ数年、毎年のように理系分野では受賞者が出ているノーベル賞

そして、今回は、自分が科学への好奇心をもって生きていた時代の新技術、しかも企業に長く在籍していた開発者の受賞、ということもあって、自分のような門外漢にとってもインパクトの大きいニュースだった。

スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を、旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)、米テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授(97)、米ニューヨーク州立大学のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム卓越教授(77)に授与すると発表したスマートフォンや電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池の開発で主導的な役割を果たした。世界の人々の生活を変え、ITをはじめ産業の発展に貢献した業績が評価された。」(日本経済新聞2019年10月10日付朝刊・第1面、強調筆者、以下同じ。)

化学が苦手で理系をあきらめた自分には、偉大なノーベル化学賞受賞者の功績についてあれこれ語るような知見も資格もない。

ただ、今回の受賞者のインタビューの断片に接すると、ここ最近の受賞者から繰り返し唱えられている、「基礎研究」の重要性とそれを支える環境の充実を求める声は、今年も出るような気がしてならないし、自ら生み出す才能のない者にできる数少ないこととして、そういった声を取り上げずにはいられない。

「基礎研究は10個に1個あたればいい」。吉野氏は受賞決定後の日本経済新聞のインタビューで、こう述べた。日本の大学や企業ではイノベーションの創出力の衰えが指摘される。今回のノーベル賞受賞は挑戦する姿勢の重要性を改めて日本に突きつけている。」(日本経済新聞2019年10月10日付朝刊・第3面)

吉野氏が受賞につながる成果を出したのは、1980年代の半ば。日本の製造業が躍進を続けていた時代。そして、企業内の開発者、研究者にも専門家としての一定の独立性と裁量が与えられていた時代である。

もちろん、今でも、多額の予算をとって,基礎から地道に研究開発を行っている会社がなくなったわけではない、と思うのだけれど、大学ですら恵まれた研究の場ではない、と言われている昨今、「選択と集中」「成果達成へのコミットメント」が過剰なまでに要求される今の企業組織が、果たして基礎研究のゆりかごになり得るのか・・・

華やかな報道に接するたびに、絶望的な気分に駆られることも多かったのがここ数年の傾向だったのだが*1、17年ぶりの企業所属研究者の受賞、というビッグニュースが、何かのムーブメントを引き起こせるのか、ということに注目して、しばらくは動きを見守っていきたいと思っている。

*1:足元の寂しい状況に長年接してきただけになおさら・・・。

勇気を出して、小銭を捨てよう!

消費税率引き上げからはや1週間。世の中で暴動が起きているわけでもないし、自分自身、そんなに高い買い物をしたわけでもないし、ということで、引き続きほとんど実感なく過ごしている状況ではあるのだが*1、そんな中、さすが日経、という感じの記事が出た。しかも一面で(笑)。

「1日の消費増税にあわせて政府主導で始まったキャッシュレス決済のポイント還元制度を追い風に、現金を使わない決済が急増している。」(日本経済新聞2019年10月8日付朝刊・第1面、強調筆者、以下同じ。)

以下に書かれている細かい「エビデンス」は一過性の事象に留まりそうなものも多々含まれているので、あえて引用しないが、自分としては、どんなきっかけであれ、決済が現金からキャッシュレス方向に向かうのは決して悪いことではないと思っている。

その理由はただ一つで、あのレジでのつり銭も含めた硬貨のやり取りと、その後の店舗、窓口での管理がとにかく非効率なこと極まりないから。

個人的には、そもそも、消費税率が「10%」というキリのいい数字になった時点で、値札の10円未満の端数は切り捨てるなり切り上げるなりすべき(そして、合わせて5円硬貨と1円硬貨を廃止)だったのでは?と、過激な主張もしたいくらいで、これは、実際に仕事で経験したことがある者にしか分からない感覚だと思っている。

・・・で、こういうことを言うと必ず、「キャッシュレス決済はセキュリティが・・・」とか、「使っている感覚がなくなるとどうしても使いすぎになる」といったことを言い始める人が出てくるのだが、少なくともハード一体型の電子マネーに関しては、紛失してしばらく放置、ということさえしなければ、現金を持ち歩いて紛失するよりもはるかにリスクは低いわけだし*2、「使いすぎ」云々に関しても、事前チャージ式の電子マネー等であればあらかじめ入金額をコントロールできるわけだから、何ら「現金優位」を支える合理的根拠にはなり得ないだろう。

「レジでつり銭のやり取りがなくなると人情味が・・・」なんていうのも究極の屁理屈。

オペレーションをする側の視点で言えば、細かい小銭のやり取りに使う神経を別のところに割けるようになるだけでサービスは格段に向上するし、前の人のレジのやり取りで待たされてイライラする客も減るから*3、スタッフにかかるストレスもその分減る。

むしろ、「人情味のある接客を期待するなら、キャッシュレスで!」と叫びたいくらいである。

ということで、以前のエントリーにも書いた通り、10月1日以降、これまで根性で(?)電子マネー決済をかたくなに拒んでいた飲食チェーン店などにようやく決済端末が入った、ということが自分は嬉しくて仕方がない。

そして、仮に、一連の消費税対策のキャンペーンが一過性のものに終わってしまったとしても、各店舗に決済端末が残り、これまできっかけがなくて現金をズルズルと使っていた人々がちょっとでもキャッシュレス決済の快適さに気付けば、中長期的には世の中変わっていく、と期待している。

なお、冒頭の日経紙の記事は、以下のようなフレーズで締めくくられている。

「キャッシュレス決済が定着すれば、企業は自社の電子商取引(EC)サービスに呼び込んだり、信用スコアを使った金融サービスを提供したりできる。コンビニなどでは現金の管理コストを減らし、人手不足の対応もできる。キャッシュレス決済を機に、より効率的な社会システムを築けるかが重要となる。」(同上)

この記事の、強調を付さなかった前半部分を見て、ほらやっぱり・・・と言い出す人が少なくないのも承知の上だが、そういった懐疑的な意見に対して、今自分が言えることがあるとしたら、

「決済を通じていくらデータを集めても、それを使いこなせるような技術も土壌も今の日本の大手企業にはない。だからご安心を。」

ということくらいだろうか*4

登録アドレスに時々飛んでくるダイレクトメールすら気になる、というのであれば仕方ないけど、それ以上の”脅威”を”可能性”だけで夢想して脅えるのはもったいない、の一言に尽きるので、一円玉がなくなる日まで同じことを言い続けよう、と思っているところである。

*1:引き上げ当日のエントリーは「2%」のアヤ - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*2:その意味で「○○ペイ」は自分は基本的にお勧めはしないし、おそらく日本で定着する可能性も高くないと読んでいる。セキュリティを高めれば高めるほど入り口のハードルが高くなる、というのは、消費者向けのツールとしては致命的だと思うところもあり。

*3:「現金決済主義者」の一番良くないところは、お店で会計をするのは自分だけじゃない、ということが頭に入っていないように思えるところ。常に釣銭なく瞬間的にきっちり会計を済ませる、というところまで徹底しているのであれば、それはそれで尊敬に値するけど、そこまでの人は自分はまだ見たことがない。

*4:逆に言えば米国系企業のサービスや、とがったベンチャー企業のサービスに関しては保障の限りではない。

これぞクライマックス。

土日も平日も関係なく、いろんな「宿題」に追われまくっていることもあって、”本業”のエントリーを書く気力まで湧いてこないのが申し訳ないところではあるのだが、今日も”ながら聞き”だったプロ野球クライマックスシリーズ・1stステージから・・・

この20年近くの間、「プロ野球離れ」を地で行くような経過を辿っていて、特に去年くらいからは、リアルタイムの映像を見る機会すらほとんどなくなってしまっている者にとっては、(最後の数イニングだけではあるが)久しぶりにリアルタイムで味わった実況だった。

「2年前の甲子園の雪辱!」だとか*1、次は読売ジャイアンツということで、「5年前の奇跡よもう一度」とか*2、西の方からはいろんな喝采が上がってきているとは思うのだけど、「ファンです!」と声高に語れるような連続性のあるチーム愛を前監督時代に放棄してしまった者としては、その辺はどうでもよい。

ただ、降りしきる雨の中、名実ともに不動の守護神として最後の2イニングを投げ切った藤川球児、というレジェンドの凄さと、その力投を伝える実況アナウンサーの声が、関東からははるかに遠いホームグラウンドで戦う選手たちに、心の中で必死に声援を送っていた時代の記憶を呼び起こしてくれた、ということだけはここに書き記しておきたいと思って・・・。

明後日から始まるファイナルステージが順当な結果に収まるのか、それとも再び天地がひっくり返るのかは分からないけれど、「淡々と結果のスコアを眺めるだけ」だったこれまでよりは、ちょっとは力が入るんだろうな、と。

そして、最終盤の戦いぶりに接しての「矢野監督は短期決戦に強い」という自分の思い込みが今のところまだ覆されていない、ということも*3、自分をちょっとだけ嬉しい気持ちにさせている。

*1:その当時のエントリーはこちら。あっけない下剋上。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*2:その当時のエントリーはこちら。白けたムードが思いっきり伝わってくるが、1stステージでの今思えばすごく貴重な一発を揶揄ってしまった福留選手に対してだけは、ここで謝っておきたい(まさかその後、ここまで劇的な復活を遂げるとは当時は夢にも思わず・・・)。奇跡のCS突破と胸をよぎる複雑な感情。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*3:特に先発投手の思い切った代え方はなかなかのもので、同じく短期決戦で運を呼び込むタイプのラミレス監督(今年のシリーズでも代打起用した乙坂選手のサヨナラ弾、なんてのもあった)との勝負を制したことで、いよいよセ・リーグNo1監督決定戦に挑めるぞ・・・と勝手に盛り上がっている。先発起用もさることながら、ここ2試合痛いところで打たれたセットアッパー・岩崎優投手をどう使うかがカギになりそう。

目指すべき場所は、そこではない。

ここ数年の傾向からして、過度な期待を寄せてはいけない、ということは自分に言い聞かせてきたつもりだったのだが、やはり突き付けられた結果はショックだ。

2019年の凱旋門賞。日本から参戦の「三銃士」が見事に枕を並べて討ち死に・・・。

今週末は、藤田菜七子騎手が、「土日で5勝固め打ち」というさらに殻を破る活躍を見せてくれたし、毎日王冠ではアエロリット姉さんが追走してきた馬を二の脚で振り落とす、といういつもの元気な姿を見せてくれる*1等、いろいろとご機嫌な話題も多かっただけに、日曜日の終わりの光景は何とも残念だった。

直前に降った雨のせいで馬場がかなり水を含んでいた、とか、ペースメイキングできる馬がいなかった、とか、毎年言われているような理屈を挙げるのは簡単。

ただ、今回参戦したメンバーは、「札幌記念」という洋芝の舞台*2で「予選」をクリアしてきた2頭(ブラストワンピース、フィエールマン)と、超不良馬場の菊花賞を制した道悪巧者で先行力もあるキセキ、という組み合わせで、これまでの参戦メンバーと比較しても相対的に適性が高いメンバーを並べた*3、という印象を抱いていたし、少なくとも「馬場」は理由にはなり得ない。

そして、こういう結果になってしまうと、そもそも勝負をかけるレースが、この時期の、この舞台のレースで本当に良いのか・・・と思わずにはいられないのである。

*1:勝負自体は外から一気に差してきたダービー2着馬・ダノンキングリーに敗れて2着、という形になったが、5歳秋になってもまだまだいける!と思わせてくれた一戦だったと個人的には思っている。

*2:ロンシャンとも馬場状態が近い、と言われている。

*3:切れ味勝負のフィエールマンに関してはちょっと難しいところもあるかな、と思ったのだが、他の2頭に関しては血統的にも戦績的にも勝てる要素は十分備えていたように思われた。

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