ここまで続いているドラマが、最後まで途切れないように。

恐れていた「関係者の感染」が遂に現実のものとなってしまった今週の競馬界。

週末の開催自体は予定どおり行われたが、前の週で当該職員と同じ部屋(阪神競馬場の調整ルーム)にいた藤懸貴志、川須栄彦岩崎翼の3騎手は不運にも乗り替わりの憂き目に。

さすがにこれはJRAの責めによるべき・・・ということで、何らかの騎乗機会逸失補償は出るのだろうと思われるが、レースが始まってからも武藤雅騎手が「病気」を理由に、突如土日8鞍乗り替わりになったり*1、本当にレースとは無関係のところでハラハラさせられた2日間だった。

これまで「無観客」でも粛々と毎週の開催を運営してきてくれていることには感謝しつつも、騎手や厩舎関係者がこれまで「感染者ゼロ」で持ちこたえている中で、本部職員が最初に罹患する、という失態を冒してしまったり、なぜかこんな時に「臨時払戻」を始めてみたり*2、と、ツッコミたいこともボチボチ出てきた今の状況。

桜満開の美しい阪神のターフをテレビ越しに見ながら、来週からのクラシックレースを見られるかどうかは五分五分かな、と悲壮な覚悟を決めていた自分ではあるが、今はちょっとでも良い方向に予想が外れることを願うばかりである。

そして、今週は、狂い咲きの老兵、クルーガー(牡8歳)の激走にしてやられたり(ダービー卿CT)、ラッキーライラック、クロノジェネシスという新旧世代の名牝馬たちはしっかり押さえていながら、またしてもステイフーリッシュに騙されて*3、日曜日を最後まで取り返せずに散々な状況になってしまったり、と、まぁまぁ痛い目にあってしまったところではあるが*4、来週からは、再び帰ってくるルメール騎手を軸に、再びどのレースも分かりやすい構図で追いかけていくことができるようになるはず*5

毎週末、同じようにレースが繰り返されても、一つとして「同じレース」はない。

そして、一つの週末が終わるたびに、次の週末のドラマが待ち遠しくなるのが、連続性のある競馬の世界なのだから、変なところで途切れてほしくはないな、と。

今は、ただそれだけである。

*1:どうやら発熱ではなく、腰痛によるものらしい、ということで安堵はしているが・・・。

*2:臨時払戻の実施について JRA参照。お金に困っている層への救済策、というわけでも無かろうに、なぜわざわざこのタイミングでWINSを開放して「密集」を呼び込みかねないようなリスクを冒すのか、自分にはさっぱり理解に苦しむところである。

*3:この馬、名前だけで勝ったホープフルSで美味しい思いをさせてもらって以来、コンスタントに追いかけているのだが、念入りに買うと大抵来ないし、それであきらめて買わないと激走する、という本当に厄介な馬である。

*4:これまで比較的よく当たっていた中山、阪神でレース展開がガラリと変わり、差し・追い込みが全く決まらない状況になってしまったことで、自分の予想のアルゴリズムも大きく狂ってしまった、というのが実情である。

*5:人気を集めるのはルメール騎手と依然リーディングをひた走る川田騎手だろうが、ここしばらく好調をキープしている松山弘平騎手や、土曜日5勝の大当たりで復活した福永騎手、といった騎手たちの乗る馬が人気の盲点になっているところを狙っていけば、馬券的にはいろいろと妙味は出てくるはず。関東でも田辺騎手、石橋脩騎手あたりのエンジンがようやくかかってきた気はする。復帰後の藤田騎手の調子が全く上がっていないように見えるのが気になるところではあるのだが。

遂に出た「司法判断」~色彩商標制度創設から5年、初めての審決取消訴訟判決に接して

平成27年4月1日、商標法の世界に鳴り物入りで導入された「新しいタイプの商標」制度。

特に色彩商標に関しては、「欧米に追い付く画期的な新制度」ということで、当時の特許庁の鼻息も随分荒かった*1

しかし、蓋を開けてみれば、想定を超える出願数に追いつかない審査*2、そして、次々と打たれる拒絶理由通知と、何度応答しても噛み合わない審査官とのやり取り・・・。

結果的に、ごくごく一部の例外を除いては「拒絶査定」が山のように積み上がり、出願件数を見ても、「色彩のみ」の商標出願は2015年の448件から、年を追うごとに激減(16年は42件、17年は22件)*3

元々、「登録されないこと」を確かめるために試験的に出願したケースもそれなりにあったと思われるとはいえ、散々な状況、というのが、現時点での冷静な評価ではないかと思われる。

そんな中、拒絶査定に対して果敢に不服審判を挑み、さらにその不成立審決に対して取消訴訟を挑んだ、という事例の判決が公表された。

今の審査運用に一石を投ずべく、ここまで歩みを進めた関係者のご尽力に敬意を表しつつ、以下簡単に概要をご紹介することとしたい。

知財高裁令和2年3月11日(令元(行ケ)第10119号)*4

原告:株式会社LIFULL
被告:特許庁長官

原告は不動産総合ポータルサイトを運営する会社で、出願したのは自社のポータルサイトで使っている「橙色(R237、G97、B3)」の色彩(単色)。

どんな色かは、実際に原告のポータルサイトを見ていただくのが一番だろう。

www.homes.co.jp

原告によれば、

「各不動産総合ポータルサイトは,それぞれイメージカラーを施しており,例えば,原告は橙色,「SUUMO(スーモ)」は緑色,「いい部屋ネット」は赤色,「O-uccino」はピンク色,「ヤフー不動産」は赤色,「アパマンショップ」は濃青色,「athome(アットホーム)」は紅赤色といった棲み分けがされている。」(4頁)

ということで、当初は広めに抑えられていた本願商標の指定役務は、審判請求時の補正により、「第36類(インターネット上に設置された不動産に関するポータルサイトにおける建物又は土地の情報の提供」と改められた。

そして、それに加えてテレビCMの実績や、2度にわたるアンケート調査の結果をもとに、

「本願商標の橙色は,原告による原告ウェブサイト及びテレビCMにおける使用の結果,本願の指定役務である第36類「インターネット上に設置された不動産に関するポータルサイトにおける建物又は土地の情報の提供」の取引者,需要者の間で,本願商標の橙色が独立して周知著名となるとともに,原告の業務に係る上記役務を表示するものとして認識されるに至ったものというべきであるから,本願商標は,その使用により自他役務の識別機能ないし自他役務識別力を獲得したものといえる。」(7~8頁)

というのが原告側の核となる主張であった。

これに対し、被告特許庁は、全国各地の不動産会社のWebサイトから「橙色」が使われているものをかき集める、という”いつもの手法”を取った上で、

「本願商標が登録された場合の保護範囲(禁止権)は,原告による主観的認識や事業規模の大小に関わらず,その指定役務と類似する役務にも及び得るものであり,また,本願の指定役務に係る需要者層は,住宅やマンションなどの不動産物件を求める一般の需要者であって,ウェブサイト等で情報を収集した後は,物件の売買や賃貸の実施に取り掛かるのが通常であるから,不動産の売買や賃貸の仲介等を行う不動産取引関連サービスの需要者層と重複しており,サービスの内容(不動産関連の情報を提供する)も密接に関連するから,その需要者をして,不動産総合ポータルサイトとその他の不動産取引関連サービスにおいて,似通った商標が採択された場合,極めて相紛らわしく,出所の誤認混同が生じるような,類似の関連性がある。」(9頁)

と取引の実情に照らして識別力を否定、さらに、CMでの使用と本願商標の結びつきや、アンケート調査結果の信ぴょう性等についてもことごとく争い、3条1項6号に該当する、として審決の維持を求めた。

「掲載物件数1位」(平成28年2月25日現在、原告主張による)を誇るポータルサイトで年100億円以上の売上を上げている原告にしてみれば、「SUUMO」や「アットホーム」などとの関係で自分たちの「色」こそがブランドを作っている、という思いは強かったのだろうし、だからこそ、徹底的に争って審決取消訴訟まで、ということになったのだろう。

ただ、本件はそうでなくても登録のハードルが高い、と言われている単色の色彩の登録が争われた事件である。

そして、一般的な「コーポレートカラー」の色彩商標登録を求める事案とは異なり、本件のようなWebサイト上での使用だけで識別力取得を主張する事案で、単なるデザイン的側面を超えた「色」の出所識別機能をアピールするのは、ちょっと難しい面もあったような気がするし、「別紙2」として添付されている使用態様を見てもなお、「これってただの背景色では?」という指摘は免れにくかったような気がする*5

結果的に、裁判所も、以下のような理由で原告の主張を退けた。

「前記(ア)及び(イ)認定のとおり,①本願商標は,橙色の単色の色彩のみからなる商標であり,本願商標の橙色が特異な色彩であるとはいえないこと,②橙色は,広告やウェブサイトのデザインにおいて,前向きで活力のある印象を与える色彩として一般に利用されており,不動産の売買,賃貸の仲介等の不動産業者のウェブサイトにおいても,ロゴマーク,その他の文字,枠,アイコン等の図形,背景等を装飾する色彩として普通に使用されていること,③原告ウェブサイトのトップページにおいても,別紙2のとおり,最上部左に位置する図形と「LIFULL HOME’S」の文字によって構成されたロゴマーク,その他の文字,白抜きの文字及びクリックするボタンの背景や図形,キャラクターの絵,バナー等の色彩として,本願商標の橙色が使用されているが,これらの文字,図形等から分離して本願商標の橙色のみが使用されているとはいえないことを総合すると,原告ウェブサイトに接した需要者においては,本願商標の橙色は,ウェブサイトの文字,アイコンの図形,背景等を装飾する色彩として使用されているものと認識するにとどまり,本願商標の橙色のみが独立して,原告の業務に係る「ポータルサイトにおける建物又は土地の情報の提供」の役務を表示するものとして認識するものと認めることはできない。」
「したがって,本願商標は,本願の指定役務との関係において,本来的に自他役務の識別機能ないし自他役務識別力を有しているものと認めることはできない。」
(以上20~21頁、強調筆者、以下同じ)*6

ちなみに、被告が引用した他の不動産会社のサイトとの違いを強調した原告の主張は、以下のような理由であっさり退けられている。

「原告が主張するように掲載物件数が常時100万件以上の不動産総合ポータルサイトが日本全国の不動産情報を網羅しているとしても,不動産総合ポータルサイトと他の不動産業者が開設するウェブサイトとは,インターネット上で不動産情報を入手するための入口であるという点で共通し,不動産関連の情報を提供するというサービスの内容が密接に関連していることに照らすと,上記需要者において,これらが質的に異なるものと認識するものと認めることはできない。」(22頁)

判決は、そもそも不動産総合ポータルサイトに接する需要者が「色彩のみによってポータルサイトを識別可能な状況にある」とすること自体を否定しているから、少なくともこの分野で「色彩」で商標としての識別力を認めてもらうのはかなり難しい、ということが明らかになったと言えるような気がする(そして、それを明らかにした、という点では、原告がここまで争ったことも全く無意味ではなかったと言えるのかもしれない)のだが、いずれにしても、ここまであっさりとした判断になってしまったのは、本件の特殊性(というか、少々の無理筋性)ゆえであり、本判決の判旨をテンプレートのように他の事案に使い回して、審決が書かれるようなことはあってほしくないな、と思わずにはいられない。

また、本件では、識別力獲得を立証しようとして使われた「アンケート調査」の結果についても大いに疑義が呈されている、ということも指摘しておく必要があるだろう。

詳細は判決文のリンクで直接ご覧いただくのが良いと思うが、最初(審判段階)で行った博報堂による第一次調査は、

「「不動産・情報サイト」の名称として「LIFULL HOME'S」や「HOME'S」と記載した228人を対象として,本願商標の橙色を見せ,思い浮かべた不動産・住宅情報サイトの名称を記載させるという方法」(24頁)

というあるまじき方法で行われたアンケートであり、いかにフリーアンサー形式の記載だといっても、

「その対象者は,調査前から原告ウェブサイトの名称を認識していた者に限定されており,しかも,本願商標の橙色を示す前の段階で,原告ウェブサイトの名称を示され,いわば正解をほのめかされた状態で回答しているといえることから,原告ウェブサイトの名称を記載する回答する者が高い確率で現れるのは当然であるというべきである。 したがって,第1次調査の結果を採用することはできない」(24頁)

ということで、裁判での証拠資料とするには無理があり過ぎた。

また、訴訟提起後に行われた第二次調査(楽天インサイトが実施)は、スタンダードな方法で実施したがゆえに、

「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」と回答した者が13.2%,「HOME’S(ホームズ)」と回答した者が41.8%と,その合計は55%とさほど高くなく,むしろ,「SUUMO(スーモ)」と回答した者が16.3%,「athome(アットホーム)」と回答した者が10.9%,「この中にはない・わからない」と回答した者が14.5%と,一定の割合を占めており,「SUUMO(スーモ)」と回答した者及び「この中にはない・わからない」と回答した者の割合は,「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」と回答した者の割合を上回っている。」

と、有利な立証をするために用いるには、あまりに厳しい結果だった*7

冒頭でも申し上げたように、ここまできちんと争って裁判例を残した、という点で、本件の関係者には改めて敬意を表したいと思っているし、訴訟の過程における主張も、概ねスタンダードな組み立てになっているから、今後の参考にもできるものだとは思う。

だが、残念ながら今回の事例だけでは、今の色彩商標登録の厳しいハードルは全く揺らぎもしないわけで、それだけに、この先も知財高裁の手による第2弾、第3弾の判決が(そして願わくば審決を取り消す判決が)出てきてくれることを自分は願ってやまないのである。

*1:懐かしいエントリーとしては、新しいタイプの商標をめぐる暗中模索。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~。そういえば、J-Platpatが導入されたのもこの頃のことだったか、と今さらながらに思い出す。

*2:導入後半年くらい経ったタイミングでのエントリーがこちら。いまだ見えない「新しいタイプの商標」の行方。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*3:https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2019/ebook/html5.html#page=123参照。

*4:第4部・大鷹一郎裁判長、https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/305/089305_hanrei.pdf

*5:そして、そうなると、特許庁がかき集めてきた他の不動産会社のWebサイトとの比較で、「自分たちだけが!」という主張し続けることも難しくなる。

*6:なお、これはあくまで本来的な識別力の有無に関する説示であるが、使用による識別力取得の主張についても、同じ事実を前提としつつ、「原告による原告ウェブサイトにおける本願商標の使用の結果,本件審決時(審決日令和元年7月31日)において,本願商標の橙色のみが独立して,原告の業務に係る「ポータルサイトにおける建物又は土地の情報の提供」の役務を表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。」(23頁)として、原告の主張を退けている。

*7:原告としては50%を超えているからまだ使える、という判断だったのか、それとも、裁判所に「出す」といった手前出さざるをえなかったのか分からないが、いずれにしても、このレベルの結果なら裁判の証拠としては使わない方が良いのではないかな、と個人的には思うところである。

今日のCOVID-19あれこれ~2020年4月3日版

日々刻々と増えていく感染判明者数が、今日初めて300人を超えた。

街中の光景を断片的に切り取れば、それまでと変わらないような他愛ない日常は各所にまだ存在しているが、ちょっと前までは「小さな日常の巨大な集合」で構成されていた都心部においてすら、そんな光景は今や「点景」でしかない。

今週もいろいろと大きな動きはあったが、その中でも一番大きかったのは、「塚田農場」で知られる㈱エー・ピーカンパニーが31日に出したリリースをきっかけに、あっという間に広がった「飲食店臨時休業」の動きだろう。

昨日は、鳥貴族と串カツ田中HD、そして今日は一家ダイニング、チムニー、ハブ、ホリイフード、ヴィアHD・・・。

こうした環境下であっても当社店舗をご利用いただいているお客さまの思い、商品の販売先がなくなる生産者の無念を鑑みますと、洵に断腸の思いでありますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」(強調筆者、以下同じ)

という言葉で締めくくられる㈱エーピーカンパニーの開示文書から伝わってくる無念の思い*1と、そこに記された首都圏店舗の「20日間休業」(2日~21日まで)、他道府県の店舗もすべて一定期間休業、という対応のインパクトがあまりに大きかっただけに、その後出てくるリリース(期間は長くても12日まで、となっているものが多いし、対象店舗も首都圏に限られているものが多かったりする)は、もはや読み流すしかなかったのだが、それでもこれだけ次から次へと出てくると、やはりただ事ではない、という状況は十分伝わってくる。

そして今は、現時点で「12日まで」としているチェーンも、来週になれば、「第2報」「第3報」を打たざるを得ないような状況になることは明々白々なだけに、同じタイミングで「臨時休業」を発表したコシダカHD、ラウンドワンといったレジャー系産業と並び、この業界が今回いかに割を食っているか、ということに思いを向けずにはいられない。

とはいえ、これも一つの経営戦略。

巷からは「生きるために営業する」といった個人経営飲食店の声なども聞こえてくるのだが、固定費はもっぱら賃料と水光熱費で、あとは仕入れと売り上げのバランスがカギになる個人経営のお店と、比較的規模が大きく店舗も多数展開しているチェーン店とではコスト構造が根本的に異なる。

そして、後者の場合、最大のコスト要因は人件費だったりもするから、今のような客の入りが悪い状態(しかも、この先当面は改善が見込めないような状態)で、無理に営業を続けずにバッサリ休業させてしまう、というやり方は極めて合理的なわけで、単純に「かわいそう・・・」と同情を寄せられるだけの話ではない*2

今のような状況下では、傷を広げないことが何よりも大事なわけで、まだ少しでも余力があるうちに、とにかくコストを切り詰めて嵐が過ぎるのを待つ。
それがもっとも現実的な対応であることは、言うまでもないことだから・・・

もちろん、それぞれの店に贔屓客、常連客もいる中で、バッサリと「止める」決断をせざるをえなかったそれぞれの経営者の思いには目を向けざるをえないし、いつか「平時」が戻ってきたときには、そういう思いに応えるのが、しがない一消費者にできる唯一のことなのだが、残念ながらそれはもっとずっと先の話になりそうである。

*1:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200331487930.pdf

*2:賃料にしても、今、支払猶予を求められて「拒否する、さっさと出ていけ」とばっさり言いきる勇気がある家主はそうそういないから(今は代わりのテナントを探すのもままならない状況だから・・・)、交渉した結果、猶予、減免になるケースは決して少なくない状況だと思われる。

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今日のCOVID-19あれこれ~2020年4月2日版

月の区切り、かつ、ついでに年度まで変わった昨日は、それまでだいぶ落ち着いてきていた23区内の人出がまた逆戻りしてしまったようで、日中はどこに行っても人の多さばかりが目についた。

もちろん、月末から月初(そして多くの会社では年度末から年度初)という一番ややこしいタイミングゆえ、どうしても「紙」で大量に出てくる請求書やら伝票の処理やらで、やむなく出社した人もいたとは思うけど、年度初めの社長の訓示だとか、新入社員の受け入れだとか、といった、今この状況下においてはどうでもいいことで駆り出された人も少なくなかったはず*1

「持病がなければ大丈夫」、「若い人は重症化しない」、「子供は感染しても平気」等々、これまで”常識”のように言われていたことが、ことごとく覆されるような事例も出てくる中で、つい1,2週間前に比べれば、より多くの人が危機感を共有できるような状況になってきているとは思う。

ただ、それでも、どこかで、「一日くらいは」とか、「この行事だけは」「この会議だけは」みたいな平時の発想から抜け出せない人たちは、それなりにいるわけで、いくら何週間も在宅でしのいだところで、「一日の隙」が、全てをぶち壊してしまうのだよ・・・ということは、良識ある人々の手で改めて広く知らしめられて欲しいな、と思うのである*2

そして、日が変わって、再びガクンと人が減ったにもかかわらず、あえて狭い空間でマスクを外してぺちゃくちゃ会社のグチで盛り上がっている中年サラリーマン集団とか*3、ファーストフード店を団体で訪れて茶飲み話をしている高齢の団体客とかが、姿を消したとき、ようやく「ピークアウト」の夢を見ることもできるのではないか、と思っているところである。

新型コロナウイルスの感染拡大下における「株主総会運営に係るQ&A」

さて、招集通知送付から当日まで、日々イレギュラーなオペレーションを強いられることとなった怒涛の3月総会が山を超えたのは、まだつい先日のこと。

中には、前年、当日出席で2,424名もの株主が議決権を行使していた会社が、今年は約20分の1の144名で総会を終えたという例もあり*4、今年の状況がいかに極限だったか、ということも良く分かる。

そんな中、本日、経済産業省法務省の連名で以下のようなQ&Aが公表された。

www.meti.go.jp

中身を見ると、役所がオフィシャルに出したQ&Aとは思えないほど踏み込んだ記述になっている。

何といっても冒頭から繰り広げられるのが、

「Q1.株主総会の招集通知等において、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために出席を控えることを呼びかけることは可能ですか。」(強調筆者、以下同じ)

(A)可能です。
 感染拡大防止策の一環として、出席を控えるよう呼びかけることは、株主の健康に配慮した措置と考えます。
 なお、その際には、併せて書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましいと考えます。

という問答。

さらに、様々な議論も出ていた「会場に入場する株主の人数を制限する」ことの是非についても、

新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、合理的な範囲内において、自社会議室を活用するなど、例年より会場の規模を縮小することや、会場に入場できる株主の人数を制限することも、可能と考えます。現下の状況においては、その結果として、会場に事実上株主が出席していなかったとしても、株主総会を開催することは可能と考えます。」

ときっぱり言い切っている。

「非常時」の落とし子とはいえ、これぞ株主総会2020」

当ブログでもグチがてらにいろいろと申し上げてはきたが*5、こんなに早くオフィシャルな動きが出てくるとは正直思わなかったわけで*6、関係者のご尽力には敬意を表するしかない。


幸か不幸か、最近チラホラと出てくるようになった「4月総会」の会社の招集通知を見ると、会場は前年までと変わらず「大きなハコ」を使っているところが多いし、招集通知上の「注意書き」も比較的おとなしめの記載に留まっている。

これらの会社の総会担当者たちが3月総会会社のあれこれをキャッチしていなかったわけではないだろうから、どうしてこうなってしまったのかは分からないのだが*7、このままいくと再び、総会当日に向けてイレギュラーな対応を強いられる会社は少なからず出てくるだろう*8

そして、それに続く5月総会、6月総会ともなってくると、もうこれは最初から「全てを非常時モードにする」という覚悟がないと乗り切れないんじゃないか、とすら思う。

だが、だからこそ、今、このタイミングで踏み込んだ見解が示されたことの意味は大きいし、理論上のリスクを机上で想定してあれこれ悩む手間が省ける、という点で、担当者にとっては非常に心強い資料になるのではなかろうか。

そもそも総会以前に、決算が締まらず、事業報告に書き込む数字も決められず・・・という悪夢との戦いが待ち受けている会社もいくつかは出てきてしまう可能性もあるし、6月の話を今からしていると、現世最強の鬼、coronavirusに笑われてしまうかもしれないが、それでも、一つでも多くの会社が、猛烈な逆風下の「株主総会2020」を無事乗り切り、そして、「ポスト2020」ともいうべき、会社と株主との新しい関係の築き方を考えるきっかけを得られることを、自分は願ってやまないのである。

*1:自治体も、保健所も、各地域の医療機関も、不眠不休で何とか感染拡大を食い止めようと必死で対応している中で、中央省庁が堂々と人を集めて「入省式」を行っている、というのはどうなのかなぁ・・・と、思わざるをえなかった。平時には「儀式」にもそれなりの意味があるのかもしれないが、今やるべきことと、そうでないことはやっぱりきちんと切り分けないと、事態はどんどん悪くなっていってしまう気がする。

*2:ここ数日公表されている感染例の中にも、三連休の間の”気晴らし”の会食等が原因と推察されるような事例は結構あった。3月中旬から在宅勤務に入っていたような会社ですら、だ。

*3:諸般の事情により、本年4月1日以降、特定の嗜好品をたしなもうと思ったら、極めて狭く、決して換気も良いとはいえない空間に強制的に押し込められざるを得なくなっているのだが、そういう場所に限って、「三密」を自ら作り出そうとする輩がより多かったりもする。

*4:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200331487423.pdf参照。しかも、最終的に書面投票や電子議決権行使の人数を合計すると、昨年よりも議決権行使株主数自体は増えている。

*5:直近の記事としては、災い転じて福となるか? ~厳戒体制下の「株主総会2020」が気付かせてくれたもの。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*6:「Q5.新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、株主総会の時間を短縮すること等は可能ですか。」という問いに対して、「株主総会後の交流会等を中止すること」という答えまで入れてしまっているのは正直余事記載(交流会はあくまで”余興”に過ぎず、本来、株主総会の有効性等に何ら影響するものではないのだから・・・)だと思うが、3月総会で起きたことをひたすら取り込んで後々まで残す、という意味ではこれもまた、意義のある記載といえるのかもしれない。

*7:ちょうど招集通知作成に向けた佳境の時期が、世の中に”緩み”ムードが出てきた時期に重なってしまったことが原因なのかもしれないが、「リスクを減らす」ための強い意思がもう少し前面に出てきても良かったかな、というのが率直な思いである。

*8:しかも、3月総会の時に増して、関係者の在宅勤務率は上がり、事務局の社員や壇上の役員が罹患する可能性も高まっているわけだから、「万が一」のリスクもより高まっているのは間違いない。

2年目の桜。

今日であれから1年。

当日のエントリーは感情を抑えてごくごくサラッと書いたし、別のSNSではとてもポジティブな自分を演出していたが、内心は全く穏やかなものではなかった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

元々、40を過ぎても、一つの会社の肩書だけでしか生きられないような人生は嫌だな、というところが出発点になって、前々から心の中で温めていたプランではあったものの、いろんな看板を背負わされ、現場の最前線で指揮を執り続けていた状況の中で、構想を具体化するためにあれこれ画策するような暇は全くなかった日々。

それが一昨年から昨年にかけて、様々な環境が激変する中で、極めてドラスチックに、それこそ「清水の舞台から飛び降りる」というか、それとも「紐を付けずにバンジージャンプ」というべきか分からないようなリスクの高い道を選んだのが、1年前の自分だった。

そこから366日。

桜咲く近くの川べりの光景は一年前と全く変わっていないはずなのに、歩きがてら肌で感じた風は、去年よりずっと暖かかった。

飛び出す前から今に至るまで、自分を支えてくれている古巣の人々。
長年温めていた構想を実現させてくれた旧知の業界関係者や同業者の方々。
自分が何者であるかを知っていようがいまいが、日々絡んでいただけるSNS界隈の才気あふれるエンターテイナーの皆さん。
そして、環境の変化がなければたぶん出会えず、仕事をお引き受けするご縁にも恵まれなかったであろう、多くのクライアントの関係者の皆様方・・・。

自分が、これだけ多くの方々に支えられて生きているのだな、ということをこれだけ実感できたこともないかな、と思うくらい、嬉しいこと、感謝したいことに恵まれた一年だったのは間違いない。

そして、様々な、これまでとは異なる角度から「企業法務/企業内法務」の世界に改めて向き合うことで、そんなに自覚したことのなかった自分のアドバンテージだとか、逆に、「そういえばここはあまりやったことがなかったな・・・」という分野がまだまだ存在することとかにも、気付くことができた。

1年前は、「これから10年、20年、これまでの経験をただひたすら吐き出して、小出しにして生きていくしか道はないかな」という覚悟もしていたのであるが(そして、もちろんそういう一面もあるのだが)、今はむしろ、この歳にして新しい分野に足を踏み入れ、新しい知見を貪欲に吸収していける機会の方が多かったりもするし、単なる「法律の専門家」というポジションを超えて、経営のダイナミズムにコミットできる機会も劇的に増えた。

そんな「今」を、2年前の自分に伝えたら「何夢見てるんだよ」と一蹴されたのは間違いないし、1年前の自分ですら、たぶん信じはしなかっただろう。
だけど、それはまさに現実で、まさにここにある景色だったりもする。

***

元々自分の中での仕事の定義は「事業を進めること」、雑な言葉でいえば「金を稼ぐこと」に貢献してこそ法務、というものだから、「コンプライアンス」だとか、「リスクマネジメント」といった仕事は、自分の”本業”では全くないと思っていた(そして、それは今でも変わらない)のだけど、そうはいっても20年以上、様々な「危機」と隣り合わせに接していれば、自ずからリスクの類には敏感になる。

昨今の「COVID-19禍」において、世の中の人々を一番イラつかせているのは、最初に立てた見通しが次々と覆されていくことにある*1、ということなのではないかと思っていて、(それはそれで「パニックを防ぐ」等の様々な深謀遠慮はあるにしても)リスクに長く向き合っていた者としては、傍から見ていて一番フラストレーションがたまるところ。

なぜなら、あらゆる希望的観測を排除して、「最悪の事態」を想定するところからスタートするのが「リスクマネジメント」の要諦だから。そして、知らず知らずのうちに、そういう思考を染みつかせたのが、「現場での長年の法務経験」に他ならなかったからだ*2

逆にいえば、それが、自分自身を長く足踏みさせていた要因でもあったわけで、組織を離れる、という決断をする前も、いや、した後ですら、頭の中で最初に描いていたのは、

「このまま日々の収入ゼロで推移したら、あと何年、手元の資産で生き延びられるか」

というシミュレーションだったりもした。

幸い、経済的な面に関していえば、拍子抜けするくらいにシナリオの逆を行く形になったし、それ以外の想定していたあれこれも、思いのほか良い方向に予想を裏切られることが多かったのだけど、一方で、高熱を出して数日寝込んだ時の不安感だったり、昨年末くらいからそろそろ新しいスタッフを加えて規模を拡大しようかな、と思っていた矢先に起きた昨今の「新型コロナショック」だったり、と、リスクシナリオをさらにバージョンアップさせるような出来事だって、それなりにあったのは確かだ。

ただ、今確実なのは、一年前に動いていなければ、前向きな発想や生産性を失った組織の中で、朽ちて、消えていたかもしれない仕事への「熱」を未だに持ち続けることができていること。それだけは胸を張って言える。

この先、変わっていく世界の中で、荒波にのまれて吹き飛ばされる可能性は十分にあると思っているし、そもそも、決してリスクファクターが少ないとは言えない自分が、1年先、まだこの世で生き延びられているかどうかすら何の保障もないとは思っているのだけれど、とにかく今は、友人、知人に、大切なお客さま。そして、無謀な挑戦の背中を押し、今日まで支えてくれている家族の思いに一日でも長く応え続けていたい、そんな思いで生きている。

そしてささやかな希望としては、一つでも多くの会社の「法務」の礎を支えている方々に希望の灯を捧げること*3、それに尽きる。

次にまためぐってくるはずの桜の季節をどんな気持ちで迎えられるか、今はまだ想像もできないのだけれど、地に足を付けて一歩ずつ、小さな足跡を刻んでいければ、と思っているところである。

*1:2週間我慢すれば何とか・・・のはずが、その後も2週間、さらにまだまだ先に延び、それに合わせて様々なビッグイベントも何度も延期の判断を強いられている。

*2:新型コロナに関していえば、少なくとも3月を超えて4月に入っても状況が良化するはずがないだろう、ということは、隣の国の状況を見ても容易に推察できたことのはずで、だったらその先まで見越してどういう手を打つか、という話を3月の時点でしていてほしかったのに、その辺が見えてこないのがちょっとなぁ・・・という気はしている。もっとも、自分が想定した最悪シナリオに比べたら、今の足元の状況(これを書いている週末の時点では、東京の感染判明者はまだちょうど100人を超えたくらいの規模に過ぎない)はまだまだ余裕のあるレベルだと思うし、その意味で政府のこれまでの対応は、いつになく効を奏しているのではないか、と柄にもなく賛辞を送ってみたくもなるのだが・・・。いずれにしても、「最悪」のシナリオを出発点にすれば、たいていの場合、その手前で現実が止まってくれるから、精神的には穏やかに過ごせる、というところはある。

*3:さらに欲を言えば、自分自身が同時に使いこなせる「名刺」の数を増やしたい、というのもあるが、今日のところはそれはひとまず置いておく。

2020年3月のまとめ

先月以上に、輪をかけて「新型コロナウイルス」の脅威がヒートアップした、長いようで短かかった1か月が終わった。

この話題に触れ始めた頃は、まだまだ「大した話じゃない」「自粛よりも経済活動を!」みたいな声の方が優勢で、とても肩身の狭い思いをしていたのだが、31日間過ぎるうちに、当たってほしくない予想が次々と現実のものとなり、今では自分のスタンスよりもはるかに過激な「引きこもれ!」的な声がSNSの世界を跋扈するようになってきている。

自分は感染症の専門家でもなければ、預言者でもない。

他の人たちが慌てふためく姿を指さして笑えるほど、冷静に日々を過ごせている自信もない。

ただ、ここに来て、仕事でも家庭でも、この20年ちょっとの間、知らず知らずの間に自分の中に染みついていた「リスクと向き合うために必要なマインドと直感」が、多少なりとも役立てられているのかな、と思うことはままあるわけで*1、この非常事態の真っただ中、まずは「自分自身が生き残ること」を最大の目標としつつも、ひっそりと、どこかで、誰かのためになることができればな、と思っているところである。

ちなみに今月のページビューは28,000強で、3月の数字としては、実に7年ぶりのアクセスだった(セッション18,000強、ユーザー10,000強)。

ここ数年は、年度末であれやこれや追われている中で、ブログに目を向けている余裕もなかった3月。

今年も相応に仕事には追われていたはずだが、その中身が、BCP的な対応とか、3月総会といった、まさに旬のネタにフォーカスできたことと、仕事外の時間の自由度がこれまでと比べてはるかに増したことが、様々なネタを提供する機会を得ることにつながったのではないかと思っている*2

まだまだ立ち止まりたくはないタイミングではあるのだけれど、今は、少々足踏みしてでも、とにかく体を大事に、そして明日どうなるか分からない状況の中、一日一日を悔いなく過ごすのだ・・・という思いで、したたかに生き延びていければ、と。

<ユーザー市区町村(3月)>
1.↑ 大阪市 1209
2.↓ 千代田区 1,106
3.→ 港区 1,033
4.→ 新宿区 991
5.→ 横浜市 914
6.→ 名古屋市 355
7.→ 渋谷区 313
8.→ 世田谷区 294
9.→ 中央区 228
10.圏外 札幌市 188

今月は大阪市からのアクセスがすごかったな、という印象。

あと、一時期とても心配だった札幌市から、結構アクセスがあったのは嬉しくて、「社会的距離」を保つにはちょうど良い環境でもあるだけに、日本の復活は「北」からやってくると、自分は信じている。

続いて検索ランキング。

<検索アナリティクス(3月分) 合計クリック数 2,440回>
1.→ 企業法務戦士 255
2.↑ 企業法務 ブログ 88
3.↑ 東京スタイル 高野 62
4.↑ 企業法務戦士の雑感 44
5.圏外ダウンロード違法化 2020 38
6.↑ 企業法務 28
7.圏外高野義雄 28
8.圏外違法ダウンロード 2020 25
9.圏外電話ボックス 23
10.↓ 高野義雄 東京スタイル 21

故・高野社長関係の検索が多いのは変わらないのだが、「違法ダウンロード」関係のアクセスが多かったのは、最近そんなに大した記事を書いていないことを考えると、ちょっと意外な気もする。

むしろネタ的には、断トツで今月のトップツイート(インプレッション11,130)となった以下の記事のキーワードリンクで飛んできてほしかったところだけど・・・。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

なお、2カ月ぶりに紹介する書籍売上では、↓の本がとにかくよく売れた。

<書籍売上ランキング(3月分)>
1 年報知的財産法2019-2020

年報知的財産法2019-2020

年報知的財産法2019-2020

  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: 単行本

まぁ当然と言えば当然だが、長く続いている良い企画だけに、この本を紹介した記事*3ともども、引き続き強く推挙させていただくこととしたい。

*1:詳しくは1日付の「2年目突入記念エントリー」の中で書ければ、と思っているが・・・。

*2:ちなみに、一連の「コロナ禍」で世の中の多くの事業者が悲痛な叫びをあげている中、1Q(1-3月期)の数字は、対前年比でトップラインで+26%、ボトムに至っては∔161%くらいになっていて(もちろん、1年前はまだ純粋給与所得者だったから、税金の支払いタイミング一つとっても違うことは考慮しないといけないのだけど、税引前の比較でもざっと倍増。毎月帳簿を閉めるたびに、サラリーマンというのがいかに無駄な支出の多い人種だったか、ということを改めて思い知らされる日々である)、申し訳ないような気持ちになる。ご多分に漏れず、この一連の「禍」の中で先々の予定が軒並み吹っ飛んでしまったので、来月からはひたすら「生活防衛」に徹しないといけなくなりそうな状況ではあるのだが、それでも無借金で三食食えるだけの生活はできそうな分、個人事業主としてははるかに恵まれている。これを感謝せずして何を・・・というところではある。

*3:こんな時だからこそ目を向けたい今年の知財法の動き&マリカー知財高裁終局判決への雑感を少々。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月30日版

緊迫度合いが一段と増してきた首都圏。

そして、週の始まりは、数日前に「感染」が公表されたばかりの超有名コメディアンの悲報から始まった。

他国に比べれば、この日本では一連の新型コロナ禍で亡くなられた方々の数は本日時点で「50名強」と、決して多いとは言えない数に留まっている。

だが、1人でも2人でも、尊い命であることに変わりはないし、ましてや、つい数日前まで最前線で活躍されていた方の命が一瞬で奪われていく、ということの恐ろしさは、まだ感染拡大が”序の口”に過ぎない今のタイミングだからこそより心に突き刺さるのも確かなわけで、もはや笑いごとでも他人事でもない目の前にある脅威から自分たちの身をどう守るのか、ということに思考を集中すべき段階に入っている、ということを改めて思い知らされることになった。

今は、世代を超えて親しまれた故人のネタをささやかな酒の肴にしつつ、在りし日を偲んで悼む、などという試みすらままならない状況ではあるが、いつかこの嵐が去った時、最後まで世の中を動かすインパクトを与えて去っていった「志村けん」という人物を、国民総出で見送れるときが来てくれることを、自分は願ってやまない*1

フェイクニュース」への怒りを込めて。

そんな話の流れの中で、より悪質で、愉快でないことに触れなければならないのは大変残念なのだが、先週末くらいから、「今週中にも東京ロックダウン」みたいなノリの「フェイクニュース」が、いろんなところから流れ込んでくるようになった。

よくよく聞いてみると、「どこどこの政治家に近い××××(メディア名)の関係者から聞いた」とか、「霞が関の○○省で働いている人の友人の友達から聞いた」等々、大体突っ込みどころ満載の話なので、自分自身は歯牙にもかけていなかった*2のだが、まさに年度末、四半期末佳境でピリピリしている人が多い状況だけに、それを鵜呑みにしてバタバタとWeb会議をおっぱじめたり、(よりによって動くな、と言われている週末に)人を集めたりした会社もあったようである。

さすがにそういった「噂」が出ていること自体を捨て置けないと思ったのか、安倍総理も、菅官房長官も、いつになく迅速な対応でピシャリと憶測を封じて見せたのだが、そもそもこういう根拠のない話がなぜ出てくるのか、そして、なぜそれを真に受けて伝播させてしまう人がいるのか・・・。

そもそも、この日本において、強制力を持って移動を封じ込める、という意味での「ロックダウン」*3を行うのは、法的には不可能だし、物理的にも極めて困難である。

そして、このブログでもたびたび書いてきた通り、過剰なインパクトを与える割にはそれに比した効果は期待できないのが、この種の「一律の行動制限」なのであって、どれだけ「自粛」を求めても、なお「満員電車」が走り続けるような無秩序状態に陥らない限り極力切られるべきカードではない、と自分は思っているし*4、良識ある人ならこの程度のことは誰にでも理解できることである。

にもかかわらず、なぜ、それをあたかも「既成事実」であるかのように吹聴し、拡散する輩がいるのか。

都知事自ら「夜の繁華街」への出入り抑制を訴えるのは大いに結構なことだと思うのだけれど、それに加えて、「誤った噂をまことしやかに伝播したものは、2週間メールもSNSも禁止!」というルールも作ってほしいと思う、今日この頃である。

*1:世の中の話題はもっぱら「ドリフ」だが、自分が一番好きだったのは、映画「鉄道員」の中での、”全く素のように見えて一番泣かせた演技”。原作と比べてしまうと、あの映画自体は正直どうしようもない代物だったと思うのだけど、原作に出てこない創作キャラクターだからこそ、の絶妙な味があって、あの瞬間(暫しの笑いの後に訪れた真反対の瞬間)だけは迂闊にも落涙しかけたのだった。

*2:大体その手の筋からなら、より確度の高い情報は入手できるネットワークを持っているつもりだし、そっちから何もなくて、明後日の方向から風が吹いてきている時点で、到底信用する気にはなれない。

*3:「回避したい」という文脈での発言とはいえ、この言葉を安易に使ってしまったのは小池都知事がここまでに冒したミスの一つではあると思うのだが(しかも「比較対象」とされている都市に関する情報も、極めて一面的である)、それはさておき・・・。

*4:お上の「ルール」を自分の頭で柔軟に解釈できる人々が一定の発言権を持っている国であればまだしも(現地からの生の情報に接していると、「ロックダウン」といっても常識的な範囲での行動の自由は残されている、ということに気付くし、それが殊更に非難を浴びる、というような状況というわけでもないようである。もちろん例外はあるだろうが)、「禁止」と言われると、週末にちょっと外に出ただけでもつるし上げにしたがる人が多い国では、「強制」に等しい指示を出すことによる弊害も意識しなければならない。

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