いろんな気候の偶然が重なったとはいえ、「桜花賞」の背景映像であんなに美しい桜を見ることができたのはいつ以来だろうか*1。
そして、そんな舞台設定に、「混戦」と言われながらも2歳GⅠの1,2着馬が順当に上位を占める、という古典的な展開が見事にはまった。
なんだかんだ言っても、昨年末の時点で、牝馬マイル路線では頭一つ抜けていたのがアスコリピチェーノとステレンボッシュだったわけで、今回僅かな差で順番が入れ替わったのは、騎手の格と厩舎の経験値の違いゆえ、なのかもしれないが、それでも2頭とも甲乙つけがたい出来だった。
さらに、この2頭に続いて、名牝の血を引くあの馬が来てくれていれば、文句なしのクラシック第一弾となったはずだったのだが・・・。
スワーヴリチャード産駒のスウィープフィート。その名の通り、母系を辿ればスウィープトウショウに遡る。
阪神JFはそれほど人気にもならずに7着。年明けのエルフィンSも2着。
だが、武豊騎手に乗り替わったチューリップ賞で5番人気ながら優勝し、祖母と同じタイトル*2を手にしたことで、俄然、クラシック路線の”台風の目”となった。
かつては桜花賞上位常連だったチューリップ賞優勝馬も、ここ数年は3着以内にすら入れておらず、馬券に絡んだ馬、といえば6年前のラッキーライラック(アーモンドアイの2着)にまで遡らなければならない。
だから、今年のスウィープフィートも人気としては6番人気に留まっていたし、スタート直後、最後方からの追走となったのを見て、これは”名前負け”の凡走になるかな、と思ったのは確かだ。
しかし、4コーナーを回って突っ込んだ直線で、我々は”スウィープ”の名前は飾りじゃない、と言わんばかりの猛烈な差し脚を我々は目撃することになった。
結果だけ見れば、同じような位置取りから、上がり32秒8で一気に3着まで順位を押し上げたライトバックの方が先着する形になったが、レース映像をよく見ると、直線外に出してしっかり脚を使い切ったライトバックに対し、スウィープフィートの方は、外に行ったり内に行ったり、と迷走を繰り返していた。
ライトバックに進路をふさがれ、内側にも入り込もうとしたが結局ダメ。最後の最後でようやく外に出して追い上げを図ったが既に時遅し、で結果4着、となったのだが、その微妙に馬券に絡めないじれったさがまた、”スウィープ”そのもの。
そして、今回、それでも祖母の時より桜花賞で1つ着順を上げたこの馬が、オークスでも同じ才能を発揮してきたらどうするか。
”たられば”の話には基本的に興味がない自分ではあるが、この辺のめぐりあわせの絶妙さを感じつつ、もう少しこの馬を追いかけてみたいと思っているところである。