歪んだ正義感の末に・・・

すったもんだした挙句、日本郵政が「かんぽの宿」の一括譲渡契約を一時凍結する方針を発表した。


ちょっとでも経理・財務的な知識のある人間から見れば、

「(建設に)2400億円かかったかんぽの宿がなぜ100億なのか」

という鳩山総務相の発言は、“空いた口がふさがらない”レベルのものであるわけで、いかに政界で“振り子の揺り戻し”が起きている時だからといって、こんな政治介入が許されるようでは、公的部門・公企業相手の取引なんてとてもじゃないが怖くてできない、というのは、日経紙の記者ならずとも思うことだろう。


だが、一部のメディアの報道にもあるように、こういう過激な“パフォーマンス”が世の中に受け入れられる素地があるのも事実。そして、理屈の上で、合理的と考えられる行為・行動が、必ずしも万人に受け入れられるとは限らない、というのは、「派遣切り」問題や、「定額給付金」問題に通ずるものでもある。


ここから先、「かんぽの宿」が抱えた負債が果てしなく膨らんでしまい、鳩山家の別荘(苦笑)にするくらいしか活用する手立てがなくなってしまうのか、それとも、奇跡的な経営改善努力と空前の「かんぽの宿」ブームの到来によって、数年後に、100億円以上の事業価値を有する資産として誰かに買い取られていくのか?


その辺は時の運によるところも大きいと思うが、大事なのは、最終的な結果だけではなく、そこに至るまでのプロセスもきちんと記憶にとどめておくこと、そして、次の機会では同じ轍を踏まないよう、きちんと学習能力を発揮すること・・・といった点に尽きるのではなかろうか。


個人的には、(比較的好立地の施設だけでも)星野リゾートあたりのちゃんとした旅館経営ノウハウがある会社が譲り受けて、魅力的な施設へと再生させる、というのが理想だと思っているのだが、そこに行き着くまでにはまだまだ時間がかかりそうである。

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