痛快に過ぎた「まさか」の三重奏。

ついこの前始まったような気がしていた2歳戦が一周回って、気が付けばダービーウィーク。
時が過ぎるスピードを恨みつつ、「最後は取れるはず」と勘違いしがちなのも、春のクラシック最終戦ならでは、である。

レース前の注目は、もっぱら「史上初のダービー3世代制覇」が達成されるかどうかに向けられていた。

長年競馬界を席巻したディープインパクトキングカメハメハの二大巨頭は既にこの世を去り、今やその子供たちが種牡馬として活躍する時代。

そして、皐月賞を勝った大本命・ジャスティンミラノと、別路線組の筆頭と目された伏兵シックスペンスを擁するキズナにとって、それを達成することはさほど難しいことではない、と思われたのだが・・・。

終わってみれば勝ったのはキズナ産駒でもなく、ドゥラメンテレイデオロ産駒でもなく、このレースを勝てなかったエピファネイアの仔、まさかの9番人気ダノンデサイルで、その鞍上にいたのは、まさかまさかの大ベテラン、横山典弘騎手だった。

「3世代」は「3世代」でも、結果を出したのは騎手の方、しかも「父親」が史上最年長勝利の記録を武豊騎手より先に塗り替えるのだから、まぁこれを何というか。

勝利調教師が先日勇退した安田隆行調教師のご子息(安田翔伍調教師)で、これが史上最年少ダービー制覇だった、というところにも、”ブラッドスポーツ”たるこの競技の面白みが存分に発揮されていたといえるのだが、そんなまさかの三重奏ゆえに、回収率が壊滅的な打撃をこうむったことはここだけの話にしておこう。


ちなみに、過去、横山(典)騎手にダービーを勝たせた馬たちと同じように、ダノンデサイルにも”ここがピーク”という香りは存分に漂っている*1

第2のロジユニヴァース、第2のワンアンドオンリー・・・そんな好奇の目を向けられながらも、この日痛快な勝利を挙げた馬がいつまで走り続けるのか、そして、この日打ち立てられた「最年長」の記録を次に塗り替えるのは、大本命・武豊騎手か、それとも20年後の川田将雅騎手か、はたまた柴田善臣騎手だの、横山典弘騎手本人だの・・・といった往年の大スターが再びの輝きを放つのか。

そんなことを考えながら、また一回りしたシーズンの終わりを惜しみ、「次」に向けて頭を切り替えなくては、と心に誓う週末だった。

*1:そうでなくてもエピファネイア産駒は古馬になってからの成長力に疑問が呈されている・・・。

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