企業法務

思いは受け継がれなければならない~「知的財産推進計画2021」に思うこと(後編)

連休前のバタバタ等もあって、前編*1をアップしてから少し日が空いてしまったが、「知財推進計画2021」*2の各論についても少しコメントしておきたい。といっても、ほとんどの項目が、いかにも抽象的でふんわりとした”政策のタマゴ”*3に留まっており、実にコ…

「会計限定監査役」の任務懈怠をめぐる最高裁の再逆転判決と、高裁に与えられた宿題。

昨日、7月19日、最高裁第二小法廷で、いわゆる「会計限定監査役」の任務懈怠の有無について一つの判断が示された。 「監査役設置会社(会計限定監査役を置く株式会社を含む。)において,監査役は,計算書類等につき,これに表示された情報と表示すべき情報…

危機感は理解できるからこそ~「知的財産推進計画2021」に思うこと(前編)

数日前の主催者の呼びかけで週末に急遽行われた「知的財産推進計画2021」*1の読み合わせ企画。www.youtube.comさすがにその場で読んで即興でコメントするのは荷が重い・・・と思って、直前に一通り目を通してみたのだが、毎年出されていたペーパーとはいえ、…

「プライム」移行に向けた喧騒の始まり。

東京証券取引所から、上場各社に対し「新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果について」という書面が届いたのは先週の金曜日のこと。前々から予告されていたことではあるし(※以下の資料の35~36頁参照。)、”当落線上”の会社であ…

混沌の中から見えてきた事実。

この事件を当ブログで取り上げるのは、これで3度目である。㈱ヒラノテクシードが製造販売した機械装置を用いた、外国メーカーによるポリイミドフィルム製品の製造販売が特許権侵害にあたるかどうかについて、特許権者の㈱カネカと、㈱ヒラノテクシード、さら…

何度看板を掛け替えれば、前に進むことができるのだろうか・・・。

ここに来て「猫も杓子も・・・」と言った感じで持ちきりなのが、「改訂コーポレート・ガバナンスコード」の話題*1。毎度のこととはいえ、ちょうど3月期決算会社が本格的に株主総会を迎えるタイミングで正式リリースされたものだから、どこの会社も必然的に想…

”タコ山”だって守られたい?~「TRIPP TRAPP」高裁判決から6年、いまだ見えぬ境界線。

最近、あまりこまめに知財系のニュースを拾いに行く、ということもできていなかったりするのだが、West Lawから飛んで来る最新の判例だけはなるべくフォローするようにしていて、その中に混じっていたのが「タコの滑り台」の著作権侵害をめぐる東京地裁の判…

海の向こうの”サプライズ”に思うこと。

ここに来て、これから何かとんでもないことが起きるんじゃないか、というくらい、あちこちで想像を超えた小ネタが日々生み出されている今日この頃なのだが、海の向こうからも随分派手なニュースが飛び込んできた。 「米国で企業の独占や寡占を厳しく取り締ま…

瞠目すべき成果を生み出したのはフォレンジックの進化か、会社法316条2項の威力か、それとも・・・?

さる6月10日に公表された「株式会社東芝 調査者」名義の調査報告書。 www.nikkei.com結論部分を斜め読みしつつ、100を超えるページ数(計121ページ)に恐れをなしてしばらく寝かせてしまったのだが、この週末に一通り目を通してみた。「調査者」という見慣れ…

文化を守る、ということの重さ。

著作権法の世界で常に引き合いに出される「パロディ」という領域。だが、この国では、政治風刺画からオマージュ、同人誌の世界に至るまでざっくりと一つにまとめられがちなこの領域について、より深く意識し、この国の著作権法の下でどう位置付けるべきか、…

次々と示される「補足説明」の説得力やいかに?

もう目前に迫っている、といっても差し支えない「株主総会2021」最大のヤマ、各社6月総会。多くの会社では招集通知の発送まで終え、日々送られてくる議決権行使状況のデータを眺めながらカウントダウンに入っているところだろうし、そんな中、役員の思い付き…

引き上げられたバーチャルオンリー総会のハードル?

季節はめぐり、今年も佳境に差し掛かりつつある「株主総会2021」。今月の半ばくらいからは、連日のようにどこかの会社で招集手続の開始を告げる取締役会が行われ、付議される議案がリリースされるようになり、今週に入ってからは「中3週間」を遥かに超えるよ…

令和3年著作権法改正と見え始めた潮流。

金曜日の夜、ひょんなことからYou Tubeの生配信に出演することになり、旬のテーマでお話をさせていただくこと、ざっと1時間くらい。その中のトピックの一つが、今週成立したばかりの「著作権法の一部を改正する法律案」だった。様々な事情があったのだろう、…

荒み切った世の落ち着きどころはどこにある?

先週とはうって変わって、今週は比較的天気が良い日が続き一気に夏のムードも増してきた。 本格的な夏の到来までには、もう一山、湿っぽい季節を超えないといけない、とはいえ、気分も仕事もヒートアップしていくそんな季節のはずなのに・・・。ここ何週間か…

見えてきた今年のトレンド。

毎度のことではあるが、この一週間も話題は「コロナ」であふれていた。思えば1年ほど前の”マスク”に始まって、”アプリ”から目下の話題の”ワクチン”まで、「何でそうなるの・・・!!」という突っ込みを入れたくなるような、これまで世界屈指の先進国と思われ…

WTOがまだ生きている、ということに気付かされたことへの感慨。

昨年、COVID-19の世界的流行が始まって以来くすぶっていた問題が、米国バイデン政権の衝撃的な政策転換によって、今まさに世界的論争へと発展している。 「バイデン米政権は5日、新型コロナウイルスワクチンの国際的な供給を増やすため、特許権の一時放棄を…

パブコメは出せなくても、思いはどこかで・・・。

これくらいの歳になってくると、時間が過ぎ行くのもただただ早くなる。新型コロナ禍下、どこかで見たような光景が繰り返される日々となればなおさらだ。そんなわけで、パブコメの募集が始まった頃は、「まだまだ締切りは先だから、余裕があれば・・・」なん…

現実になりつつある悪夢を目の前に。

これまでと同じように押し寄せてきた波、だがそこに一抹の不安を感じたのは気のせいではなかったのかもしれない。誰が言ったか「勝負のゴールデンウィーク」。だがそれを超えても一向に収まる気配がない新型コロナ感染症の波は、「変異」という新たな武器を…

その物語には続きがあった。

連休中、ということもあって、見た目の数字は落ち着いたように見える「新型コロナ」だが、多くの医療機関が閉まっている時期ですら全国で4,000人超、重症者数は日々増加の一途を辿っている、ということで、連休明けの宣言解除など望むべくもない状況である。…

覆った結論と、それでもなお残る懸念。

相手方の元社内弁護士が所属していた、というただその一点をもって、他の所属弁護士が当該特許権侵害訴訟の訴訟代理人となることを「排除」した決定が知財高裁から出されたのは昨年の秋のことだった。そして、自分は当時、この決定を 「企業内弁護士の将来の…

混沌の先にあるのは希望か、それとも・・・。

先月末に有識者会議で”お披露目”したのを見て以来、随分と温めてしまっていたのだが、今週、正式に金融庁からも東証からもリリースされたのを踏まえ、新「コーポレートガバナンス・コード」の話題に触れておくことにしたい。※東証が開始したパブリック・コメ…

ようやくの脱・マイナンバーの兆し。

毎年、手を煩わされていた雑事からようやく解放される予感がする。 「政府は個人事業主を登録・識別する番号制度をつくる。補助金の支給や社会保険、税務などの手続きを一元管理できる仕組みを検討する。日本は新型コロナウイルス禍で家計への給付金支給が混…

「地域団体商標」と「商標」の間にあるもの。

この1年ほどの間で、いわゆる”賑やかし”系の話題が表に出ることはすっかり少なくなってしまったが、「コロナは一瞬、でも商標(の存続期間)は永遠」ということで、このコロナ禍で裁判所まで持ち込まれた「地域ブランド」に関する審決取消訴訟の判決が出され…

思えばこれは何度目の一歩目、だろうか。

そういえば、4月1日はエイプリルフール、と言われる日だった、ということに日が変わってから気付くくらい、余裕のない日常を過ごしているわけだが、そうはいっても世の中的には「新年度」。新しい人が新しい門出を迎えるタイミングでもある。古い話になるが…

好事魔多し。

今年はいよいよ松山弘平騎手の時代が本格的に到来するだろう、と書いたのは、たった一週間前のことである。先週2日で11勝、という荒稼ぎを見せたこの若きジョッキーは、クラシック戦線で騎乗する馬たちとのコンビも整い、まさに”収穫の春”に向けてこれから邁…

江戸の仇もカリフォルニアの仇も討たせてくれなかった大阪地裁。

昨年、知財高裁の判決を最高裁が大胆にひっくり返して話題になったのが「ポリイミドフィルム製品製造機械装置」をめぐる損害賠償債務不存在確認等請求事件だった。当時の衝撃は以下のエントリーに記したとおり。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comもっとも、…

本当に大変なのは、たぶんこれからなのだろうと思う。

首都圏の緊急事態宣言解除を控えた週末。心配された雨も土曜日のうちには降らず、気温も程よい感じ。だからなおさら・・・だったのか、街の人出はいつになく多く、夕方過ぎの飲食店も、”ごった返す”という表現がしっくりくるような混雑ぶり。一瞬、「もう解…

知財高裁の緻密さが引き出したロクラクⅡ法理の正しい使い方~音楽教室 vs JASRAC 控訴審判決当日の読後感。

今日は何もなければ、ゆるゆると「緊急事態宣言解除」の話でも書こうかと思っていたのだが、夕方に流れたニュースで事態は一変した。 「日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権使用料を徴収するのは不当として、音楽教室を運営する約250事業者がJ…

まだ解のない問題を論じ続けなければいけないことの難しさ

比較的余裕のある時でも、一度読んだだけでスッと頭の中に入れるのは難しい、そんな話だけに読んだ後もしばらく温め続けてしまったのが、先月発売のジュリストの特集「正規・非正規の不合理な待遇格差とは」に関する話題である。ジュリスト 2021年 03 月号 […

「10年」という歳月の重さとまだまだ続く道のり

今年もめぐってきた「3・11」。昨今の状況を考えると、10年前の話より、1年前の「パンデミック宣言」の方を想起する人も多いのかもしれない。だが、個人的な思いで言わせてもらうなら、この1年で世の中がどれだけ変わった、といったところで、10年前、揺れを…

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