天国から地獄

世知辛い世の中のこと、一年もたてば、人の評価などガラッと変わってしまっても不思議ではないのだが、それにしても、この明と暗はあまりに・・・というニュース。

「深刻な経営危機に陥り、サッカーのJリーグ理事会から6億円の救済融資を受けることになったJリーグ1部(J1)大分の運営会社、大分フットボールクラブ(大分FC、大分市)の溝畑宏社長は20日、記者会見を開き12月上旬に辞任すると発表した。同社副社長の皇甫官ファンボ・カン)氏が、代表権を持つ社長代行に就任する。」(日本経済新聞2009年11月21日付朝刊・第37面)

トリニータが昨年のナビスコカップを制するのと相前後して、溝畑社長が、あちこちのメディアで“自治官僚から華麗なる転身を遂げた新時代の成功者”として取り上げられていたのは記憶に新しいのだが*1、それが、あっという間にこの有様。


今年の春先にNumberに掲載されたインタビュー記事*2に掲載された、溝畑社長ご自身の

「今年はJリーグの経営の厳しさが浮き彫りになる年だと思います。各チームがまさにその存在価値に対してシビアな審判を仰ぐことになるんやないですか。経営努力しないクラブは確実に振り落とされますよ。」

という予言が見事なまでに自分のクラブに跳ね返って的中してしまっているのが何とも痛々しい・・・


「大分から世界一」というコンセプトが、地方都市の小規模クラブにしてはあまりに出過ぎたものだった、という批判も今頃になって聞こえてくるところだが*3、今年の大分の補強が“出過ぎたもの”と後ろ指さされるほど派手だったわけでもないだろう*4


欧州とは異なり、サッカーが未だ十分に地域に根付いているとはいえない我が国においては、J1でのポジションをキープし続けられるだけの戦力を保持し、かつ、トップが大風呂敷に近いくらいの壮大な構想を語ることも、地方の小クラブがその勢力を維持し続けるために不可欠な要素だと思う。


その歯車がたまたま噛み合わず、会社が傾いたからといって、溝畑社長が直ちに責められるべきなのかどうか。


「救済融資」という非常手段を受け入れざるを得なくなった以上、今回の社長辞任はやむを得ないとしても、いつかは再び情熱的な経営者として、この業界に戻ってきていただきたいものだ、と個人的には思っている。

*1:今拾える記事としては、http://www.sponichi.co.jp/seibu/column/president/KFullNormal20080924153.htmlなものがある。

*2:http://number.bunshun.jp/jleague/column/view/3226/

*3:例えば「Number Web」の杉山茂樹氏のコラムなど。http://number.bunshun.jp/jleague/column/view/4273/

*4:ウェズレイの電撃引退や、成績不振でシャムスカ監督の解任を余儀なくされたことが、想定外の出費につながったのは事実だが。

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