回り道もまた力になる。

3月の第一週と言えば、競馬学校を卒業したての新人騎手がターフにデビューする週である。


今年も毎年恒例のこの“イベント”が行われ、続々と新人騎手たちがデビューしていったのだが、そんな中、7日(デビュー週2日目)の中京競馬場8レースで、平野優騎手が見事に同期一番乗りで初勝利(3戦目)を記録した。


美浦の名門、二ノ宮敬宇厩舎*1の所属で、今回勝った馬も自厩舎の馬だから、「お膳立てに乗っかった形での勝利」のようにもみえるが、雨で泥んこになった悪条件の馬場で、7番人気の馬をトップに持ってきたことを考えると、この事実はもっと高く評価してあげても良いような気がする。


で、興味深かったのは、今回初勝利を挙げた平野騎手が、競馬学校では当初、三浦皇成騎手と同じ24期生で、本来であればもう2年早くデビューしていて良かったはずの騎手だったこと。


2年も遅れた理由はいろいろあったのだろうが、「入り口の狭き門さえくぐり抜ければ、あとは3年で卒業してて無事デビューできる」というルートがかつては一般的(今でも、か。)だっただけに、留年を余儀なくされた当の騎手に、デビューが遅れたことに対する複雑な思いがあったとしても全く不思議ではない。

三浦皇成の記録を抜きたいと思います」*2

というレース後のインタビューへの受け答えの中で出てきたフレーズにも、そのあたりの平野騎手の意地が滲み出ているように見えるのだが・・・。


少々回り道になっても、人より多く鍛えた分、積み重なったものがきっとあるはず。


一見無駄のない一本道人生*3が持て囃されがちな時代だけに、こういうタイプのジョッキーには、「有言実行」とばかりに、来週以降も白星を積み重ねていってもらいたいものだなぁ・・・というのが、率直な感想である。

*1:かつてエルコンドルパサーで華々しく名を挙げ、その後もコンスタントに重賞勝ち馬を送り出している厩舎だ。

*2:http://keiba.yahoo.co.jp/news/20100307-00000532-sanspo-horse

*3:筆者から見れば少々勿体ないようにも見える(笑)。

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