オークス、といえば、昨年、マルセリーナ以下が枕を並べて討ち死にし、「ディープインパクト産駒はクラシックディスタンスは無理!」と言われ始めるきっかけを作ってしまったレース。
だが、あれから1年。
“ディープ産駒は来ない”と思いこんで、桜花賞馬を買い目から外した浅はかな自分*1を嘲笑うかのように、ジェンティルドンナは見事に駆けた。
初コース、初距離、主戦騎手(岩田)が騎乗停止→川田騎手が初騎乗、という様々な“初“モノ尽くしも、ものともせず、後続を5馬身突き放すオークスレコード。
いかに異常に時計が出る高速馬場、とはいえ、後方から一頭だけ次元の違う脚を繰り出すさまは、まさに「圧巻」の一言に尽き、自分の不徳を恥じるほかなかった。
2着にも同じくディープインパクト産駒のヴィルシーナ*2が入り、これで「ディープ産駒はマイルまで」というジンクスを語る人間も、絶滅に向かっていくことになるのだろう、と思う。
もっとも、今回のジェンティルドンナの勝利が、「ディープ=クラシックもOK」ということを直ちに意味するかといえば、必ずしもそうとは言えないようにも思う。
実は、今回スタートラインに立った18頭の中に、馬柱の父母欄を見て、2400mがしっくりくるような血統の馬はほとんどいなかった。
強いて言えば、父・シンボリクリスエス、母・サンデーサイレンスのサンキューアスクや、父・キングカメハメハ、母父・サンデーサイレンスのマイネエポナくらいだが、残念なことに馬本人の距離実績が乏しい*3。
今をときめくステイゴールドを父に持つアイスフォーリス(結果3着)は、母父のクロフネがちょっと微妙だし、父がスペシャルウィークのダイワデッセーは母父がタイキシャトル。
逆に、母父に大物・エルコンドルパサーを持つアイムユアーズ(結果4着)とオメガハートランドは、父がファルブラヴだったりアグネスタキオンだったりする。
そういう中で走れば、自身は距離万能だったディープインパクトの子供たちのこと、他の馬から浮き上がることになったとしても不思議ではない。
日経紙のスポーツ面では、
「父のディープインパクトにとっても、今回の勝利の意味は大きい。2400メートルの重賞を勝ったのも、1個で重賞を3勝したのも、この馬が初めてだからだ。」(日本経済新聞2012年5月21日付け朝刊・第33面)
と、依然としてジェンティルが持ち上げられているが、もう少しクラシック向けのメンバーに囲まれて走っていたら、一体どうなったかからない・・・そういうところはあるように思う。
個人的には、次のダービーでは、ワールドエースあたりが心理的に比較的買いやすくなるような気がしていて、そう言う意味では、「壁が破られた」と言うことができるのかもしれないけれど・・・
この週末、2週続けてディープの子供たちが躍るのか、それとも、やはりこれまでのジンクスは健在なのか。迎え撃つ非ディープ系も相当なメンバーが揃っているように思えるだけに、これからの1週間の中での人気のアップダウンを、暫し追いかけていきたい、と思うところである。