さりげなく、日本新記録。

史上最大、というか、史上最悪、というか・・・。

「傑出した馬の不在」を一週間囁かれ続けた安田記念は、1番人気馬(サダムパテック)の単勝オッズが6倍を超える、というG1としては異常な状況でスタートを迎えることになった。

通常、こういう時は、レースの方も前評判通り、“どんくりの背比べ”で終わってしまうことが多い。

だが、この日は違った。

いつも通りの逃げを打つシルポートに、前年覇者・リアルインパクトが絡んで生み出されたペースが、1000m・56秒3、という超ハイラップを刻む。

そして、それでも直線もうひと伸び見せようとする強い先行勢に、さらに切れる脚を持つ追い込み勢が襲い掛かった結果、勝ちタイム1分31秒3、という日本レコードでの決着を見ることになった。

直線で力強い伸び脚を見せたストロングリターン上がり3ハロンのタイムは、33秒8。
2着のグランプリボスも33秒9*1
奇策も何もない、正々堂々としたレース運びの末に叩き出されたこの結果。

そして、こんな展開になってしまうと、スピードもスタミナもそこそこ、というレベルの馬では歯が立ちようもなく、密かに人気を集めていた香港勢も、枕を並べて2ケタ着順で討ち死に・・・、という結果となってしまった。

地味だと思われていたレースが、馬そのものの底力で、これ以上ないくらいのハイレベルなショーになる爽快さ。そしてその中で示された、日本競馬の確かな実力。

残念ながらこの日も、現場でリアルタイムに観戦、というわけにはいかなかったのだが、映像で振り返ってみるだけでも相当の迫力だったし、現場にいたら、ゴール直後の「レコード」表示と相まって、しばらく興奮冷めやらぬ・・・という感動を味わえたことだろう。


最近、ファンの呼び戻し、つなぎとめ&新規開拓のために、これまででは考えられなかったような様々なパフォーマンスに走る傾向があるJRAだが、個人的には、この日のレースのような、競馬の本質に迫るような好レースを、もっとフィーチャーしていけば、また人々の見る目も変わってくるのではないか・・・


そう思われてくれるレースであった。

*1:個人的にはあれだけの速いペースでレースを引っ張ったリアルインパクトの6着や、シルポートの13着、といったポジション(大きくは崩れていない)にも、相当の価値はあると思っているが・・・。