先月くらいからメディアを賑わせていた”自民党総裁選祭り”がようやく終わった。
現職の総理・総裁が早々に退陣を表明して、スケジュール的にも余裕がある中で後任を決める流れができたおかげで、候補者が名乗りを上げてから総裁選の投票日までいつになく長々と引っ張る形になったし、それだけメディアに露出する機会も増やせたのだとしたら、イベントとしては「成功」なのかもしれないが、個人的な感想としては、「9人」という候補者は明らかに多すぎたし、それでいて、長すぎた選挙期間が突き抜けた発信力を持つ候補者が誰もいない、という今の政権与党内の”人材層の薄さ”を浮き彫りにしてしまった、という点でマイナス面の方が多かったような気がしてならない。
そもそも、「これから政権を奪い返しに行く」という野党や、党内で主流・反主流がはっきり分かれていたかつての自民党ならともかく、名実ともに派閥も消滅して総主流派状態になっている今の自民党で、こういうときだけ「改革」を前面に出しても正直説得力はないし*1、一部の候補者が旗印にしていた「改革」の中身の政策にも、エビデンスの弱さが致命的だったものは多々あったような気がする*2。
そして、どれだけ地上波やネット放送を使って「国民」にアピールしたところで所詮は”内輪の紅白戦”、しかも実際に投票できるのは、ごく限られた党員だけ・・・という構造的な問題は変わりようがなかった。
ということで、メディアも含めて何となく飽きが見えてきたところでようやく終結。
第1回投票の結果を聞いたときは正直ヒヤリとしたが、最後の最後で順位が逆転して、”先祖返り”を防げたのは不幸中の幸いだったというほかない。
週明けからは、新しい内閣の布陣が打ち出され、来る解散・総選挙に向けて様々な駆け引きが始まることになるのだろうが、どれだけ支持率への危機感が蔓延しようとも、「エビデンスの裏付けのない政策を軽々しく口にしない」とか「なんでもかんでも政府が口出ししてあれこれやろうとしない」といったところさえ踏み外さなければ、世の中そんなに変な方向にはいかないだろうと思うだけに、それだけは頼むよ・・・と祈るような思いで、ここからしばらく眺めていくことにしたい。