最高裁判所裁判官国民審査

総選挙の陰に隠れて、誰も話題にしないが、
当然ながら、今回の衆議院議員総選挙でも、憲法79条2項に基づき、
最高裁判所の裁判官が「国民の審査」に付されることになる。


元々、最高裁の裁判官に任命されるような方の多くは、
経歴的にも人格的にも、常人を超えた立派な方が多いので、
我々のような凡人が「×」を付けるなどおこがましいともいえるし、
仮におこがましくも、「×」を付けたいなどという蛮勇を奮おうとしても、
客観的に可否を判断できるような材料は、
通常のメディアではなかなか手に入らない。


それでも、一応法社会の裾野を支えているという自負を持つものとして、
制度がある以上、一定の評価を下さざるを得ない、という思いはある。


実際、前回の総選挙の際には、
(主観的に)「反動的な」*1、何名かの裁判官に対して、
自分は明確に「×」を投じている。


だが、今回困るのは、
前回の審査からさほど年月が経っていないこともあって、
法解釈が割れるような典型的事案*2について、
審査の対象となっている裁判官の姿勢が明確になっていないこと*3


公報にも、「関与した裁判」に関する記載があるが、
取り上げられている判決の多くは、全員一致判決ないし議論の余地が少ないもので*4
あまり参考にはならない*5


評価しうるとすれば、
東京都の管理職選考試験の受験資格をめぐる今年1月の大法廷判決で、
個々の裁判官がどのような判断を示したか、ということくらいなのだが、
今回審査の対象となっている方々は多数意見に組されているか、
その時点で裁判官になっていなかった方々なので、評価の対象にしようがない。


というわけで、これもまた、
自分を投票所に向かわせない一因となっている。


一応、参考までに。
古田佑紀判事(S17生)本年8月就任(検察官)
中川了滋判事(S14生)本年1月就任(弁護士)
堀籠幸男判事(S15生)本年5月就任(裁判官)
今井功 判事(S14生)昨年12月就任(裁判官)
津野修 判事(S13生)昨年2月就任(大蔵省)
才口千晴判事(S13生)昨年1月就任(弁護士)

*1:ここでいう「反動的」というのは、思想的な傾向そのもの(個別の判決における結論そのもの)を指す形容詞ではなく、司法による規範定立機能を重視する近年の流れの中で、あまりにそのような運用に対して消極的な裁判官を指す言葉として使っているつもりである。

*2:大法廷で判断が示されるような事案

*3:もちろん、自分自身の勉強不足によるところも大きいのだが、前回は郵便法違憲判決と選挙定数をめぐる大法廷判決があったので、より判断しやすかったのは事実である。

*4:大体の結論が見えている刑事裁判を載せてどうするのか、と個人的には思う。

*5:ただし、才口判事は非嫡出子の相続分をめぐる最一小判H16.10.14で平等原則違反とする反対意見を書かれている