法曹

今年もまた通り過ぎて行ったこの季節

法曹界にとっては長らく「年末の風物詩」となっている「企業法務税務・弁護士調査」。今年も12月初めくらいから電子版で記事が飛び、月曜日の日経法税務面を3週くらいにわたってジャックしてフィナーレを迎えようとしている。恒例の「ランキング」自体は最初…

制度改革20年の到達点。

昨年の合格発表後に書いた↓のエントリーが届いた、というわけでは決してないのだろうが、今年の司法試験に関し、ここ数年のトレンドが大きく変わった、ということが報じられている。k-houmu-sensi2005.hatenablog.com 「法務省は8日、2023年司法試験に1781人…

まだ続いていたのか・・・というニュース。

「グレーゾーン解消制度」に投げ込まれたストレートな問いかけに対し、法務省が発したごく自然な回答によって法務クラスタの一部が大騒ぎしたのはもう1年以上も前のことだ。当時の騒動の様子は、↓のエントリーに生々しく記したのだが、自分の中ではもうとっ…

遂に歴史は動いた、のか?

年末の”いじりネタ”として定着して久しい日経新聞の「企業法務税務・弁護士調査」。昨年は企画の名称が変わって仕切り直し、となったものの、中村直人弁護士が「企業が選ぶ弁護士ランキング」の首位、という予定調和的結末に変わりはなく、長年の一ファンと…

また一歩近づいたのは、いつか誰かが夢見た理想かそれとも制度の終焉か。

一年前の時点で大方予想できたことではあったのだけれど、それにしてもなぁ・・・というため息。 「法務省は6日、2022年司法試験に、前年比18人減の1403人が合格したと発表した。合格者数は右肩下がりで、旧司法試験から新試験に完全移行した12年以降で最少…

「回答」の読み方

今週の半ばくらいから、突如として盛り上がりを見せた「AI契約審査サービスは違法」騒動。いわゆる「グレーゾーン解消制度」での法務省の回答(https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/press/22060…

再びめぐって来た、11日の金曜日。

毎年書いていることではあるけれど、月日が流れるのは残酷なまでに早い。あれから11年。3月は今も昔も特別な月で、一瞬で過ぎ去る2月のカレンダーをめくる頃から様々なことを思い出すのは毎度のことではあったのだが、特に今年は、曜日のめぐりが全く同じ、…

「コンプライアンス」の混迷を超えて。

先月発売のジュリストの特集は、珍しく(?)「コンプライアンス」を骨太に正面から取り上げようとする試みだった。ジュリスト 2022年 03 月号 [雑誌]有斐閣Amazon特に約30ページにわたり、企業におけるコンプライアンスの取り組みのあるべき姿について組織…

看板は変わっても揺るがぬ玉座。

年末のお約束、というか恒例行事となっている日経紙法務面の「弁護士ランキング」。昨年まで16回の伝統を積み重ねてきたのだが*1、今年は法務面が「法税務面」に変わった影響もあってか、タイトルも『企業法務税務・弁護士調査』と長くなり、回数もリセット…

「民事訴訟」の持つ意味と、これからのこと。

刑事訴訟法の第1条には、 「この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」 と書かれている。一方、民事訴訟法に書かれている「…

光と影、の先を見る。

最初は日経電子版で見かけて、思わず読んでしまった一本の記事。その後、昨日の朝刊にも掲載されていた。 「世界の企業がデジタル対応を急ぐなかで、日本の足踏みが目立つ。アップルなど米IT(情報技術)大手5社の時価総額は東証1部の合計を上回る。差はどこ…

これが想定外のトリックショットにならないように。

2021年の総選挙も終わった。開票前は野党共闘が功を奏して「与野党拮抗」といった報道も流れてきたが、蓋を開けてみれば自民党が単独で絶対安定多数の議席数を確保する、という結果に。「メディアはああだこうだ言ってるけど、投票するのは優しい日本人。誕…

最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2021年版・その3・完)

既に2回分のエントリーを書いている中で、「今回の国民審査で対象になっている裁判官にはこれまで以上に個性的な方々が多いのかも・・・」と思い始めているところだが*1、第3回は岡村和美裁判官の個別意見のご紹介から再開する。(第1回、第2回は以下参照)k…

最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2021年版・その2)

4年間、という歳月の重さゆえ「連載」となってしまったこのシリーズだが、後編は第二小法廷・草野耕一裁判官から。 (前編は↓のエントリーをご覧ください。) k-houmu-sensi2005.hatenablog.com 第二小法廷 草野耕一(弁護士出身) 2019年2月就任 2025年退官…

最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2021年版・その1)

またこの時期がめぐってきた。衆院選の投票と同時に行われる最高裁判所裁判官の国民審査。ちょっと前までは、「総選挙」の影に隠れて存在自体が地味だったし*1、審査対象裁判官に関する情報も、定型的なものに毛が生えたレベルのものしか出回っていなかった…

「数」が示す残酷な現状をここから超えていくために。

終わったものは一瞬にして忘却の彼方に押しやってしまうのが自分の性格。世の中には自らが合格してもなお、後進に熱いエールを送り続けている方も結構いらっしゃるようなのだが、自分の場合、まだ試験を受け続けていた頃から、論文試験が終わった次の日には…

覆った結論と、それでもなお残る懸念。

相手方の元社内弁護士が所属していた、というただその一点をもって、他の所属弁護士が当該特許権侵害訴訟の訴訟代理人となることを「排除」した決定が知財高裁から出されたのは昨年の秋のことだった。そして、自分は当時、この決定を 「企業内弁護士の将来の…

原点に還れぬまま行きつく先はどこなのか。

例年なら秋の風物詩、だが今年は新型コロナの影響で、”季節外れ”なこのタイミングでの発表となった。 「法務省は20日、2020年の司法試験に1450人が合格したと発表した。19年より52人少なく、政府目標の「1500人以上」を初めて下回った。同省は「裁判官や検察…

不思議な見出し。

「仕事納め」という迫りくるタイムラインを見据えながら、朝から晩まで超特急で突っ走る。それでこそ師走。そして、今週に入ってからどっぷりとそんな空気に迫っている。幸か不幸か、今年は「実質的には25日で終わりです・・・」という会社が結構多くて、ボ…

法務にできることは何なのか?を考えさせられる報告書。

数年前、五反田の土地を舞台にした、いわゆる「地面師」による大掛かりな詐欺事件が報じられたのはまだ記憶に新しいところである。一昔前、まだバブルの余波が残っていた時代(自分がまさに駆け出しだった頃)は、この手の話を耳にすることはそれなりにあっ…

「希望」の灯を消さないように。

「文化の日」くらいは文化的なことをしたい、と、珍しくAmazon Primeで映画を2本、さらにいろいろ節目のJBC2020の中継を見つつ、久しぶりの祝日を穏やかに過ごしていたのだが、その流れで、今日のエントリーではしばらく書けていなかったある本の読後所感も…

誕生した若き連邦最高裁判事をこれから待ち受けるもの。

連邦最高裁の最年長判事の訃報に接してエントリーを上げ、「後任選びはどうなるかな・・・」ということをボソッと書いたのは先月のこと。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comあの時は、さすがの大統領も、それを支える共和党も、選挙を控えて多少は自重するの…

現役連邦最高裁判事逝去の報に思うこと。

日本でも大きく報じられた、現役連邦最高裁判事、逝去のニュース。 「米連邦最高裁判所は18日、リベラル派のルース・ギンズバーグ判事が膵臓(すいぞう)がんによる合併症のため亡くなったと発表した。87歳だった。11月の大統領選に向け、後任人事が最大の焦…

顕在化した「社内弁護士」のリスク~利益相反問題に関する高裁決定への疑問

特許権侵害訴訟に絡んで示された判断、とはいえ、これを「知財事件」というカテゴリーだけで括ってしまうのは狭すぎる、そんな極めてセンシティブな問題を孕む決定が、今年の8月上旬に、知財高裁から出されている。全ての弁護士にとっての最重要規範である「…

あらゆる仕事に通じる金言集。

ちょうど西の方の電力会社のコンプライアンス委員会が調査報告書を出した、というニュースが出ていて、そこでお名前をお見掛けしたこともあり*1、少し温めていた「この夏の一冊」を取り上げてみたい。既に多くの方がSNS等で取り上げており、好意的な感想も目…

運命の不思議。

まぁ、細かい解説は不要だと思うけど、本日の夕刊より。 「政府は14日の閣議で、検事総長に林真琴東京高検検事長(62)を充てる人事を決めた。稲田伸夫検事総長(63)は退官する。」(日本経済新聞2020年7月14日付夕刊・第3面、強調筆者) 世の中、企業でも…

消えるべきは「ハンコ」だけではない。

今年の春以降、これまで何度か取り上げてきた話題ではあるのだが*1、遂にここまで来たか、ということで、スピードの早さに驚かされるばかり。 「政府と経団連など経済4団体は8日、書面、押印、対面作業の削減を目指す共同宣言を発表した。3つの作業は企業の…

「先生のご見解」をあらぬ方向に一人歩きさせないために。

4月の初め頃に公表された「調査報告書」*1を一目見て以来、これはコメントしなくては・・・とずっと思い続けていた天馬㈱の「海外子会社において認識された不適切な金銭交付」をめぐる問題。自分は純粋に、ここ数年取り組んできていた「外国公務員贈賄規制」…

コロナが去った後に残るのは自由か、それとも・・・?

そういえば昨日は憲法記念日だったな、ということに今日になってから気付き、昨年暮れに衝動買いしていたことを思い出して読んだのが、以下の一冊だった。リベラル・デモクラシーの現在: 「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで (岩波新書)作者:陽一, …

2年目の桜。

今日であれから1年。当日のエントリーは感情を抑えてごくごくサラッと書いたし、別のSNSではとてもポジティブな自分を演出していたが、内心は全く穏やかなものではなかった。k-houmu-sensi2005.hatenablog.com元々、40を過ぎても、一つの会社の肩書だけでし…

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