東大に“推薦入試”を導入することの意味。

「秋入学」等々、浜田純一学長の下で、あっと驚くような新機軸をいろいろと打ち出している東大が、今度は、「一般推薦入試」を導入する、と発表した。

「東京大は15日、2016年度入試から2次試験の後期日程を廃止し、一般推薦入試を導入すると発表した。計100人程度を募集し、高校の推薦状と面接、大学入試センター試験の成績を総合評価。物理学や数学、歴史学など特定の学問分野に秀でた人材を選抜する。」(日本経済新聞2013年3月16日付け朝刊・第42面)

日経紙の13日付け朝刊に、「創立以来初の推薦入試を導入」という記事が出て以降、ネット上では賛否両論・・・というか、どちらかといえばネガティブな反応が多かったような気がする。

元々、「ガチンコの一発勝負こそ、エリートの選抜方法にふさわしい」という信条を持っている人間は、昔からあの大学には多かったし、今でも現役・OB問わず、決して少なくない勢力を保っている、それゆえ、「なぜ推薦入試?」という声が上がるのも不思議なことではない。

だが、個人的には、現在のセンター試験5科目+二次試験4科目、という選考システムは、“5科目の学力のチャンピオン決定戦”としては、公平かつ優れた選抜システムだとしても、“将来活躍できる人材”を選抜するシステムとしてはどうなんだろう・・・という思いがかねてから強かっただけに、

「これまでとは異なる尺度でより違った学生をとりたい」(上記記事中の浜田学長のコメント)

というのであれば、まぁ、やってみてもいいんじゃないかな、というのが素朴な感想である。

おそらく、いま、東大に大量の合格者を出しているような学校であれば、「推薦」をもらえるようなレベルの生徒は、あえて推薦されなくても試験で楽に合格できるだろうし(それゆえ、そういった学校から、推薦枠で生徒が送り込まれる可能性は、かえって少ないんじゃないかと思うし)、そういう環境の中で、本当にマニアックな強みを持つ生徒が、公式な「推薦」を受けて東大に行きたいと思うか、といえば、それまた疑問なので、地方の名門公立校くらいでしか機能しない制度になってしまうんじゃないかなあ・・・とも思うのであるが、「東大を全国区の学校にする」というのも、それはそれで必要なことなので、それも反対する理由にはならんだろう。

もっとも、以前にも書いたとおり、自分は元々、将来性に重点を置いた選抜方法として、「後期試験」のシステムは、非常に優れたものだと思っていて、実際、後期合格組の中から、研究の道に進んだり、専門分野で物凄い力を発揮していた人間が輩出された事例、というのを何例も知っているだけに、前期との併願を禁止する等、もっとうまく制度設計して、“敗者復活戦”にならないような仕組みにすれば、わざわざ推薦入試なんて入れなくても良かったのに・・・という思いもあるのだけれど。

まぁ、まずは大学側のお手並み拝見、である。

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