3度目の歓喜、の中で。

いよいよ、“終盤”に差し掛かってきた平昌五輪。

「時差がない」国でのこの手のビッグイベント、って、日中家にいられる人にとっては良いのだけど、朝7時から日が変わるくらいの時間までおうちに帰れない悲しい勤め人にとっては、連日速報結果が先に飛び込んでくる、というなかなか切ないことになる。そして、連日新しいドラマが生まれる世界最高峰の大会ゆえに、たとえ運よく幸運な瞬間に立ち会うことができても、それを書き残すのはどうしても遅れ遅れになってしまう、という現実もある*1

ただ、今日に限って言えば、かなり強い意志の下、女子パシュートの決勝を見るために家に帰り、今大会3度目の「金」の瞬間を見届けた後、どうしても感じたことをそのまま書き残さないと寝られない、という気分である。

なんといっても、一番興奮を誘ったのは、レース展開がドラマティックだったこと。
前の大会ほどの勢いはないものの、一番良い色のメダルだけは決して譲ってくれないスケート大国・オランダ相手に、序盤こそリードしたものの、先頭を佐藤綾乃選手、高木菜那選手に切り替えた途端に逆転され、4週目くらいまでは差が開く一方だった。

それが、再び高木美帆選手に先頭が戻ってからの一気の追い上げの力強さときたら・・・。残り半周になった時点で、転びでもしない限り間違いなく勝てる、と確信し、そのストーリーのまま、五輪レコードで堂々のゴール。遂にスピードスケート界の歴史を塗り替えてしまった。

自分の主観では、今回の五輪の日本チームの「MVP」は間違いなく高木美帆選手で、一人で金銀銅のメダルを全部そろえた、という結果もさることながら、決して雰囲気の良くなかった大会序盤、1500mで序盤の劣勢を取り返して「銀メダル」に輝いたことが、小平奈緒選手はじめ、その後登場したスケート日本選手団、さらにその他の競技も含めた日本選手団にどれだけの勇気を与えたことか。

もちろんあの種目で、高木選手は優勝を狙える立場にいた大本命、の選手だったし、「銀メダル」がベストの成績だったとは決して思わない。
だが、これまでの五輪の中で、“優勝候補”と言われながら、金メダルはおろか、メダル自体も取りこぼす選手がどれだけいたか、と考えると、「実績がある選手は、きっちり最低限の結果を残せる、ということを証明できたことに大きな意味がある。

そして、自ら流れを作り、それに乗り、最後にこんな素晴らしいご褒美を手に入れた、というストーリーは、出来過ぎ、と言いたくなるくらい素晴らしいのである。

これで、今大会の獲得メダル数は、長野五輪を上回る11個目。

今日、大会前の期待に反して低迷する手負いのスイスにギブアップ負けを喫したカーリング女子代表も、"貯金”が効いて無事初の「準決勝」に進出。
さらに朝行われたフィギュアスケート女子シングルでも、坂本花織選手、宮原知子選手が、続々パーソナルベストを更新して明日の最終グループ入りを果たす*2

明日も明後日も、会社が、仕事が、と続く中で、どこまでフォローできるのかは分からないのだけど、今は少しでもこの目に、歴史に残る瞬間を焼き付けておきたい、と。
そんな気持ちでやっている。

*1:これは、どこの国で五輪が開催されていようが、あまり変わらないことではあるのだが・・・。

*2:それ以上に、ザギトワ、メドベージェワも続々更新してしまったために、金、銀を奪い取るのは厳しい状況だが、オズモンド選手、コストナー選手との「銅メダル争い」はそれなりに盛り上がれるような気がする。

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