何がしたいんだ高野連。

「我ら不正を糺さん」と大見得を切ってみたものの、蓋を開けて見たらブーイングとバッシングの嵐で、僅か一週間で方針転換。


“柔軟”と言えば聞こえは良いが、朝令暮改とはまさにこのこと。

「日本高校野球連盟(脇村春夫会長)は10日、大阪市内で緊急の全国理事会を開き、日本学生野球憲章違反である特待制度について、制度打ち切りで経済的事情から就学継続が難しくなる生徒に救済措置を取ることを決めた。学費免除などの特待制度がなくなると、転校や退学が懸念される在校生が対象。これまでの特待制度への解約同意書を提出させた上で、従来のような野球技術や野球部活動を対象としたものでなく、あくまで家庭の事情で経済的救済が必要な生徒に対して学校長などの裁量で設けた奨学金制度から、卒業までの給付を認める。」(日本経済新聞2007年5月11日付朝刊)

そうでなくても学費の高い私立学校に、下宿代を負担してまで通わせ、合宿、用具代など、半端じゃなく費用のかかる野球部員を子に持つ親であれば誰しも「経済的救済」が必要なんじゃない?という素朴な疑問が当然出てくるわけで、個人的にはいっそのこと「処分」を凍結して、来年入学予定の生徒から適用すればいいじゃないか、と思う。


だがそこはあくまで振り上げた拳は降ろさない“フリ”をし続ける高野連。さすがは“(悪い意味での)官僚組織”と改めて感銘を受けた次第である。


大体、ドラスティックな施策を打つときは、それを行った時のハレーションまで考えて進めるのが普通の会社なり役所組織、というもので、それを怠ってこれだけの騒ぎを巻き起こしてしまった以上、常識的にトップの責任は免れ得ないはずだ。


にもかかわらず、こういうとき烈火のごとく罵声を浴びせるであろう一部のメディア(AとかMとか)が、“官僚組織”の中に取り込まれているがゆえに、当事者である連盟幹部への“お咎めなし”で話が進んでいくのだとすれば、それはダブル・スタンダード以外の何ものでもない。


もちろん、普通の会社でも、ロクに考えもせずにハレーションの大きな施策をやりたがるおエライさんはいる。


だが、そこを何とか現実とすり合わせて、ソフト・ランディングする余地を見いだすのが事務方の力*1


本件は、そういうまともな事務方を持たなかった場合にはこうなる、という例を示したという点で、組織の危機管理を考える上での好素材なのかもしれないが、そんな“社会科学的教室設例”に振り回される高校野球球児や家族にしてみれば、たまったもんではない話である。


とりあえず、日曜日に大沢親分の喝が飛ぶことを期待しつつ、今後を見守ることにしたい。

*1:もっとも、そのような賢明な配慮が、いつもなら「骨抜き」の一言で片付けられてしまうことも多いだけに、やはりダブル・スタンダード、イクナイ(笑)、というほかないであろう。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html