「大ヤマト」大逆転の結末。

以前、ご紹介した「大ヤマト」事件。


東京地裁では、著作権の帰属から著作権侵害の成否まで、原告(東北新社)の主張がこと如く退けられて、悲惨な状況になっていたのが記憶に新しい*1


だが、伝えられたところによると、知財高裁に控訴後、なんと被告側が2億5000万円の和解金を支払う、という劇的な内容で和解が成立したとのことである。

東北新社は2008年12月15日,同社が保有するアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の著作権侵害訴訟において,パチンコ機メーカーの三共(SANKYO)など5社と和解したと発表した。5社の一部が東北新社に対して,2億5000万円の和解金を支払うことで決着した。「当事者間の合意によって,これ以上の内容は明らかにできない」(東北新社)としている。 」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081215/321514/

判決で結論が覆されたわけではないが、裁判所の心証が覆らなければパチスロメーカー側がこのような多額の和解金を支払うことにもならなかっただろう。


著作権侵害を否定した地裁判決の二重、三重の理屈に対して、知財高裁(石原直樹裁判長)がどういう評価を下そうとしていたのか、興味深いところではある。


以前も書いたが、地裁判決の判断の中の著作権の帰属に関する部分については、契約書のドラフティングという形式面だけで結論を導くのは酷、と思えるところがあったし、著作権侵害の成否についても、ほとんど同一といって良いキャラクターの些細な相違点を捉えて侵害を否定する、というやり方には相当違和感があったから、結論が変わっても決して不思議ではない事案だったのは確か。


最終的には、あれだけ似ているキャラクター(群)を「全くの別物」としてキャラクター展開してしまった被告側の無節操さと、技巧的に過ぎる訴訟での主張(抗弁)が、裁判所の怒りに触れてしまったのかなぁ・・・と思ったりもするのであるが、あくまでも真相は藪の中である。

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