知財

”黒船”が救世主になる皮肉。

知財業界の中では、ひそかに囁かれていた話ではあったのだけど、いざ記事になったのを見るとやはり複雑な気分になる。 米ネットフリックスと日本のアニメ産業の「包括的業務提携」の話題。 「動画配信世界最大手の米ネットフリックスが、日本のアニメ産業で…

これが「限界利益」説の到達点なのか?

ここ2日ほど時事ネタが続いたところで、本業に戻ろう。これも時事ネタ、といえば時事ネタなのだが、今朝の日経朝刊に以下のような記事が掲載されていた。 「化粧品の特許侵害を巡り、侵害者が支払う賠償金の減額が認められるかなどが争われた訴訟の控訴審判…

四半世紀の蜜月が招いた気の毒な結論。

福井健策弁護士の興味深いツイート*1を拝見したこともあり、数日前にコメントした「マリカー」の知財高裁中間判決がアップされるのを今や遅しと待ち構えているのだが、残念ながらまだまだ時間がかかりそうなので、その間に見つけた別の興味深い判決をご紹介…

気になる「マリカー」事件の真の争点

「そういえば、ちょっと前(といっても訴訟が始まったのは2年前の話だが・・・)に話題になったなぁ」という感のある記事が前日の朝刊に載っていた。 「ゲームキャラクター「マリオ」の衣装を客に貸して公道カートを走らせる行為が知的財産の侵害かどうかが…

最近の法律雑誌より~ジュリスト2019年6月号

本格的な月末モード、ということで法律雑誌も続々届いているわけだが、今回はどれも結構読み応えあるな、ということで、まずジュリストから。ジュリスト 2019年 06 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2019/05/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ…

他人事、とは笑えないお話。

コンプライアンス系の話をするときに、ニュース等で話題になった他社事例を引っ張ってきてネタにする、というのは、どこの会社でもやっていることだと思うのだけれど、特にその手法が有効な商標の世界で、ドキッとするようなニュースが流れていた。headlines…

切り返しの「正論」と、大学発特許をめぐる根源的な問題と。

先月もこのブログで少し取り上げて、それなりに読んでいただけた↓という記事がある。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comそして、22日に小野薬品が「PD-1特許に関する報道を受けての当社コメント」というプレスリリース(https://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n19_0…

センセーショナルな見出しの裏側で。

最近、選挙が近いせいか、ITプラットフォーマーの話でもなんでも、「中小企業を守ろう」という掛け声の政策論をよく見かける。 そして、ついに知財の話でも、「中小の知財 大手が奪う」というセンセーショナルな見出しのコラムが出たのを見かけてしまったの…

最近、嬉しかったこと。

長く「企業法務」を看板に掲げてブログを書いているとその縁で知り合う方も出てくるし、それがきっかけでかれこれ10年近くやり取りさせていただいている方もいらっしゃったりするのだけど、リップサービスだと分かっていても、 「○○さんのブログを見て、私も…

「プロパテント」を唱え続けた先生の訃報に接して

いつもだったら、何の気なしに見逃しても不思議ではなかった今朝の日経紙の訃報欄。 でも、たまたま目にした時に限って・・・という感じである。 「相沢英孝氏(あいざわ・ひでたか=一橋大名誉教授)5月10日、多臓器不全のため死去、65歳。告別式は5月18…

これで「攻めの戦略」と言われても・・・

最近知財絡みのエントリーが多いのだけど、今日も日経紙の法務面が、非常に〝美味しい”ネタを提供してくれているので、ちょっと取り上げてみることにする。 ずばり、「『攻めの知財』シフト進む」という見出しの記事。 「日本企業に「攻めの知的財産戦略」が…

「フェアユース」じゃなくて良かった、と思える理由

GWから、読もう読もうと思っていてしばらく寝かせていた一冊の本にようやく目を通すことができたので、感想がてらエントリーを残しておくことにする(2019年5月13日更新)。これでいいのか!2018年著作権法改正 (NextPublishing)作者: 中山信弘ほか出版社/メ…

「知財立国」時代の残り香、のようなもの~令和元年特許法改正への雑感

余裕があるようで、ちょっと何かあるとバタバタ慌ただしくなって、ブログの更新が遅れ気味になってしまうのが最近の反省材料ではあるのだが、一つメモしておきたいネタを見つけたので、アップしておくことにする(2019年5月12日更新)。10日の日経夕刊に、以…

聞くべきは誰の声か?~海賊版サイト対策に関する識者意見に接して

今日は終日ちょっとした長い書き物(公表予定はないのであしからず・・・)をしていたこともあって、連休中に読みたかった著作権周りの本を読み逃してしまったのだが、ふと新聞に目をやると、日経紙の法務面にちょうど面白い感じのインタビュー記事が載って…

ビジネスで生き残るための「手打ち」

昨日の時点では、「これから始まるよ~」という雰囲気で記事になっていたクアルコムvsアップルの特許訴訟。www.nikkei.comだが、今日になって一転、全くトーンの異なるニュースが配信されている。 「スマートフォン(スマホ)向け通信半導体の知的財産をめぐ…

「平成30年度重要判例解説」より(その1)

タイガー・ウッズ復活優勝の話を取り上げようかどうか迷った末に、 今日は、こちらのネタで行くことにする。平成30年度重要判例解説 (ジュリスト臨時増刊)出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2019/04/11メディア: ムックこの商品を含むブログを見る年に一度、こ…

改めて問い直される「特許の価値」と「契約」の意味。

昨年、ノーベル生理学・医学賞受賞が発表された直後から、祝祭ムードを吹き飛ばすような緊張した空気が流れ続けている「オプジーボ」特許問題。そして、昨日の朝刊には、京大・本庶佑特別教授側が開いた、小野薬品を批判する記者会見の内容が掲載された。 「…

「新元号」騒動に思うこと。

その日(昨日)のうちに上げてもよかったのだが、さすがに一日明けてメディアの報道を見てからでよいかな、と思い一晩寝かせた新元号「令和」決定のニュース。朝刊トップ面での取り上げられ方は大体どこも似たようなもので、首相会見での命名要旨を一通り説…

これぞマッチポンプ。

13日の夕方から翌朝にかけて、巷を駆け抜けたホットニュース。 「政府・自民党は13日、違法ダウンロードへの規制を強める著作権法改正案の今国会提出を見送ると決めた。今夏の参院選を控え、規制に反発するネット世論に配慮した。規制対象を広げる内容に利益…

あの事件から2年4か月。

仮処分命令、保全異議で立て続けに差し止めが認められ、抗告審で覆ってようやく日の目を見る、という「第5版」の衝撃から気づけばもう2年余り。 そして、まもなく「第6版」が世に出ようとしている。著作権判例百選 第6版 (別冊ジュリスト 242)作者: 小泉直樹…

あれ、もう改正?

日経新聞の夕刊に、こんな記事が出た。 「文化庁の有識者会議は25日、著作権を侵害する海賊版サイトへの対策の最終報告を取りまとめた。インターネット上で海賊版が投稿されているサイトへ誘導する「リーチサイト」を規制するための刑事罰の新設や、無断投稿…

一冊の新書に込められた思い。

昨年の今頃世に出た、著作権を解説する一冊の新書がある。はじめての著作権法 (日経文庫)作者: 池村聡出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2018/01/16メディア: 新書この商品を含むブログを見る自分は、最初この本を店頭で見かけた時、カバーに「企…

「立法」の議論に参加する上で常に自覚しておきたいこと。

年末年始で少しまとまった時間が取れたこともあって、読もうと思って溜め込んでいた書籍やら雑誌やらにちょこちょこと目を通していたのだが、そんな中、近頃のモヤモヤした頭の整理にちょうど良い論稿を見つけたので備忘も兼ねてご紹介しておくことにしたい…

根拠なき「自由貿易」礼賛の陰で・・・。

長きにわたる議論と交渉の果てにようやく日の目を見たTPPが12月30日に発効する、ということで、今朝の日経新聞は「巨大な自由貿易圏」礼賛一色だった。その一方で、ひっそりと掲載されていたのが「知財ルール米離脱で凍結」という見出しの記事*1。 TPPの交渉…

アカデミーの歴史に「知的財産法」が刻まれたとき。

久しぶりに心の底から「素晴らしい」と思えるニュース。 「日本学士院は12日、生物が自分自身の体を食べるオートファジー(自食作用)の解明でノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工業大特任教授(73)ら9人を新会員に選んだ。人文科学部門は、…

3年の時を経て現実となった「色彩商標」への懸念。

今日の法務面に、何となく懐かしささえ感じる記事が載った。 「2015年の改正商標法施行で「音」や「動き」など新しいタイプの商標登録が可能になってから3年たった。いずれも審査の基準は高いが、特にハードルが高くなっているのが「色彩」だ。1つの色(単色…

懲りない特許庁の「意匠制度見直し」への執念。

5月末に「有識者研究会の報告書」なるものに接して、本ブログでもかなり痛烈な批判をしたつもりだったのだが*1、当事者はまだまだ本気でこの施策を進めるつもりらしい。 「特許庁が2019年の通常国会への提出を目指す意匠法改正案の全容が分かった。保護期間…

決断しないことがもたらす危機。

今年に入って、大規模な海賊版サイトの摘発があったことを契機に、悪質なサイトへの「サイトブロッキング」をめぐる議論が一気に盛り上がっている。遂に、政府も知的財産戦略本部にタスクフォースを立ち上げ、法制化に向けた議論を開始するようなのだが・・…

「世界のコレエダ」が発した警句。

先日のカンヌ映画祭で、遂に最高賞を受賞した是枝裕和監督。テレビの世界からキラリと光る作品を送り出し、そこから銀幕へと活動の軸足を延ばしていった(それゆえ、物語の“見せ場”を心得ていて、見る者を飽きさせない)、という点では、かつて自分が熱狂し…

「デザイン経営」という言葉の空虚さ。

今月半ばに日経新聞が「店舗デザインも保護 意匠権で特許庁方針」という見出しの記事*1を飛ばして以来、「有識者研究会」って何だ?一体何が起きるのか?と戦々恐々で眺めていたのだが、24日になって、それらしき報告書が経済産業省のホームページにアップさ…