知財

どうせなら「枝葉」ではない議論を。

著作権法に限った話ではないかもしれないが*1、重要な法改正の話は得てして「夕刊」に載る。ということで、今日も昨年から続いている「ダウンロード違法化」絡みの記事が日経紙夕刊の社会面に掲載された。 「文化庁は27日、漫画などを海賊版と知りながらダウ…

「訴訟」は最善の解決策ではない。

知財、それも特許庁所管分野の領域の政策決定に関して、”異常事態”が起きている、という話を耳にしたのは、かなり前のこと。当時、自分が受けた印象は、一部の急進的な与党議員と政治色の強い所管官庁のトップが暴走している、というものだったし、嵐のピー…

全く同感、な英国発のコラム。

今やJAPANの日経新聞の傘下に入っている英国の名門紙、フィナンシャル・タイムズ。そんな関係もあって、彼らのコラムが日経の紙面を飾るようになって久しい。そういったコラムの多くは、いかにも英国的な、”知的面倒くささ”(笑)に満ちていて、一見するとベ…

「ONO」と「MOMO」の間にあるもの

先週、世を騒がせた「小野市消しゴム事件」。確かに「MONO」消しゴムを連想させるデザインであることは明らかなものの、ロゴに関してもデザインの配色に関しても、商標法の世界では明らかに「セーフ」な話なわけで、自分が最初にこの件に関する記事を見たと…

「写り込み」権利制限規定の拡充をめぐる同床異夢?

日経新聞の土曜日の夕刊に、著作権法改正絡みの記事が登場した。 「文化庁は2日までに、スマートフォンでのスクリーンショット(画面保存)やインターネット上の生放送・生配信に他人の著作物が偶然写り込んでも違法とならないことを、著作権法で明示する方…

最近の法律雑誌より~2019年11月号(ジュリスト、法律時報)

先月は慌ただしさにかまけて思いっきり飛ばしてしまったこの企画だが、今月は刺さる記事、特集が多かった、ということもあって復活させてみる。 特に読んでおきたいのは「ジュリスト」だろうか。 ジュリスト2019年11月号(1538号) ジュリスト 2019年 11 月…

これが新しい時代の権利制限規定。

ここのところ、プライベートで法律のこと考えたくない、というくらい、どっぷり条文だの、条文になる前のあれこれだのに漬かっていて、結果、このブログも、”気分転換専用”みたいになっているのだけど、やっぱりこの話題だけは触れないわけにはいかないだろ…

日本人ノーベル賞受賞の報を聞くたびに思うこと。

ここ数年、毎年のように理系分野では受賞者が出ているノーベル賞。そして、今回は、自分が科学への好奇心をもって生きていた時代の新技術、しかも企業に長く在籍していた開発者の受賞、ということもあって、自分のような門外漢にとってもインパクトの大きい…

「混同を生じさせる行為」をめぐる逆転判決

不正競争防止法2条1項1号該当性をめぐって争われた事件の知財高裁判決。ちょっと前に見つけたものではあるのだが、不競法絡みの事件としてはこれまでにあまりないジャンルの商品で、しかも原審(東京地裁)の判断が完全にひっくり返っている、という点でなか…

「人の名」をブランドにすることの難しさ。

真夏に出た知財高裁の商標関係の審決取消訴訟の判決が最近アップされたようなのだが、ちょっと引っかかったので取り上げてみる。争点になっているのは、商標法4条1項8号(以下)該当性、ずばり、「人の名じゃダメなのか?」という問題。 第四条 次に掲げる商…

2019年意匠法改正をポジティブに受け止めてみる。

先週に続けて、今週も、「意匠法改正」についていろいろと考える機会をいただいた。自分は、たとえオープンな場であっても、セミナーや研究会等で誰かが「口頭で」発表した内容は、極力ストレートな形ではブログには載せない*1、という主義なので、誰がどん…

「立候補ファイル」を美しく作り過ぎたツケ。

政治家でも、採用面接を受けに来る学生でも何でも、誰かに「選んで」もらおうとするときには、「自分をいかに美しく見せるか」ということに心を砕くのは当たり前、と言えば当たり前なのだが、 「選ばれる前に”誇張”して書いた(言った)ことのツケは、選ばれ…

勝手に連動企画?(その4)

この企画もとうとう最終日。刺激的な時間があっという間に過ぎていってしまう、というのは世の常ではあるのだけれど、終わりに近づくにつれ一分一秒が惜しいなぁ、と思える機会はそうないもので、何年かぶりにそんなデジャヴを味わって、ちょっとした虚脱感…

勝手に連動企画?(その3)

今日は「意匠法デー」だった。 この話も遡ること7年くらい前から、散々火花が散った末に、実務を知悉するほとんどの企業実務者が歓迎しない方向に押し切られた、という印象が強いテーマではあるのだけれど、心ある有識者の先生方が残してくれた「歯止め」が…

勝手に連動企画?(その1)

諸般の事情で出先でPCが使えない、という事態に陥ってしまったこともあり、昨晩からあまり長い文章が打てなくなっているのだが、これを奇貨として、といって良いのかどうか、今夏のセミナーで講義していただいているテーマに関して、自分今まで何を書いてた…

「馬好き」は法務を救う?~『広告法律相談125問』より

連休だからと言って、連日競馬ネタは勘弁してくれ・・・という読者の方もいらっしゃるかもしれないが、今日は真面目な法律書の話。プライバシー/名誉棄損/個人情報管理、といった分野で既に多くの著作を世に出されている、桃尾・松尾・難波法律事務所の松…

それは目の前に迫る問題か? それとも頭の体操か? ~「AIと著作権」をめぐって

「論究ジュリスト」という「ジュリスト」のスピンオフ的な季刊誌があって、長らく購読していながら、忙しい時はどうしても優先順位が落ちるものだから、ずっと積読にしてしまっていたのだが、ちょうど余裕も出てきた夏の時期にちょうどいいタイミングで届い…

結局はこうなってしまうのか、という・・・

今年の春以降、断続的に取り上げてきた「オプジーボ」特許の対価をめぐる問題。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comk-houmu-sensi2005.hatenablog.comその後も、なかなか歩み寄りにつながりそうな気配もなくて、どうなるのかな、と気を揉んでいたら、遂に以下…

久々に見た「小売商標」の本質を突く攻防~「MUSUBI」商標の不使用取消をめぐって

思えば商標法の世界に「小売商標」なる得体のしれないものが導入され、「当局の説明を何度聞いても運用のイメージがわかない!」という担当者の悲鳴と阿鼻叫喚の中、施行されてからはや12年。干支がくるっと一回りするくらいの月日が流れた。幸いにも、特許…

打ち合いの末の痛み分け?~「ブロマガ」商標侵害訴訟・東京地裁判決

たぶん、黒塗りに時間がかかったせいだろう。 判決言い渡しから1か月くらい経って、ひっそりと最高裁HPにアップされた東京地裁知財部の判決。だが、よく読むとこの事件、提訴時には、商標界隈のマニアックな方々の間でもかなり話題になった、あの「ブロマガ…

「表現」と「アイデア」の境界線はどこにある?~「金魚電話ボックス」地裁判決への違和感。

数日前の夕刊にちょっとした記事が掲載され、SNS界隈でも話題になっていた「金魚電話ボックス」著作権侵害事件。 「水が入った電話ボックスの中で金魚数十匹が泳ぐオブジェが自身の作品に酷似し著作権を侵害されたとして、福島県いわき市の現代美術作家がオ…

裁判例に見る「産学連携」の難しさ。

ノーベル賞まで受賞した高名な研究者が一方当事者となっている「オプジーボ」特許問題が広く世に知られたことで、古くて新しい「産学連携っていろいろ難しいな」という問題を改めて認識した知財担当者の方も多いのではないかと思う。k-houmu-sensi2005.haten…

世界中で猫を売るのは楽じゃない。~サンリオEU競争法違反報道に接して

「ハローキティ」といえば、説明不要の「日本史上最強キャラクター」である。中国、韓国の有名ブランドのショップはあっても、「日本」ブランドは、小売店にしても飲食店にしても、影も形もない、という国は世界中に数多あるのだが*1、そんな国でも、トヨタ…

思い切った逆転判決~ありふれた商標「EQ」の登録をめぐって

商標業界の常識として、「アルファベット2文字だと原則商標として登録できない」というのがある。商標法3条1項5号の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当してしまうから、というのがその理由で、商標審査基準でも「ローマ字の1字…

3年の空白を埋めるために。

先月末に知財特集が組まれた「法律時報」のレビューをアップしたのだが、k-houmu-sensi2005.hatenablog.comそこに掲載されていた広告と奥邨先生の論文に影響されて、速攻で取り寄せたのが、以下の書籍だった。年報知的財産法2018-2019作者: 高林龍,三村量一,…

絶体絶命の窮地に陥った「マリカー」~知財高裁中間判決を読んで。

「マリカー事件の中間判決が出た」という新聞報道に接し、意気込んで最高裁HPに飛んで行ったものの、しばらく判決文は掲載されず、仕方なく第一審判決の解説でお茶を濁したのは、ちょうど1か月くらい前のことだった。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comその後…

それでも「オープンイノベーション」に固執する意味はあるのか?

日経法務面に掲載された、渋谷高弘編集委員の以下の記事を読んだ時から報告書の中身の想像は薄々付いていたのだが、実際読んでみたら思った以上に酷かった・・・。 「政府の知的財産戦略本部は、大企業がベンチャー企業と組んで革新に挑む「オープンイノベー…

最近の法律雑誌より~法律時報2019年7月号

ここ数カ月、「法律雑誌」紹介のエントリーをシリーズ化しつつあるのだが、今月の『法律時報』は、単発でも間違いなく取り上げていただろう。 最近のトレンドを踏まえた特集と、そこに掲載された珠玉の論稿。読者の方には、自分の拙いエントリーを読む前にさ…

”黒船”が救世主になる皮肉。

知財業界の中では、ひそかに囁かれていた話ではあったのだけど、いざ記事になったのを見るとやはり複雑な気分になる。 米ネットフリックスと日本のアニメ産業の「包括的業務提携」の話題。 「動画配信世界最大手の米ネットフリックスが、日本のアニメ産業で…

これが「限界利益」説の到達点なのか?

ここ2日ほど時事ネタが続いたところで、本業に戻ろう。これも時事ネタ、といえば時事ネタなのだが、今朝の日経朝刊に以下のような記事が掲載されていた。 「化粧品の特許侵害を巡り、侵害者が支払う賠償金の減額が認められるかなどが争われた訴訟の控訴審判…

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