知財

続いていく「年報」と今年も期待を裏切らなかった「特集」。

知財業界一年の総決算、ということで毎年楽しみにしている「年報知的財産法」。今年は例年より発売のタイミングが少し遅かったようで、早々に予約していたにもかかわらず、手元に届いたのは今年に入ってから、ということになったが、そんなことはどうでもよ…

これはまさに時代を映す鏡。

ここ数年、CDはもちろんDVDすらほとんど手にすることはない生活を過ごしていたのだが、「昭和生まれホイホイ」みたいな告知につられて思わず予約購入してしまったCD&DVDがこちら。JR SKISKI 30th Anniversary COLLECTION スタンダードエディション(CD2枚組+D…

ここで何かが変わった、のだろうか?~タコ滑り台知財高裁判決

昨年末に裁判所のウェブサイトにアップされた判決のうち、著作権関係ではいくつか興味深いものがあった。特に「引用」が一つの争点となった2件*1は、素材としては非常に興味深いものなのだが、肝心の法的解釈に関しては特に真新しいものはない上に*2、事案と…

「異例」の見出しとともに拡大する戦線。

我が国が誇る大手メーカー同士の”頂上決戦”に「異例」の見出しが躍ったのは、2か月前のことだった。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comこの手の紛争は、長期化すればするほど関係する企業の体力を奪っていく。だからこそさっさと決着をつけてくれ・・・という…

分け入っても分け入っても、出口の見えない藪の中。

自動車が「コネクテッド」化していくにつれ、通信、電子部品系の特許の藪に巻き込まれていく・・・というのは、ちょっと前からずっと話題になっていたことで、今年もダイムラーがノキアとの特許係争の末、和解、というニュースが報じられていたりもしたが*1…

再び燃え上がった「柿の種」

今日の法務業界は、夕方に飛び込んできた関西スーパーの臨時株主総会をめぐる大阪高裁の逆転満塁ホームラン(=抗告認容決定)の話題一色、という感がある。確かに自分も関西スーパー側の一発目のリリース*1を見た時は心底びっくりしたし、決定文が公表され…

「ZOOM」をめぐる戦いはまだまだ終わらない。

いよいよ師走・・・ということで、そうでなくても慌ただしいことこの上ない季節に突入したのだが、昨日出された↓のリリースの関係者ともなれば、より・・・という気がしてならない。www.nikkei.com今年9月にビデオ会議サービス「ZOOM」の日本第1号代理店、NE…

急転直下の決着と、おぼろげながら見えてきたような気がするもの。

一昨年くらいから話題になり続けていた「オプジーボ」の特許使用料分配をめぐる小野薬品と京大・本庶佑特別教授との間の争いが、「和解」という形で決着したことが報じられた。 「がん免疫薬「オプジーボ」を巡り、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学…

タダほど高いものはない。再び・・・。

古くから「タダほど高いものはない」ということはよく言われることではあるのだが、そんな格言にさらに一事例を積み重ねるような判決が、大阪地裁で出されている。舞台は紅葉も今が見ごろであろう、京都の山深くの貴船神社。その写真の利用許諾をめぐって起…

タブーに踏み込んだ勇気は、この世の中に何をもたらすのだろうか・・・。

14日、そのニュースは突然飛び込んできた。 「日本製鉄は14日、電動車のモーター材料となる鉄鋼製品で自社の特許権を侵害されたとして、トヨタ自動車と鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。両社に損害賠償を…

「ハッシュタグ」事例が示した商標的使用論の限界?

先月末に出された判決が、急にあちこちで報道されて盛り上がったのは今週の話。 「自社ブランド名のハッシュタグを無断で使われ商標権を侵害されたとして、京都市の企業がフリマアプリ「メルカリ」の出品者に表示の差し止めを求めた訴訟で、大阪地裁(杉浦正…

その責任は「取締役」が負うべきなのか?

大阪地裁が、会社法429条1項に基づき特許権侵害に基づく損害賠償責任を侵害会社の取締役に負わせた判決(大阪地判令和3年9月29日)が先日公表された。後述のとおり、会社に対して損害賠償請求を命じただけでは被侵害者の実効的な救済が図れないと思われるよ…

「経済安全保障」がバズワードになる前に。

長い長い「安倍・菅時代」が終わり、様々な動きが取りざたされた一週間だったが、組閣の過程等でもキーワードとしてチラホラ出ていたのが、 「経済安全保障」 という言葉である。これまでも、特定の政策に関して断片的に耳にする機会はあったフレーズだが、…

笑い話では済まなかった商標の世界の仁義なき戦い。

「ZOOM」というオンライン会議ツールの名前を初めて聞いたのは、「COVID-19」の脅威が囁かれ始めてから間もない頃だっただろうか。自分も早々に使い始めたのだが、リンク用のURLアドレスをクリックするだけで参加できる手軽さに始まり、家庭用のルーターでも…

「ショーケース」は誰のため?

今年の初めにはオーストラリアで話題になっていたし、フランスなどでもかなり激しいバトルが繰り広げられている様子は報じられていたから、てっきり海の向こうだけの話かと思っていたのだが、それはいきなりこの国でも始まった。 「米グーグルは16日、報道機…

思いは受け継がれなければならない~「知的財産推進計画2021」に思うこと(後編)

連休前のバタバタ等もあって、前編*1をアップしてから少し日が空いてしまったが、「知財推進計画2021」*2の各論についても少しコメントしておきたい。といっても、ほとんどの項目が、いかにも抽象的でふんわりとした”政策のタマゴ”*3に留まっており、実にコ…

危機感は理解できるからこそ~「知的財産推進計画2021」に思うこと(前編)

数日前の主催者の呼びかけで週末に急遽行われた「知的財産推進計画2021」*1の読み合わせ企画。www.youtube.comさすがにその場で読んで即興でコメントするのは荷が重い・・・と思って、直前に一通り目を通してみたのだが、毎年出されていたペーパーとはいえ、…

混沌の中から見えてきた事実。

この事件を当ブログで取り上げるのは、これで3度目である。㈱ヒラノテクシードが製造販売した機械装置を用いた、外国メーカーによるポリイミドフィルム製品の製造販売が特許権侵害にあたるかどうかについて、特許権者の㈱カネカと、㈱ヒラノテクシード、さら…

何度看板を掛け替えれば、前に進むことができるのだろうか・・・。

ここに来て「猫も杓子も・・・」と言った感じで持ちきりなのが、「改訂コーポレート・ガバナンスコード」の話題*1。毎度のこととはいえ、ちょうど3月期決算会社が本格的に株主総会を迎えるタイミングで正式リリースされたものだから、どこの会社も必然的に想…

”タコ山”だって守られたい?~「TRIPP TRAPP」高裁判決から6年、いまだ見えぬ境界線。

最近、あまりこまめに知財系のニュースを拾いに行く、ということもできていなかったりするのだが、West Lawから飛んで来る最新の判例だけはなるべくフォローするようにしていて、その中に混じっていたのが「タコの滑り台」の著作権侵害をめぐる東京地裁の判…

文化を守る、ということの重さ。

著作権法の世界で常に引き合いに出される「パロディ」という領域。だが、この国では、政治風刺画からオマージュ、同人誌の世界に至るまでざっくりと一つにまとめられがちなこの領域について、より深く意識し、この国の著作権法の下でどう位置付けるべきか、…

令和3年著作権法改正と見え始めた潮流。

金曜日の夜、ひょんなことからYou Tubeの生配信に出演することになり、旬のテーマでお話をさせていただくこと、ざっと1時間くらい。その中のトピックの一つが、今週成立したばかりの「著作権法の一部を改正する法律案」だった。様々な事情があったのだろう、…

WTOがまだ生きている、ということに気付かされたことへの感慨。

昨年、COVID-19の世界的流行が始まって以来くすぶっていた問題が、米国バイデン政権の衝撃的な政策転換によって、今まさに世界的論争へと発展している。 「バイデン米政権は5日、新型コロナウイルスワクチンの国際的な供給を増やすため、特許権の一時放棄を…

覆った結論と、それでもなお残る懸念。

相手方の元社内弁護士が所属していた、というただその一点をもって、他の所属弁護士が当該特許権侵害訴訟の訴訟代理人となることを「排除」した決定が知財高裁から出されたのは昨年の秋のことだった。そして、自分は当時、この決定を 「企業内弁護士の将来の…

「地域団体商標」と「商標」の間にあるもの。

この1年ほどの間で、いわゆる”賑やかし”系の話題が表に出ることはすっかり少なくなってしまったが、「コロナは一瞬、でも商標(の存続期間)は永遠」ということで、このコロナ禍で裁判所まで持ち込まれた「地域ブランド」に関する審決取消訴訟の判決が出され…

江戸の仇もカリフォルニアの仇も討たせてくれなかった大阪地裁。

昨年、知財高裁の判決を最高裁が大胆にひっくり返して話題になったのが「ポリイミドフィルム製品製造機械装置」をめぐる損害賠償債務不存在確認等請求事件だった。当時の衝撃は以下のエントリーに記したとおり。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comもっとも、…

知財高裁の緻密さが引き出したロクラクⅡ法理の正しい使い方~音楽教室 vs JASRAC 控訴審判決当日の読後感。

今日は何もなければ、ゆるゆると「緊急事態宣言解除」の話でも書こうかと思っていたのだが、夕方に流れたニュースで事態は一変した。 「日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権使用料を徴収するのは不当として、音楽教室を運営する約250事業者がJ…

変わりゆく世界地図と、これからへの備え。

10年くらい前にはもう予感があって、4,5年前の時点で個人的には「確信」に近い思いがあったのだが、こうやってそれが現実の世界の出来事になると、どうにもこうにもため息しか出てこない。 「世界知的所有権機関(WIPO)は2日、2020年の特許の国際出願件数…

ビジュアルは実に雄弁だ。

ここ数年、法律の世界でもいろいろと趣向を凝らした書籍が世に出る機会が増えていて、先日の川井弁護士の会社法の入門書などもまさにその一例だったのだが*1、今度は知財の分野で、興味深いコンセプトの書籍が刊行された。図録 知的財産法発売日: 2021/02/22…

これでも「侵害」になってしまうのだとしたら、それをリスクと言わずして何と言おう・・・。

最近あまり裁判例の紹介記事を書いていない、ということもあって、そろそろ型を忘れてしまいそうな感じでもあるのだが、これはちょっと、と思った事件なので久々に。自分が、以前話題になっていた就職情報サービス絡みの商標紛争で第一審判決が出た、という…

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