知財

日本人ノーベル賞受賞の報を聞くたびに思うこと。

ここ数年、毎年のように理系分野では受賞者が出ているノーベル賞。そして、今回は、自分が科学への好奇心をもって生きていた時代の新技術、しかも企業に長く在籍していた開発者の受賞、ということもあって、自分のような門外漢にとってもインパクトの大きい…

「混同を生じさせる行為」をめぐる逆転判決

不正競争防止法2条1項1号該当性をめぐって争われた事件の知財高裁判決。ちょっと前に見つけたものではあるのだが、不競法絡みの事件としてはこれまでにあまりないジャンルの商品で、しかも原審(東京地裁)の判断が完全にひっくり返っている、という点でなか…

「人の名」をブランドにすることの難しさ。

真夏に出た知財高裁の商標関係の審決取消訴訟の判決が最近アップされたようなのだが、ちょっと引っかかったので取り上げてみる。争点になっているのは、商標法4条1項8号(以下)該当性、ずばり、「人の名じゃダメなのか?」という問題。 第四条 次に掲げる商…

2019年意匠法改正をポジティブに受け止めてみる。

先週に続けて、今週も、「意匠法改正」についていろいろと考える機会をいただいた。自分は、たとえオープンな場であっても、セミナーや研究会等で誰かが「口頭で」発表した内容は、極力ストレートな形ではブログには載せない*1、という主義なので、誰がどん…

「立候補ファイル」を美しく作り過ぎたツケ。

政治家でも、採用面接を受けに来る学生でも何でも、誰かに「選んで」もらおうとするときには、「自分をいかに美しく見せるか」ということに心を砕くのは当たり前、と言えば当たり前なのだが、 「選ばれる前に”誇張”して書いた(言った)ことのツケは、選ばれ…

勝手に連動企画?(その4)

この企画もとうとう最終日。刺激的な時間があっという間に過ぎていってしまう、というのは世の常ではあるのだけれど、終わりに近づくにつれ一分一秒が惜しいなぁ、と思える機会はそうないもので、何年かぶりにそんなデジャヴを味わって、ちょっとした虚脱感…

勝手に連動企画?(その3)

今日は「意匠法デー」だった。 この話も遡ること7年くらい前から、散々火花が散った末に、実務を知悉するほとんどの企業実務者が歓迎しない方向に押し切られた、という印象が強いテーマではあるのだけれど、心ある有識者の先生方が残してくれた「歯止め」が…

勝手に連動企画?(その1)

諸般の事情で出先でPCが使えない、という事態に陥ってしまったこともあり、昨晩からあまり長い文章が打てなくなっているのだが、これを奇貨として、といって良いのかどうか、今夏のセミナーで講義していただいているテーマに関して、自分今まで何を書いてた…

「馬好き」は法務を救う?~『広告法律相談125問』より

連休だからと言って、連日競馬ネタは勘弁してくれ・・・という読者の方もいらっしゃるかもしれないが、今日は真面目な法律書の話。プライバシー/名誉棄損/個人情報管理、といった分野で既に多くの著作を世に出されている、桃尾・松尾・難波法律事務所の松…

それは目の前に迫る問題か? それとも頭の体操か? ~「AIと著作権」をめぐって

「論究ジュリスト」という「ジュリスト」のスピンオフ的な季刊誌があって、長らく購読していながら、忙しい時はどうしても優先順位が落ちるものだから、ずっと積読にしてしまっていたのだが、ちょうど余裕も出てきた夏の時期にちょうどいいタイミングで届い…

結局はこうなってしまうのか、という・・・

今年の春以降、断続的に取り上げてきた「オプジーボ」特許の対価をめぐる問題。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comk-houmu-sensi2005.hatenablog.comその後も、なかなか歩み寄りにつながりそうな気配もなくて、どうなるのかな、と気を揉んでいたら、遂に以下…

久々に見た「小売商標」の本質を突く攻防~「MUSUBI」商標の不使用取消をめぐって

思えば商標法の世界に「小売商標」なる得体のしれないものが導入され、「当局の説明を何度聞いても運用のイメージがわかない!」という担当者の悲鳴と阿鼻叫喚の中、施行されてからはや12年。干支がくるっと一回りするくらいの月日が流れた。幸いにも、特許…

打ち合いの末の痛み分け?~「ブロマガ」商標侵害訴訟・東京地裁判決

たぶん、黒塗りに時間がかかったせいだろう。 判決言い渡しから1か月くらい経って、ひっそりと最高裁HPにアップされた東京地裁知財部の判決。だが、よく読むとこの事件、提訴時には、商標界隈のマニアックな方々の間でもかなり話題になった、あの「ブロマガ…

「表現」と「アイデア」の境界線はどこにある?~「金魚電話ボックス」地裁判決への違和感。

数日前の夕刊にちょっとした記事が掲載され、SNS界隈でも話題になっていた「金魚電話ボックス」著作権侵害事件。 「水が入った電話ボックスの中で金魚数十匹が泳ぐオブジェが自身の作品に酷似し著作権を侵害されたとして、福島県いわき市の現代美術作家がオ…

裁判例に見る「産学連携」の難しさ。

ノーベル賞まで受賞した高名な研究者が一方当事者となっている「オプジーボ」特許問題が広く世に知られたことで、古くて新しい「産学連携っていろいろ難しいな」という問題を改めて認識した知財担当者の方も多いのではないかと思う。k-houmu-sensi2005.haten…

世界中で猫を売るのは楽じゃない。~サンリオEU競争法違反報道に接して

「ハローキティ」といえば、説明不要の「日本史上最強キャラクター」である。中国、韓国の有名ブランドのショップはあっても、「日本」ブランドは、小売店にしても飲食店にしても、影も形もない、という国は世界中に数多あるのだが*1、そんな国でも、トヨタ…

思い切った逆転判決~ありふれた商標「EQ」の登録をめぐって

商標業界の常識として、「アルファベット2文字だと原則商標として登録できない」というのがある。商標法3条1項5号の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当してしまうから、というのがその理由で、商標審査基準でも「ローマ字の1字…

3年の空白を埋めるために。

先月末に知財特集が組まれた「法律時報」のレビューをアップしたのだが、k-houmu-sensi2005.hatenablog.comそこに掲載されていた広告と奥邨先生の論文に影響されて、速攻で取り寄せたのが、以下の書籍だった。年報知的財産法2018-2019作者: 高林龍,三村量一,…

絶体絶命の窮地に陥った「マリカー」~知財高裁中間判決を読んで。

「マリカー事件の中間判決が出た」という新聞報道に接し、意気込んで最高裁HPに飛んで行ったものの、しばらく判決文は掲載されず、仕方なく第一審判決の解説でお茶を濁したのは、ちょうど1か月くらい前のことだった。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comその後…

それでも「オープンイノベーション」に固執する意味はあるのか?

日経法務面に掲載された、渋谷高弘編集委員の以下の記事を読んだ時から報告書の中身の想像は薄々付いていたのだが、実際読んでみたら思った以上に酷かった・・・。 「政府の知的財産戦略本部は、大企業がベンチャー企業と組んで革新に挑む「オープンイノベー…

最近の法律雑誌より~法律時報2019年7月号

ここ数カ月、「法律雑誌」紹介のエントリーをシリーズ化しつつあるのだが、今月の『法律時報』は、単発でも間違いなく取り上げていただろう。 最近のトレンドを踏まえた特集と、そこに掲載された珠玉の論稿。読者の方には、自分の拙いエントリーを読む前にさ…

”黒船”が救世主になる皮肉。

知財業界の中では、ひそかに囁かれていた話ではあったのだけど、いざ記事になったのを見るとやはり複雑な気分になる。 米ネットフリックスと日本のアニメ産業の「包括的業務提携」の話題。 「動画配信世界最大手の米ネットフリックスが、日本のアニメ産業で…

これが「限界利益」説の到達点なのか?

ここ2日ほど時事ネタが続いたところで、本業に戻ろう。これも時事ネタ、といえば時事ネタなのだが、今朝の日経朝刊に以下のような記事が掲載されていた。 「化粧品の特許侵害を巡り、侵害者が支払う賠償金の減額が認められるかなどが争われた訴訟の控訴審判…

四半世紀の蜜月が招いた気の毒な結論。

福井健策弁護士の興味深いツイート*1を拝見したこともあり、数日前にコメントした「マリカー」の知財高裁中間判決がアップされるのを今や遅しと待ち構えているのだが、残念ながらまだまだ時間がかかりそうなので、その間に見つけた別の興味深い判決をご紹介…

気になる「マリカー」事件の真の争点

「そういえば、ちょっと前(といっても訴訟が始まったのは2年前の話だが・・・)に話題になったなぁ」という感のある記事が前日の朝刊に載っていた。 「ゲームキャラクター「マリオ」の衣装を客に貸して公道カートを走らせる行為が知的財産の侵害かどうかが…

最近の法律雑誌より~ジュリスト2019年6月号

本格的な月末モード、ということで法律雑誌も続々届いているわけだが、今回はどれも結構読み応えあるな、ということで、まずジュリストから。ジュリスト 2019年 06 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2019/05/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ…

他人事、とは笑えないお話。

コンプライアンス系の話をするときに、ニュース等で話題になった他社事例を引っ張ってきてネタにする、というのは、どこの会社でもやっていることだと思うのだけれど、特にその手法が有効な商標の世界で、ドキッとするようなニュースが流れていた。headlines…

切り返しの「正論」と、大学発特許をめぐる根源的な問題と。

先月もこのブログで少し取り上げて、それなりに読んでいただけた↓という記事がある。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comそして、22日に小野薬品が「PD-1特許に関する報道を受けての当社コメント」というプレスリリース(https://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n19_0…

センセーショナルな見出しの裏側で。

最近、選挙が近いせいか、ITプラットフォーマーの話でもなんでも、「中小企業を守ろう」という掛け声の政策論をよく見かける。 そして、ついに知財の話でも、「中小の知財 大手が奪う」というセンセーショナルな見出しのコラムが出たのを見かけてしまったの…

最近、嬉しかったこと。

長く「企業法務」を看板に掲げてブログを書いているとその縁で知り合う方も出てくるし、それがきっかけでかれこれ10年近くやり取りさせていただいている方もいらっしゃったりするのだけど、リップサービスだと分かっていても、 「○○さんのブログを見て、私も…

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