知財

「地域団体商標」と「商標」の間にあるもの。

この1年ほどの間で、いわゆる”賑やかし”系の話題が表に出ることはすっかり少なくなってしまったが、「コロナは一瞬、でも商標(の存続期間)は永遠」ということで、このコロナ禍で裁判所まで持ち込まれた「地域ブランド」に関する審決取消訴訟の判決が出され…

江戸の仇もカリフォルニアの仇も討たせてくれなかった大阪地裁。

昨年、知財高裁の判決を最高裁が大胆にひっくり返して話題になったのが「ポリイミドフィルム製品製造機械装置」をめぐる損害賠償債務不存在確認等請求事件だった。当時の衝撃は以下のエントリーに記したとおり。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comもっとも、…

知財高裁の緻密さが引き出したロクラクⅡ法理の正しい使い方~音楽教室 vs JASRAC 控訴審判決当日の読後感。

今日は何もなければ、ゆるゆると「緊急事態宣言解除」の話でも書こうかと思っていたのだが、夕方に流れたニュースで事態は一変した。 「日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権使用料を徴収するのは不当として、音楽教室を運営する約250事業者がJ…

変わりゆく世界地図と、これからへの備え。

10年くらい前にはもう予感があって、4,5年前の時点で個人的には「確信」に近い思いがあったのだが、こうやってそれが現実の世界の出来事になると、どうにもこうにもため息しか出てこない。 「世界知的所有権機関(WIPO)は2日、2020年の特許の国際出願件数…

ビジュアルは実に雄弁だ。

ここ数年、法律の世界でもいろいろと趣向を凝らした書籍が世に出る機会が増えていて、先日の川井弁護士の会社法の入門書などもまさにその一例だったのだが*1、今度は知財の分野で、興味深いコンセプトの書籍が刊行された。図録 知的財産法発売日: 2021/02/22…

これでも「侵害」になってしまうのだとしたら、それをリスクと言わずして何と言おう・・・。

最近あまり裁判例の紹介記事を書いていない、ということもあって、そろそろ型を忘れてしまいそうな感じでもあるのだが、これはちょっと、と思った事件なので久々に。自分が、以前話題になっていた就職情報サービス絡みの商標紛争で第一審判決が出た、という…

「金魚電話ボックス」大阪高裁判決での大逆転劇が示した「表現」の意味。

「他人の事件は忘れた頃に判決が出る」というのはよく言ったものだと思うが、一昨年の夏、大きな話題となり、このブログでも取り上げていた「金魚電話ボックス」事件の控訴審判決が大阪高裁から出された。結論は、見事なまでの大逆転、である。 「金魚が電話…

思えば遠くに来たものだ・・・。

昨年から何かと話題になることが多い携帯電話業界から、激烈な競争を象徴するかのようなニュースが、年明け早々から飛び出してきた。「営業秘密領得容疑」による社員逮捕、というセンセーショナルな見出しとともに・・・。最初に記事になったのは12日の夕刊…

「10年」の歳月が生み出した珠玉の座談会。

本来であれば昨年のうちに読んでおくべきだったのだが、年末年始は手を付けられず、ここに来てようやく開くことができた毎年恒例の一冊。年報知的財産法2020-2021発売日: 2020/12/25メディア: 単行本今年の巻頭論稿は、設楽隆一・元知財高裁所長が、損害賠償…

「図書館資料と著作権」をめぐる大きな動きを眺めつつ思うこと。

去年までと比べると比較的静かに進んでいる今年の著作権法改正論議。だが、世の中に与える影響は決して小さくない権利制限規定の見直しが、今、急スピードで進んでいる。今朝の日経朝刊に掲載された記事はこちら。 「文化審議会の作業部会は11日までに、図書…

「パフォーマンス」を超えたところにあるのが本当の改革。

9月に新政権に代わってから、「改革」の掛け声がやたらけたたましく響くようになった。最近は、内閣支持率も政権発足当初と比べて随分落ちてきているから、巻き返しを図るべく、今後もますます看板大臣たちの”一声”があちこちで響き渡ることになるのだろう。…

永遠に残る記憶の中のメロディライン

月曜日に飛び込んできた著名作曲家の訃報。そして、速報記事で紹介された曲名に刺激されて動画サイトを訪ね、そのままハシゴして寝不足のまま今日の朝を迎えた方も多かったのではなかろうか。 「「また逢う日まで」「ギンギラギンにさりげなく」など、昭和期…

欲張りすぎた質問? 実らなかった「緑色円環配置構成」のアンケート調査

裁判所の「知的財産裁判例集」のコーナーに一度アップされたものの、誤記等の修正のためかすぐに消え、今週になってようやくサイトに再アップされた商標の審決取消訴訟の判決がある。当事者の主張の表現を借りるなら「緑色円環配置構成」の周知著名性の評価…

リツイート最高裁判決への違和感が端的に言語化された評釈に接して~法律時報2020年10月号「判例時評」コーナーより。

月末ということで届いた法律雑誌のうち、法律時報の最新号(2020年10月号、Vol.92. No.11)に目を通していたら、思わぬところに切れ味鋭い評釈が掲載されていることに気づいた。元々この号は、今、まさに研究会での議論が進められている動産・債権譲渡担保法…

防護標章登録に知財高裁が突き付けた新たなハードル?

商標の世界で知る人ぞ知る、ともいうべき存在になっているのが「防護標章」という代物である。自分がこの存在を知ったのはもう20年くらい前のことになるが、未だにわかったようでわからない、そんなモヤモヤしたところが残る制度だったりもする。商標法の条…

認知率95.9%でも登録が認められない悲しさ再び~色彩商標をめぐる判決・第3弾を受けて

「3度目の正直」などというものを期待していたわけでは決してなかったのだが、色彩商標の登録拒絶に対する審決取消訴訟・第3弾を見て、絶望の闇はより深まった気がする。過去2回の審決取消訴訟の判決内容については、以下のエントリーを参照いただければ、と…

「知財は聖域ではない」ということを再び知らしめた最高裁。

日曜日に「特許法の八衢」*1というブログで紹介されているのを見て、結末が気になっていた事件があった。patent-law.hatenablog.comライセンス契約をめぐる比較的シンプルな中身の紛争のように思える割には、本件のみならず、米国でも大阪でも事件が裁判所に…

顕在化した「社内弁護士」のリスク~利益相反問題に関する高裁決定への疑問

特許権侵害訴訟に絡んで示された判断、とはいえ、これを「知財事件」というカテゴリーだけで括ってしまうのは狭すぎる、そんな極めてセンシティブな問題を孕む決定が、今年の8月上旬に、知財高裁から出されている。全ての弁護士にとっての最重要規範である「…

まだまだ続く「令和2年著作権法祭り」~ジュリスト2020年9月号の特集より

先日、「論究ジュリスト」の「著作権法50年」の企画で知財業界を大いに盛り上げてくれた有斐閣だが、ジュリスト本誌でも8月末発売の2020年9月号で「著作権法改正」特集を組んできた。ジュリスト 2020年 09 月号発売日: 2020/08/25メディア: 雑誌このお題に関…

著作権法50年、歴史の重み。

今年もめぐって来た終戦記念日。自分はもちろん「戦後世代」ではあるのだが、物心ついた時はまだ「戦後40年」になるかならないかだったから、「終戦75年」というフレーズが繰り返し出てくるのを聞くと、何とも言えない気持ちになる。成人した頃は、「戦争を…

「OneNDA」が示す一つの可能性と、それでもなお、してみたい突っ込み。

ちょっと前から話題になっていた、単純な割に手間がかかる「NDA」(秘密保持契約)という厄介な代物を何とかして統一できないか? という構想が、遂に具体的な形として姿を現したようである。題して「One NDA」。one-contract.com自分の一番の関心は、共通す…

こんな時だからこそ絶対に読んでおきたい一冊。

本来ならオリンピック開幕ウィークだった、ということくらいは知っていたものの、昨日今日が何の祝日なのかよくよく確かめもしないまま長期連休に突入し、日本中で花火が打ちあがる、というニュースに接して、ようやく 「そうか、本当なら今日が開会式になる…

ニュースと判決文を眺めただけでは分からない「リツイート最判」の本当の意義。

今年の春以降、全体的に裁判所の動きが悪くなっている中で、知財業界にインパクトを与えるような判決もあまり出てこない状況が続いていたのだが、ここにきて強烈なインパクトのある判決が出た。しかも最高裁から・・・。 「ツイッターでリツイート(転載)さ…

司法判断第2弾、それでも残るモヤモヤ。

裁判所が長らく閉まっていたこともあって、最近は新着の判決に目を通す機会も減っていたのだが、ここにきて徐々にアップされる数も増えてきている。ずっと追いかけている「色彩のみからなる商標」も、今年3月の第1弾判決*1に続き、今度は高部眞規子裁判長の…

「スタートアップ」に生き残るための武器は配られたのか?

先月末、日経紙に載った記事を見て思わずフライング気味に書いてしまったエントリーがある。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comその時は、何だか腑に落ちない記事だなぁ・・・と思いながら読んでいたのだが、その直後に、公取委、経産省がそれぞれ”元ネタ”と…

最近の法律雑誌より~法律時報2020年7月号

なかなかゆっくりと情報をインプットする余裕もない今日この頃だが、先月末発売のこの雑誌のこの号に関しては、やはり書かないわけにはいかない、ということで、先週のジュリストに続いてエントリーを上げることにした。法律時報2020年7月号 通巻 1153号 平…

最近の法律雑誌より~ジュリスト2020年7月号

このブログでも長らく連日連夜「緊急特番」みたいな状況が続いていたのだけど、さすがにそろそろじっくりと法律雑誌を読めるような日常に近づけていきたいな、ということで、久々にこのざっくりとした標題を付けてみたり。ジュリスト 2020年 07 月号 [雑誌]…

掛け違えられたボタンの「直し方」への素朴な疑問。

土曜日の夜、日経の電子版に載った記事を見て、思わず「ん?」と首をひねりたくなってしまった。見出しからして、「知財活用で「新興いじめ」 大企業、無償要求や情報流出」だから、全く穏やかではない。そして記事の本文に踏み込むと、書き出しからして、 …

火蓋は切られてしまったが・・・。

昨年の夏くらいに少し話題になったのを最後に、しばらくは「訴訟になった」というニュースも出ていなかったので、落ち着いてくれたかな・・・とひそかに期待していたのだが、残念ながら事態は行きつくところまでいってしまったようだ。 「2018年にノーベル生…

「ダウンロード違法化」のひとまずの終着点

3年越しで議論されてきた「違法ダウンロード規制拡大」をめぐる動きが、改正著作権法成立という形で、ようやく一つの区切りを迎えた。 「漫画などの海賊版対策を強化する改正著作権法は5日、参院本会議で成立した。インターネット上に無断で公開された全著作…

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