「ネット法」の収まりどころ

文化庁が今国会に提出予定の著作権法改正案に関するニュースが夕刊紙面で取り上げられている。

文化庁は、多数の権利者がかかわっているテレビ番組のインターネットでの二次利用を促進するために、著作権法の改正案を今国会に提出する。制作から時間がたち、出演者全員の許可を取るのが困難になった場合でも「裁定制度」を拡充し利用できるようにする。」(日本経済新聞2009年2月24日付夕刊・第1面)

記事からは判然としないところもあるのだが、裁定制度が適用される範囲を著作隣接権者にまで拡充するのと、これまで標準処理期間が3ヶ月だったところを申請後直ちに利用できるようにした、といったところがミソなのだろうと思う*1


不特定多数の権利者(特に実演家)の許諾権の行使によってコンテンツの流通が阻害されるのを防ぐ、というのが、いわゆる“ネット法”論者の主張の一つだったから、これだけ見ると、その方向に一歩前進といった感もあるのだが、冷静に考えれば「裁定制度」はあくまで権利者不明の場合の取扱いに過ぎない。


ここからさらに一歩踏み出して、許諾権を報酬請求権に転化させる方向へ歩みを進めて行くのか、それとも、あくまで権利者不明の場合の特則、という形にとどまるのか、場外戦も含めて、この先もなかなか面白い展開になりそうである。

*1:補償金を供託すれば利用可能になるのはこれまでも同じだったと思うので、この点で変化があったのかどうかは生資料に当たってみないとわからない。

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