最後に完結した「姉妹」の伝説。

五輪期間最後の土曜日が、何もなく終わっていたら、あるいは、カーリングの銅メダルだけで終わっていたら、今回の五輪の日本勢のMVPは高木美帆選手、という総括で良いはずだった*1

僅か15歳で五輪の舞台に立った天才肌の妹と、それに一念発起して次の五輪で代表の地位を掴んだ努力家の姉。
亀がウサギを一瞬追い越した瞬間はあったが、最後はやっぱり“ウサギ”が金銀銅のメダルを取り揃えて力の差を示した、というストーリーを、数日前までは勝手に考えていたのだが・・・。

「新種目のマススタートが行われ、女子の決勝で高木菜那日本電産サンキョー)が優勝した。高木菜は団体追い抜きに続いて今大会2つ目の金メダル。」(日本経済新聞2018年2月25日付朝刊・第29面、強調筆者、以下同じ)

競技自体は、自分も今回の中継を見て初めてルールを知ったくらいで、決して馴染みのあるものではない*2
また、何レースか見ている限りでは、通常のスピードスケートに求められる能力以上に、“ショートトラック”的な一瞬の瞬発力だとか、インを突く状況判断が大事な種目だ、ということに気付き、だからこそ韓国が地元開催で正式種目にしたのだろうな、という勘繰りもしたくもなる。

だが、ルールに則って勝った選手に何ら罪はない。
そして、最後の一瞬の脚で、金メダルを狙いに来ていた韓国のKIM Bo-Reum選手を一敗地にまみれさせた高木菜那選手の実力と強運は際立っていた。

今回、パシュートに続いて金メダルを取ったことで、夏冬通じて女子では初の快挙となる「金2個」ホルダーとなり、ともすれば、「小平&高木美帆フィーバー」の中で終わってしまいそうだったスピードスケート界のムードにも一石を投じた・・・。
全ては「体こそ妹より一回り小さいが、妹以上に勝気な雰囲気を醸し出している」彼女ならではの話。

ただ、個人的には、この8年の間、美談だけでは済まないことも多少ならずあったはずのこの姉妹の物語が、「生まれた順にいい色のメダルを分け合うことができた」という形で終幕を迎えた奇跡に、ちょっとした感銘を受けている。

おそらく日本中の誰もが、そして本人さえも予想していなかったこの結末。人生とは、つくづく面白いものだと思うのである。

*1:その理由は、パシュートの金メダル直後のエントリーに書いているので、そちらを参照されたい(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20180221/1519232940)。

*2:途中のラップでポイントを取りに行くのは予選の時だけで、決勝でのミッションは最後にトップでゴールすることだ、という当たり前のことに気付いたのも、高木菜那選手がゴールした後だったりする・・・。