「リンゴ」時代の終焉が象徴するもの。

新年早々、売上高予想の下方修正をぶちかまして市場を壊すんじゃないか、とひやひやさせてくれた米アップル。
幸いなことに、4日の夜に発表された雇用統計で米国の景気自体は堅調だ、ということに皆気付いたし、業績不振もアップル固有の問題に過ぎないのでは?、ということを皆疑うようになってきたために、株価も為替も一気に正常方向にリカバーしたから、恐慌の引き金になることは避けられそうな気配だが、一時はどうなることかと思った・・・。

今回、自分が一番ひどいと思ったのが、アップル側が売上高減少の要因を、専ら「中国の景気減速」というフレーズで説明しようとしたこと。

確かに中国という市場が成熟してきていて、以前と比べて伸びしろも少なくなっているのは事実だとしても、「売上高5%減」というショッキングな数字とそれを短絡的に結びつけるのは、恥知らずにもほどがある。

10-12月四半期、ということでいえば、米中関係の悪化による中国国内の不買運動の影響も相当あるだろうし、そもそもここ数年のトレンドとして、中台の新興メーカーの劇的な技術進歩によって、日本以外ではAppleスマホ端末に真っ先に飛びつくユーザーというのは消滅しつつある*1
そういった中で、新機種の強気の価格設定が裏目に出て売り上げを落としたのだろう、ということは素人でもわかる話なわけで、辛うじて市場に食い込んでいた中国ですらシェアを落とす、ということになれば、もはやデバイス提供者としてのAppleの時代は終焉に近づいている、というほかないだろう。

そして、たかがスマホの話、とはいえ、「米国企業がリードし、アジア勢が追いかける」というIT分野の典型的な構図の“激変”の契機を新年3日目にして目の当たりにすることになった、というのは、この1年を後から振り返った時に、実に象徴的な出来事だった、ということになるような気もしている。


自分は、認めたくなくても、これからの30年、ありとあらゆるハードの分野で世界市場を席巻するのが中国系のメーカーであることは、もはや疑いようもない事実になりつつあると思っている*2

昨今の政治的なゴタゴタの中で、自国優先主義に回帰した米国政権に付き合って日本政府がファーウェイ製品の排除を働きかけるのは勝手だが、それは結局、今や完成品への部品供給でしか生き残れなくなっている日本の製造業の首を絞めることにもなるわけで、くれぐれも政策選択の優先順位は誤ってほしくないな、と思うところである。

*1:ちなみに自分は初代のiPodがあまりに早々にお釈迦になってしまったこともあって、この会社にデバイスメーカーとしての信頼を全く置いていないし、スマホ進出後も一貫してAndroid派である。

*2:なぜなら、彼らは机上のアイデアだけでなく、かつての日本企業に匹敵するくらい確実に「物」を作れる数少ない人々だから。もちろん、「アイデア」も既に日本の先をいっている。