今日の日経朝刊に、
これまでの選挙戦で電話作戦に使っていた「名簿」が、
個人情報保護法の影響で集まりにくくなっており、各陣営の困惑を招いている、
という趣旨の記事があった。
中央大・堀部政男教授は次のようにコメント。
政治活動は民主主義の原点で、個人情報保護法も除外規定を設けている。団体や企業は名簿提供に慎重になりすぎているのではないか。法の趣旨を考慮し、柔軟に対応すべきだろう*1。
分かってないなあ・・・。
別にどの企業も「慎重に」なっているわけではないと思う。
むしろ、個人情報の意識が高まっているのを背景に、
これ幸いと名簿の提供を拒んでいる企業がほとんどだろう。
はっきりいって、「政治活動が民主主義の基本」などというのは、
教科書の中のきれいごとに過ぎない。
以前、総務課の仕事をしているとき、
選挙が近くなると、自分の上司が、
仕事中に自民党の後援会の幹部であるOBに呼び出されて、
名簿を手に電話作戦の「お手伝い」をやらされているのを目の当たりにしてきた。
当然、「会社としての」取り組みの一環である。
一方、一般社員の我々も、選挙とは無縁ではない。
こちらは労働組合の役員が「取り組み」と称して、
「一人5人ずつ紹介してください」という難題を押し付けてくる*2。
管理職は自民党、組合員は民主党で、
両方から頼まれて、一つの選挙で選挙区の対立候補の双方の支援者として
名前を連ねるのも日常茶飯事であった。
こうやって、貴重な時間を無駄にさせられてきた企業の人間が、
「個人情報保護法」を盾に名簿の提供を拒む、という些細な抵抗をするのは、
当然の流れだと思われる*3。
「清き一票」が、純粋な投票行動とは無縁の世界で
積み上げられていく光景を目の当たりにしてきた自分にとって、
「政治活動」は所詮趣味の領域で語るべきものに過ぎない。