村主選手の演技は素晴しかった。しかし・・・
昨日の予告どおり、
朝から代々木競技場に駆けつけたが、
ダフ屋すらチケットを入手できていないという有様で、
残念ながら、ライブ観戦の夢は消えた。
結局、テレビで見た女子フリー。
最終選考の舞台というだけあって、
最終組の選手はほぼノーミス。
以下、素人目に見た感想。
荒川静香選手は、ジャンプがかなり乱れていたが、
スパイラルやステップといった“見せ場”では、
元世界女王の貫禄を十分に見せつけた。
浅田真央選手は、世界初、2度のトリプルアクセルを決めた。
(解説によれば)コンビネーションジャンプを省いたところもあったようだが、
相変わらず全体的なキレとテンポの良さが光った。
恩田美栄選手は、豪快な3回転ジャンプを次々と決め、
ジャンプに関しては、最終組6選手の中でもっともパーフェクトな出来。
滑り終わった後の本人の表情がすべてを物語っていた。
村主章枝選手は、苦手のジャンプをほぼノーミスで乗り切り、
持ち前の表現力を存分に発揮することができた。
曲とのマッチングも絶妙で、もはや見慣れた構成とはいえ、
フィニッシュの連続スピンは、昨日に続いて涙なしには見られなかった。
中野友加里選手は、ジャンプは完璧に近い出来に見えたし、
得意のドーナツスピンも映えた。
キレとテンポの良さに関しては、浅田選手に負けず劣らずだったように思う。
そして、最終滑走の安藤美姫選手。
ジャンプでバランスを崩す場面も何度か見られたが、
決めるところではきっちり決めた。
選曲とプログラム構成ゆえのテンポの悪さは相変わらず気になったが、
全体として大きなミスはなく、良く耐えたといった印象。
最終的な結果は次のようなものとなった。
(技術点、表現点、フリー得点、SP+フリー得点)
荒川静香選手 53.32⑦ 65.28① 118.60④ 187.36点(3位)
浅田真央選手 61.30③ 60.16③ 121.46③ 188.10点(2位)
恩田美栄選手 66.10① 57.76⑥ 123.86② 186.06点(4位)
村主章枝選手 62.70② 64.16② 126.86① 194.16点(優勝)
中野友加里選手 55.40⑤ 58.80⑤ 114.20⑤ 175.66点(5位)
安藤美姫選手 53.60⑥ 59.52④ 113.12⑥ 173.36点(6位)
この全日本の順位に基づくポイントを、代表選考ポイントに加算すると、
1.安藤美姫 1865点+350点=2215点①
2.中野友加里 1643点+400点=2043点④
3.恩田美栄 1564点+450点=2014点⑤
4.荒川静香 1560点+500点=2060点③
5.村主章枝 1550点+600点=2150点②
となり、その後の五輪代表選考でも、
“順当に”村主、荒川、安藤の3選手が内定した。
前回五輪で最後の一枠を争った村主、荒川のベテラン2名が仲良く出場し、
絶大な人気を誇る若い安藤がそれに加わる、という
“理想的な”構図である。
事前予告どおりのポイントレースで、上から順に選んだらこうなっただけで、
本来なら他に説明の必要もない・・・結果であるはずだ。
だが、某巨大掲示板上では、疑惑と批判の嵐が渦巻いている*1。
曰く、
「村主選手の技術点(&総合得点)が高すぎる*2」
「中野選手の得点が昨日に続いて不当に押さえられている*3」等々。
そして何よりも、
「全日本6位の安藤美姫を代表に選んで良いのか*4」という指摘が予想どおり多い。
自分はフィギュアスケートの競技経験者ではないし、
プロの審判員を上回る審美眼を持っているなどというつもりも毛頭ない。
技術点の評価に際しては、緻密な考慮要素が反映されているのだろうし、
表現点の評価についても、プロと素人とでは着眼点が違うのだろう。
だが、選考ポイント4位の中野と3位の荒川との差はわずか17点差。
トップの安藤とさえ、172点差しか付いていない。
「10%以内のポイント差については総合的に判断する」という
“逃げ道”を用意していたとはいえ、
仮に中野選手の順位が一つあがっていたら、
優勝したのが村主選手ではなく浅田選手だったら、
あるいは順位が入れ替わらなくても、中野選手の点数がもう少し伸びて、
安藤選手に10点以上の差を付けていたら・・・*5
すんなりと、上記のような“理想的な”構図を作り上げることはできず、
スケート連盟はさらなる説明を求められただろう。
フィギュアスケートの代表選考をめぐるゴタゴタは
別に今に始まったことではないし*6、
採点競技である以上、何らかの政治的思惑が働く可能性は否定できない*7。
何より、今回選ばれた3選手のバックにはスポンサーが付いており、
(今日のフジテレビの録画中継の合間にも、何度となくCMが流されていた。)
中でも、もっとも多くのスポンサーに支えられているのが安藤選手である*8。
アマチュアスポーツといえど、世界舞台で活躍する選手を育てるためには、
多額の資金が必要となるのは言うまでもないことであり、
仮に、“スポンサーを立てる”ために“看板”選手たちを五輪代表として送り出す、
という連盟の深謀遠慮があったとしても、一概にそれを責めることはできないはずだ。
だが、やはり後味の悪さは残る。
自分が見た限りにおいて、
昨日、今日の村主選手の演技は素晴しかったし、
荒川選手も五輪代表にふさわしい実力を披露している。
この二人を日本代表として送り出すことには何の疑念もない、と
個人的には思っている。
しかし、そうであるからこそ、
“最後の一人”の選考にはもっと慎重であって良かったのではないだろうか。
大会が終わった直後に、スポンサー付きのテレビ中継に合わせて
代表内定選手を発表する、というやり方では、
初めから結論ありきだった、と批判されても、
(そして、それゆえに今大会の採点結果そのものに疑惑を持たれても)
仕方ないところだろう*9。
中野選手が優勝しない限り、
今大会の結果によって安藤美姫選手のポイント首位の座が揺らぐことはなかった。
そして、その事実がある限り、最終的には、
過去の“実績”(=ポイント)という二文字で
代表の座に滑り込むことはできたのだから、
他の二選手を含め、無理に結論を急ぐことなく、
今季の成績と過去の実績を“吟味の上”、
代表内定を出せばよかったのではないか、と思う。
この1、2年間、騒ぎ立てるマスコミに追われてきた安藤選手にとって、
今回の代表内定が何よりの“薬”になるのは間違いない。
だが、仮に本番で結果を残せなければ、
その“薬”は“毒薬”となって彼女自身を蝕むことになる*10。
たった一度の大舞台で散らすには、その才能はあまりに惜しい・・・。
裏目に出た勇気
2つ目の後味の悪さは当然ながら有馬記念・・・orz。
昨日の素人予想のせいで、見事なまでに全世界に恥をさらしてしまった。
あんなに外々廻られては・・・*11
と泣き言の一つも言いたくなるが、
そんなことを言い出したらキリがない。
まぁ、絶対的な「頭」と言い張った馬が完敗し、
上位人気にもかかわらず切り捨てた2頭がきっちりと1,3着入線と来れば、
ギャンブラーとしては却って気持ちよかったりもするのであるが。
今年の最終レース(阪神12R「フェアウェルS」)に出走していた、
「ハッピートゥモロー」という馬に、最後の夢を託したが、
これまた見事なまでに惨敗。
ここまで綺麗に負けた記憶は、そうそうない。
とりあえず、不用意に断言してしまったことに反省*12。
ついでに、この二日間趣味ネタで埋め尽くしている自分にも反省・・・。
*2:いかにノーミスでジャンプをこなしたとはいえ、世界初の偉業を成し遂げた浅田選手より技術点が高いのはおかしいのでは、という指摘が目立つ。
*3:トリプルアクセルの回転不足等をとられた可能性はあるが、それを差し引いても、これまでのGP大会での評価に比べると評価が低すぎる(今日の表現点でも安藤を下回っている。)という指摘が多い。
*4:今日のフリーの技術点だけを見れば、ジュニアの沢田選手を下回る結果に終わっている。かといって、荒川選手のように表現的要素で挽回できるだけの実力は伴っていない。NHK杯優勝、GPファイナル3位の中野選手と違って、今季は国際大会で満足のいくような結果を残せていない・・・等々
*5:この場合、逆に「総合判断」という要素が重くのしかかることになる。
*6:前回の五輪でも、全日本選手権前に恩田選手に内定を出したことが、週刊誌等で問題にされていた。今回、恩田、中野両選手に浅田真央選手を含めた“名古屋勢”が割りを食っている感があるのは、その時の影響ではないか、と指摘する声もある。
*7:国際舞台においても同様の採点疑惑が数多く取りざたされていたからこそ、一見客観的に“見える”現在の採点方式が導入された。
*8:この点については掲示板でも執拗なまでに槍玉に挙げられている。
*9:真実がどうであれ、あらぬ憶測を招くような“やり方”をとることには、やはり問題があると言わざるをえない。
*10:「本番までにはきっちり調整してくるでしょう」と持ち上げ、本番の放送直前まで散々煽るクセに、結果が出ないとあっという間に去っていく、というのがこの国のマスコミの常である。面と向かって批判するより却ってタチが悪い。
*11:今日のレース運びは、古馬と戦うにはあまりにロスが大きすぎたし、それ以上にルメール騎手の騎乗が巧かった。
*12:とりあえず、当分は馬券を買うこともないでしょうが・・・。