本人も言ってたセリフだけど、
日本一を決める大舞台で、
引退試合のようなパフォーマンスができる機会に恵まれる選手は
(そしてそれが公然と許される選手は)
そうそういないわけで、
新庄剛志選手の強運ぶりにはつくづく驚かされる。
直前で稲葉選手がホームランを打ったとはいえまだ3点差、
ひっくり返されればシリーズの流れが一気に変わってしまうような
大事な試合の終盤で、
号泣しながらのフルスイング。三球三振。
それでいて、場内からはスタンディングオベーション*1。
新庄選手の場合、パフォーマンスだけじゃなくて、
玄人好みの守備だとか走塁だとかにも十分に魅力はあったし、
何と言っても“タイガース冬の時代”を支えてきた選手の一人だから、
個人的には声援を送っていたのだけど、
敵方ベンチはたまったもんじゃない・・・(苦笑)。
仕事だの飲み会だので、
良くてワンセグ観戦しかできなかった今年のシリーズだが、
昨年同様、“流れ”の恐ろしさは十分に伝わってきた。
シリーズの勝敗を分けたのは、
おそらく札幌初戦の武田勝投手の好投。
そして、そこで1勝のリードを奪ったがゆえに、
あとは、地元の観衆の大声援の中で、
“とっておき”だった金村暁投手の“復活劇”*2だの、
“サヨナラ新庄”だの、といった
マンガ仕立てのストーリーを演出する余裕もできた。
“風”が新たな“風”を呼ぶ、絶好の展開。
もちろん、流れにきちんと乗れた選手たちが、
一番素晴しいのは言うまでもないのだけれど、
去年のタイガース同様、短期決戦で流れをつかめないと、
実力以上に酷い目に合う、ということを
ドラゴンズベンチはつくづく思い知らされたに違いない。
それにしても、中日の最終回の攻撃、
上田佳範選手が打席に立っているのを見たときは、切なかった。
日ハム一筋14年。
最後の方はほとんど出場機会を奪われていたとはいえ、
チームを追われた次の年に、目の前で古巣の胴上げを見せられるとは*3。
あと一歩のところでセンバツ優勝を逃した悲運の甲子園球児にとって*4、
「日本一」の三文字は、果てしなく遠いようである・・・。