元々、腰を痛めて試合に出たり出なかったり、だった選手が星野のおじさんに連れて行かれてしまった・・・と思ったら、北京では散々、しかも戻ってきたら腰椎骨折が判明して今季は絶望的・・・・*1。
いくら自分のところの“シニア・ディレクター”がしでかしたこととはいえ、これはあんまりだろう・・・と恨み節の一つも言いたくなる。
ついでに言えば、ファンなら酒場でグチグチ言ってれば済む話でも、球団や選手本人にとってはそれでは済まない。
球団にしてみれば、大事な選手を貸し出したあげく、看板選手を一人(少なくとも今季は)失うことになるわけで、その痛手は計り知れないということになろう。
また、シーズンが終われば査定の季節が始まるが、五輪合宿・大会中の負傷がいわゆる「公傷」にあたるのか、という悩ましい問題もある*2。
「(世代別)日本代表」の位置づけがはっきりしているサッカーの場合、その辺は分かりやすくなっていて、選手によっては、代表選出、代表戦出場に伴うボーナスオプションがついていることもあるだろうし、仮に負傷した場合はしかるべき補償も受けられることになるはずである*3。
なぜなら、Jリーグ規約は、選手に対して
「協会から,各カテゴリーの日本代表選手に選出された場合のトレーニング,合宿およ
び試合への参加」
を履行する義務を負わせているし(88条(7))、Jクラブの側でも、所属選手が日本代表に選ばれた場合に選手に対して参加させる義務を負わされている(41条2項)のであって、常に「代表」と国内リーグの存在がリンクするサッカーの世界においては、才能ある選手が「代表」として選出され、活躍することがあらかじめ予定されているからである。
一方、プロ野球はといえば、統一契約書の第19条に、
「(試合参稼制限) 選手は本契約期間中、球団以外のいかなる個人または団体のためにも野球試合に参稼しないことを承諾する。ただし、コミッショナーが許可した場合はこの限りでない。」
などという規定があることからも分かるとおり、あくまで「リーグ戦中心主義」である。
野球協約と合わせて読んでみても、どこにも「代表」とか「五輪」といった言葉は出てこないのであって、それだけ「五輪代表」という存在がイレギュラーなものであることが良く分かる。
球団にとっては、看板選手を無下に扱うわけにはいかないから、五輪で傷を負った選手に対して当然ケアをすることになるのだろうが、どこにその根拠があるのか?ということになると説明は難しい。
球団によっては、そもそもそんな面倒な事態になる前に選手の派遣自体を拒否する*4、という考えを抱いても全く不思議ではない状況がそこにはある。
金メダル金メダルと騒ぎ立てるのであれば、その辺も含めて対応を検討しておくべきだったのだろうが、(今回の五輪に関して言えば)いまや後の祭り。
来年には第2回のWBCも行われることを考えれば、今からでも遅くないから次年度に向けて協約、統一契約書の改訂の準備をすべきではないか、と思ったりもするのであるが、どうなることやら・・・。