完全に定着した流れ。

チャップリン黒澤明作品をめぐる紛争を経て、「映画の著作物の保護期間」に関する判断基準(監督の死後70年まで存続する)が完全に固定化した感がある。

「1950〜52年に公開された故成瀬巳喜男監督らの邦画3作品を格安DVDとして販売しているのは著作権の侵害だとして、東宝(東京)が都内のビデオ販売会社に販売差し止めなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、販売差し止めや原版の廃棄などを命じた。」(日本経済新聞2009年6月18日付朝刊・第42面)

判決を読んだら改めてコメントしようとは思っているのだが、これらのケースでも公表時基準ではなく、監督の死後・・・基準が用いられたことだけは確かなわけで、裁判所がこのような考え方を認めている以上、今後の実務はこの基準によらざるを得ない、ということを改めて思い知らせてくれる判決であるのは間違いない。


もっとも、今回対象となった作品は、

成瀬巳喜男監督 「おかあさん」
谷口千吉監督 「暁の脱走」
今井正監督 「また逢う日まで

である。

監督としての専門的評価はともかく、商業ベースでみれば、いずれも黒澤明監督などに比べれば、現代における知名度は劣るわけで、「格安DVD業者」に対する差し止めが認められたところで、権利者にどれだけメリットがあるかは怪しい。


むしろ、こういう作品であれば、“昭和名作選”的な格安シリーズの一つに入れてもらう等した方が、かえって作品の商業的価値が上がって、著作物そのものの価値も上がるのではないか、と思ったりもする。


「自分たちの権利を侵害するものは、とにかく排除しなくては・・・」という権利者サイドの感情は十分理解できるにしても・・・。

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