ローズキングダムの出走取り消し、というアクシデントもあり、ブエナビスタが人気を一身に背負って臨む形になった今年の有馬記念。
最後の直線で、いつも以上に豪快な、上がり33秒台の強烈な末脚が繰り出された時は、今年の締めくくりにふさわしいフィナーレを目撃できると思ったのだが・・・・無念のハナ差2着。
勝ったのは、曲がりなりにも今年の皐月賞馬で中山コースは2戦2勝、凱旋門賞にも参戦し、JCでも3着と一応結果は残してきたヴィクトワールピサ。
とはいえ、力でねじ伏せた、というよりは、超スローな展開で出し抜け的に仕掛けたデムーロ騎手の技が勝った、という評価がしっくり来るようなレースだっただけに、2戦続けて2着に泣いたブエナビスタの悲運さがより際立っていた。
振り返れば、今年はドバイのシーマクラシックで2着、宝塚記念でも2着、そして勝ったはずのJCで2着に降着の憂き目を見て、さらに最後のレースでもハナ差届かず。
年間を通じてこれだけコンスタントにG1・2着を連発する牝馬というのも、なかなか珍しいだろう(しかもその間に2つのG1タイトルをきっちり取っている)。
デビュー以来全てのレースで3着以内、この1年に限れば連を外したことがない、という特筆すべき安定感を誇りつつも、「優等生」的な印象ではダイワスカーレットに一歩劣り*1、かといって「一発」の魅力では、ウォッカに遠く及ばない*2。
世代が比較的近いところに、インパクトの強い牝馬が2頭もいたがゆえに、残した実績ほどの印象が伴わない・・・その辺りに、この馬の悲運さを感じるわけで・・・*3。
もちろん、来年、ドバイあたりで殊勲の星を挙げてくれれば、壁を突き破れるんじゃないか、と思うのだけれど、そこまで辿りつけるのかどうか。
年が変われば、悲運が幸運に変わる、と信じたいところである。