綺麗な馬場だろうが、ぐちゃぐちゃの馬場だろうが、強い馬は強い。
それを改めて実感した今年のダービーだった。
ゴール前、馬群を切り裂いて、あの不良馬場ではちょっと考えられないような34秒台の末脚を炸裂させた*1オルフェーヴルが、1冠目のレースを再現するような見事な勝ちっぷりで、池添騎手に初の栄冠をプレゼント。
2着に入ったウインバリアシオンの追い脚も見事ではあったが*2、最後の直線をロスなく立ち回っても、ようやく1+3/4馬身までで、直線の入り口でサンドイッチ状態になったオルフェーヴルに、(画面を見る限り)脚が止まりそうになるくらいのロスがあったことを考えると、力の差は見た目以上にあったんじゃないかと思う。
さらに7馬身も離されてしまった3着以下の馬との差については、敢えて述べるまでもあるまい。
“その他大勢”の関係者にとっては、あまりに残酷な映像が、全てを証明してくれる。
個人的には、皐月賞のVTRを見た時に、「この馬ちょっと次元が違うな」と思っていたから、単複きちんと押さえていたのだが、戦前の“良血煽り”にうかつにも騙されて*3、見事な取り損。
せっかく青葉賞組にも狙いを付けたのに、1着馬ではなくて、重馬場実績のあるショウナンパルフェの方に賭けてしまったのも失敗だった*4。
ただ、440キロ台の小さな体で、道悪もごちゃついた馬群も(ついてにダーレー&デットーりのネームバリューも)、ものともせず、弾け飛んでくるあの姿を見てしまうと、6年前、無敗のダービー馬が誕生した瞬間の高揚感が思わず蘇ってきてしまうわけで・・・*5。
見回せばどの馬にもサンデーサイレンスの血が入っている*6、という血統の偏りをあちこちで指摘された上に*7、初年度産駒から存在感を示すはずだった“ディープインパクト系”が、枕を並べて討ち死に*8、と、今後の馬産の行方が危ぶまれるような状況なのも確かだが、今は、今日誕生した「二冠馬」が、しばらく日本競馬の看板を背負って、世界の王道を歩んでくれることを信じて、全てを前向きに考えておくことにする*9。
*1:古馬準OP、しかも距離が短い1つ前のレースでも、34秒台の脚を使ったのは1頭だけ。しかもその馬のハンデはダービーに出走した各馬より3キロも軽い。
*2:上がりタイムは勝ち馬を僅かに上回っている。
*3:トーセンレーヴとユニバーサルバンクにしこたま流して、トータルでは・・・。
*4:人気薄だったにもかかわらず、結果的には見せ場十分の6着だったから、あながち明後日の予想ではなかったようなのだけど、外れは外れ。
*5:そもそもデビュー以来土付かずのエリート街道を歩んできたディープと、人気は集めながらもスプリングSで勝つまでは、イマイチなレースを続けてきたオルフェーヴルとでは、本番での注目度も、一冠を制した時の“その先”への期待度も全く異なっていたわけだが、今日のレースで、肩を並べたと言っても過言ではないような気がする。
*6:出走18頭中16頭は、父がサンデーサイレンス直仔。残り2頭(ベルシャザール、クレスコグランド)も母父がサンデーサイレンス。
*7:一般紙である日経新聞にもわざわざ囲み記事で「異例の事態」と指摘される、まさに異例の事態となった。
*8:最高位がトーセンレーヴの9着・・・というのでは、社台も頭が痛いだろう。リベルタスに至っては、最初から歩いてた・・・orz
*9:父がステイゴールドで、母系には長く安定した成績を残したわが国が誇る名血・メジロマックイーン、そして全兄・ドリームジャーニーが7歳になっても現役を継続している、ということなど、息の長い活躍を期待するには十分過ぎるほどのバックグラウンドは揃っている。