次元を超えた豪脚と、それを目にすることができた幸運と。

2015年5月31日。
この日、圧倒的1番人気に支持されていたドゥラメンテが、圧倒的な強さを示して、第82回日本ダービーのタイトルをかっさらっていった。

これで皐月賞と合わせて3歳クラシック「二冠」。

着差は2馬身弱、と控えめで、上がり3ハロンの脚も最速ではないが*1、最後の直線で馬群から抜け出した瞬間に、場内にいたほぼ全ての観衆が雰囲気にのまれ、この馬の勝利を確信した、という点において、“圧倒的”な勝利だったといえるだろう。

勝ちタイムも、しばらく破られていなかった、父・キングカメハメハのタイムを上回るダービーレコード(2分23秒2)を記録した。

遡れば曾祖母ダイナカールからエアグルーヴアドマイヤグルーヴとまばゆいG1名牝の血を引くノーザンファーム生産馬で、戦績もデビュー以来[3200]。
美浦トレセンの所属である(苦笑)ということ以外は、何ら非の打ちどころがない馬だけに、判官贔屓予想屋にとっては、決して面白くない馬だったのだろう。
皐月賞で見せた4コーナー出口での“大逸走”の記憶が生々しかったこともあって、レース前は、「大観衆の前でスタートしたらテンションあがって走れない」等々、“いかにドゥラメンテに弱点があるか”ということをやたら強調するようなコメントも目立っていたのだが、そういった天邪鬼な感情を全部吹っ飛ばす爽快な勝利で、自分も感動を越えた感銘を覚えた。

これだけ強い勝ち方を見せつけられてしまうと、初秋に日本のレースを使うのがもったいないようにも思えてきて、いっそのこと最後の一冠をスルーしてでも、ロンシャンで悲願を・・・という思いがどうしてもよぎってしまうのだが、次にチャンスが訪れるとしたら、いつになるか分からない「三冠馬」を、自分が見られるうちに見ておきたい、というのもファン心理である*2

陣営がこの秋どういう戦略を取るつもりなのか、自分には全く想像もつかないし、このレースの勝ちっぷりを見て今一番頭を抱えているのは、身近なところにいる関係者なのかもしれないけれど、自分は、ドゥラメンテというこの1頭の馬が、3歳馬としての一年を全うできなかった父の無念を(そして願わくば国内で)晴らしてくれる役割をは果たしてくれることを、願ってやまない。

*1:最速は3着に入ったサトノクラウンの33秒8。ドゥラメンテは33秒9。

*2:幸運なことに、自分は、この10年の間に、ディープインパクトオルフェーヴル、という21世紀最強クラスの2頭にたまたま巡り合うことができたが、その前まで遡れば、ナリタブラインからディープインパクトまでは11年空いているし、さらにその前(シンボリルドルフ)との間隔も10年空いている。阿部珠樹氏の例を引くまでもなく、そろそろ、いつ何が起きるか分からない年頃に差し掛かってきている時だけに、ここでまた再び・・・という思いは当然ある。

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