地元マツダスタジアムで「日米通算200勝」を達成した、ということで、夜のスポーツニュースは広島の黒田博樹投手を称えるムード一色だった。
イチロー選手のシュールなコメントもあったものの、メジャーリーグで先発ローテーションを張れる地位をなげうってカープに戻ってきたこの選手の心意気にケチを付ける余地は皆無だし、そんな男気がまさに実ろうとしているシーズンにこういう記録が達成される、というのもめぐり合わせとしては素晴らしいことだと思う。
で、そこまでは良かったのだが、残念だったのはこの試合で黒田投手の引き立て役になってしまったのがタイガースだった、ということ。
もう長らく湿っている打線はこの日も変わらない“持ち味”を発揮し、ここ数試合、決して調子が良くなかった黒田投手相手に7回で9三振。
そんな貧打線を抱えるチームで、先発投手が3回途中7失点でノックアウトされるような展開になってしまうともはやどうしようもないわけで、全く抵抗できないまま0‐7、という惨敗を喫するに至った。
これで今シーズンのカープ戦は、4勝13敗。
自らが最下位に低迷する要因になっているのみならず、カープに11ゲーム差の大独走を許す原因にもなってしまっているこの星勘定のひどさを一体どう理解すればよいのだろうか*1。
今季の監督が、選手としての最充実期にFAで移籍してカープを優勝から長らく遠ざける原因を作ったあの金本知憲氏だけに、長年縦縞一筋のファンとしては「今さら古巣に罪滅ぼしかよ・・・」と悪態の一つも付きたくなる。
ちょっとでも結果が悪いと、すぐに選手を入れ替えて毎日猫の目のようにラインナップを変え*2、不甲斐ないピッチングをしたエースに喝を入れるだけならまだしも時代錯誤の“罰投”で160球以上も投げさせて晒し者にしてしまい、ブルペンに至ってはマテオ投手、藤川投手等々、起用法が全く安定しない。
完全に同世代で、カープ時代には俊足強打でチームの看板として並び立っていた元同僚がリーグ優勝監督に向けて大きく足を踏み出している中、名門チームの将として焦る気持ちは分からないでもないが、“我慢することを学ぶ”ことも名将になるための大切な要素のはずで、一足先に引退してコーチとしての経験をみっちり積んだ敵方の緒方孝市監督に比べると采配の未熟さが際立ってしまっているのはどうしたものか・・・。
ヘタに読売に逆転優勝されるくらいなら、このままカープに独走してもらった方が自分の精神衛生上はベターだし、人間は急には変われない以上、今季に関しては望むかどうかにかかわらず、金本監督率いるタイガースが、カープ相手に“引き立て役”の役回りを脱することはほぼ不可能だろう。
そして、こんなひどいシーズンだからこそ、選手たちには“我慢”する苦しさを来季の糧にしてほしいし、(もしチャンスがあるならば)*3金本監督にも・・・と思わずにはいられないのである。