“神”をも封じた魔法のランプ。

今年の安田記念は、前週のダービーをレイデオロで初制覇し、ヴィクトリアマイルから3週連続でG1を奪い取っていたルメール騎手が、「イスラボニータで勝てるか?」というのが最大の焦点になっていた。

イスラボニータと言えば、3歳時に皐月賞制覇、ダービー2着、そして秋の天皇賞に果敢に挑んで3着、と世代の主役を演じ続けてきた馬だし、古馬になって短めの距離に転向して以降も、マイルチャンピオンシップで3着、2着、と確実にマイル路線のビッグタイトルに近づいていた馬でもある。

そして、今年、前哨戦のマイラーズカップを制して大一番に臨む、となれば、1番人気になるのも当然、というところであった。

1000mが57秒台、というハイペースの中、道中じっくりと中団で脚を溜めていたイスラボニータが直線を向いた瞬間、「一気の差し切りV」という映像が頭をよぎった人も決して少なくはなかったことだろう。

だが、その時先頭にいたのは、去年8番人気でまさかの優勝を遂げたにもかかわらず、今年も「8番人気」という美味しい定位置にいたローエングリン産駒・ロゴタイプ
そして、馬群にもまれたイスラボニータを横目に、後方から一気の差しを見せたサトノアラジンが、ギリギリまで粘り込みを図ったロゴタイプを最後にかわして優勝、という実にドラマチックな決着となった。

一時期はルメール騎手が操っていたこの馬が、川田騎手のお手馬になったのはちょうど一年前のレースから。
2年続けて主役になっても不思議ではなかったダービーで一敗地にまみれ、ルメール騎手に美味しいところを持って行かれた悔しさが、同じ池江厩舎&里見オーナーの組み合わせの“アラジン”に乗り移ったのか・・・。

前走の不可解な大敗もあって今回は忘れられた存在(7番人気)になっていたものの、この馬が、元々32秒台で上がれる強烈な切れ味を持ち、昨年のマイルCSでは1番人気にすら推されていた、ということを思い出したのは、ゴール板を駆け抜けた後だった。

最後の直線で降って湧いたように現れ、瞬く間に駆け抜けたその姿は、馬名に恥じないマジックのような何かを感じさせたし、展開がハマらない限り二度と勝てないだろう・・・という儚さも連想どおり。

なお、ひねくれ者の自分は、今回もいつもあと一歩のエアスピネルを推してしまったゆえに、馬券的にはクラシック以来のダメダメっぷりを再び味わうことになってしまったが、今回勝った馬が秋に再び戦列に戻ってくるのであれば、ダメ元で、もうワンチャンスに期待しても良いかな、と思った次第である。

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