「有馬記念の後も〜」がCMのネタにもされてしまった、今年の中央競馬の変則開催。
確かに2週間丸々競馬がない、というのは、関係者にとっては不健全なことのかもしれないが、個人的には、「紅白歌合戦」の後に「FNS歌謡祭」を見て年越しをするようなもので、(後者は後者で良い番組ではあるのだけど)何となく締まらない印象はある。
とはいえ、有馬記念よりは数段不確実性が高いG1、2歳馬が主役のホープフルSが最後の最後に入った、ということで、博打打ち的には興味深い年末だった。
レース前から、武豊騎手がここで勝って再びG1全レース制覇に王手をかけるのか、とか、M・デムーロ騎手が年間最多G1勝利数を更新するのか、とか、はたまたルメール騎手が大舞台で年間200勝の大台に載せるのか、等々、いろいろとサイドストーリーも充実していたのだが、終わってみれば、デムーロはデムーロでも弟のクリスチャンが騎乗したハーツクライ産駒、タイムフライヤーが格の違いを見せて快勝。
一方、武豊騎手騎乗のジャンダルムは現状の完成度の高さを見せたものの2着確保が精いっぱい*1、そしてルメール騎手はレイデオロの再来か、と思われた藤沢和雄厩舎のフラットレーで思わぬ惨敗*2という結果に終わった。
いきなりスタートで大きく出遅れたり、道中全く付いていけないような馬がいたあたりが2歳戦らしかったのだが、舞台としては、皐月賞に直結しても不思議ではないレースだけに、この日の出走馬17頭の今後が気になるところである。
なお、個人的に、光る馬だな、と思ったのが、8番人気ながら3着に突っ込んできたステイフーリッシュ。
今月に入って新馬戦を勝ったばかり、直線もタイムフライヤ−に比べると不器用さが目立ち、その分、勝った馬には遠く及ばなかったのだが、それでも2着の馬は完全に凌駕する脚色でゴールに飛び込んだ。
勝ったタイムフライヤーが、去年大ヒットした映画を彷彿させる馬名なら、こちらは、Steve Jobsのスタンフォード大学での伝説の講演から取ってきたことが明らかな(笑)何とも玄人好みな馬名である*3。
大レースで好走はするものの勝ち切れず“善戦ホース”と呼ばれた父馬を超えるためにあえてこの名前を付けたんだとしたら、社台RHの方々も随分粋だな、と思うわけで、若い頃はもちろん、古馬になってからも「空気を読まない」個性的なレースで勝ち星を積み重ねる馬になっていただきたいものである。
人間だって、意外と、20代、30代前半の時よりも、もう少し年を食ってからの方が、過剰な忖度をせずに振る舞えるようになる、ということがあったりするわけだから。