形にならない「共感」を持て余しつつ。

理想と現実の間には、大きな溝がある。

平和を希求し続けた人々の声は届かず、国際法の秩序を無視した独裁国家への憤りも、声こそ上がれど、窮地に立たされた民主主義国家への直接的な支援には一向につながらない。

本当にがっかりさせられたのは、ロシア軍が侵攻を始めて早々に、湧き上がってきた”大勢決した”、”もう終わり”的な評論家然とした有識者のコメントと、その空気を察した世界各地の金曜日の株式市場の大反騰・・・。

リアルな現実を見れば、まだ首都キエフではゼレンスキー大統領が「徹底抗戦」を叫んで国民を鼓舞しているし、主要都市も陥落には至っていない。

元々、莫大な兵力を持ちながら、戦も、外交上の立ち回りも決して得意ではないのがロシアという国で、それは日本海沖の海戦で小国日本に痛恨の敗北を喫した(しかもさらにがっぷり四つで組み合えば最終的には勝てる戦だったにもかかわらず、内政不安と外交包囲網の前に講和条約を結ばざるを得なくなった)歴史が雄弁に物語っている。

だから、いかに情勢分析に長けた”皇帝”プーチンが率いているとはいっても、戦線が膠着すれば風向きがどう変わるかは分からないし、むしろ風向きを変える方にもっていかないとだめだろう・・・と思ったりもするのだが、依然として各国の動きは鈍い。

おそらくはしたたかな欧州人たちのこと、「一人たりとも兵は出さない」と言いつつも、裏では武器弾薬の供給はふんだんに行っているだろうし、場合によっては義勇兵の送り込みまで仕掛けても不思議ではない。

また、外交より内政の方に目が向いてしまっているように見える米国も、諜報機関だけは淡々と仕事を全うしているはずだ。

では日本は・・・といえば、政府にできるのは首相、外相が声明を出すことくらいで(それすらも今回は後手後手感があるのだけど・・・)、ここはいつもながらの嘆息。あとは、地縁のある企業ならロシア国内の工場の稼働を止める、サプライチェーンを止める、現地企業への支払を止める等々でプレッシャーをかけていく、という手もあるが、全ては自分たちに跳ね返ってくる話だけに、それもそう簡単に強制するわけにはいかない*1

ということで、何もできない国の中で、さらに輪をかけて何もできない立場の人間が何を言ったところで始まらないのだけど、せめてウクライナの人々の抵抗が続いている間は、奇跡のジャイアントキリングを信じてただひたすら祈ろう・・・と思っているところである。武器を持ったところで大した役にも立たない者ができることはそれだけしかないから。

*1:「反社条項」をあれだけ事細かに気にする日本企業が、より高次の規範侵害を犯している他国侵略国家の企業との取引一つ止められないのはいささか滑稽な状況にも思えるが、それが現実というところに何とも言えない虚しさはある。

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