国家の象徴の名を関した伝統の一戦・・・にもかかわらず、春の天皇賞があまりワクワクしないレースになって久しい。
元々言われている「距離が長すぎる問題」というのもあるが、近年ではそれ以上に、「世界を巡れば高額賞金荒稼ぎも夢ではない」この春シーズン、日本に張り付いてローカルGⅠに出走すること自体が”もったいない”と考える陣営が増えてしまっているような気がしていて、結果、昨年の覇者・ジャスティンパレスも、昨年国内を賑わせた古馬勢も軒並み出走回避、という状況になっているのは大阪杯と同じ構図なわけで、今年も何とも微妙な気持ちで馬柱を見つめていた。
もちろん、一線級の馬が出ていようがいまいが、春の天皇賞が優勝本賞金2億2000万円の伝統あるGⅠであることに変わりはないから、日本に残った馬たちにとっては、悲願のタイトル奪取と次のシーズンに「主役」に躍り出るための絶好のチャンスであることもまた事実。
そして、今回も昨年のダービー馬ながら、サウジ、ドバイに出走した馬たちに大きく水をあけられた感のあるタスティエーラが大阪杯に続いて果敢に出走し、さらに昨年の菊花賞馬・ドゥレッツァも金鯱賞を叩いて満を持して出走、ということで、個人的には期待していたし、多くのファンもここで「次に向けた世代交代」が起きることをひそかに期待していたはず*1なのだが・・・。
終わってみれば、一昨年のこのレース3着馬で、一頓挫あった後再び連勝街道に乗っていた6歳馬テーオーロイヤルが1番人気に応えて堂々の優勝。さらに今年初重賞勝利を挙げたばかりの5歳馬ブローザホーンが鋭く差して2着に食い込み、3着に入ったのは、このレース昨年まで3年連続2着だった7歳馬ディープボンド。
近走での上昇度に過去の戦績を合わせて考えれば、予想できない結果ではなかったと思うのだけれど、その一方でタスティエーラ7着、ドゥレッツァに至っては15着惨敗*2という結果を見ると、大阪杯の悪夢再び*3という感じで何とも言えない気持ちになる。
リバティアイランドが国内戦線に戻ってくるまでこのまま「弱い4歳世代」の汚名に甘んじるのか、それともこのレース、14番人気で4着に食い込んだスマートファントムのような「遅れてきた逸材」に希望を託すのか。
いずれにせよ楽な道程ではないが、今年が終わる頃には、”やっぱり古馬は4歳世代”と言われるような逆転劇が起きることを今は密かに期待している。