白き女王は敗れども。

今年の夏競馬はいつになく面白い気がする。

第7波の真っただ中ながら、どこのローカル競馬場にも観客が戻り、ラジオ越しでも歓声が聞こえる。それが久しぶりの高揚感につながっているのは確かだが、それ以上に”役者”が増えたことが大きい。

いつもならリーディング首位をひた走っていたはずのルメール騎手の”異変”。

代わってトップに立つのは、今年こそ、の川田将雅騎手だが、関東勢では横山兄弟に戸崎騎手、関西勢では松山騎手、福永騎手といったあたりが、三場で分かれてしのぎを削りながら追いすがり、大ベテランの武豊騎手も、ここに来て往時を彷彿させる勢いで勝ち星を積み上げる。

30代半ばにしてブレイクした感のある丹内騎手が見事400勝に到達したかと思えば、土曜日には4年目の菅原明良騎手が怒涛の4連勝。

そして何より、GⅠ騎乗要件クリア、という「節目」を土曜日に無事クリアし、日曜日には「小倉で勝つならこれしかない」と言わんばかりの向こう正面捲りで連日の勝利を飾った今村聖奈騎手の存在が、ターフの変化を際立たせている。

馬柱の方に目を移せば、今年の2歳戦から父・ディープインパクトが事実上消え、2歳のサイヤーランキングは大混戦模様。

函館2歳Sでの産駒勝利で、新ひだかアロースタッド繫養中のビッグアーサーが「暫定首位」になった時はさすがに仰天したが、今月に入っても依然として2位キープ、さらに首位はエピファネイアだから、サンデーでもキンカメでもない血統がワン、ツーというこれまで非常に新鮮な状況。

もちろん、生産牧場を見れば例年の如くノーザンファームの勢いは止まっていないし、サンデーレーシング以下、ノーザン系のクラブ法人馬の活躍も目立つ。

ただこれまで”一辺倒”だった何かが、ちょっとずつ変わり始めた兆しは、今確かに感じられる。


小倉メインの北九州記念、16番人気のボンボヤージ*1&川須騎手*2のまさかの大駆けに沸いた20数分後、札幌記念で連覇を狙った白毛馬が敗れた。

「距離の壁」があったとはいえ、何度見ても映える、白毛馬がもう一頭いても頭一つ抜けて映える今日本で最も美しい馬が、約束の地だったはずの札幌でファンに勝利を捧げられなかったのは何とも残念なこと。

だが、過去3年、ノーザンファーム追分ファームで、指定席のように上位が独占されていたこのGⅠ級のレースで、日高と新冠の馬がワン、ツー、スリーまで押さえたことの意味はとてつもなく大きい。

そうはいっても、秋になれば、再びルメール騎手が勝ちまくり、ノーザンファーム生産馬たちが美味しいところを持っていく・・・そんな展開になるのかもしれないけれど、今はまだ夏。

この先の”変化”に希望を託しつつ、もう少し夢を見ていられれば、と思っているところである。

*1:この馬の名前を聞くたびに浜崎あゆみの名曲が頭をよぎるのは自分だけだろうか・・・。

*2:デビュー当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった川須騎手が7年も重賞タイトルから遠ざかっていた、というのは驚くほかないことだが、今回の勝利が何かの起爆剤になれば・・・と思わずにはいられない。

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