今年の3歳重賞戦線に異状あり?と最初に感じたのは前週の三連休開催の時だっただろうか。
ここ数年、年明け早々からクラシックにつながる3歳重賞を次々と勝ちまくっていたのは、ノーザンファーム生産馬たちだった。
シンザン記念はあのアーモンドアイから4年連続。フェアリーSもスマイルカナが勝った2020年を除き過去4年で3勝。
ところが今年、蓋を開けてみれば、シンザン記念を勝ったのは新冠・ムラカミファーム生産のマテンロウオリオン。フェアリーSは浦河・杵臼牧場生産のライラックだった。
そして今日の京成杯。
2歳の年末に同じ条件のGⅠができたこともあって、近年では陰の薄くなった重賞ではあるが、昨年はノーザンファーム生産馬が1着・グラティアス、3着・テンバガーと上位に2頭。他の牧場の馬に勝たれた年も、前走で新馬、未勝利戦を勝ったばかりの素質馬を送り込んで2着、3着に食い込みあっと言わせる、というパターンが実に多かった。
ところが・・・
今年、1番人気になっていたノーザンファーム産のハービンジャー産駒・アライバルは、名手ルメールを擁しながら、追い込んで届かずの4着。
さらに人気の一角を占めていた4番人気・ホウオウプレミアも6着。
代わって上位を占めた馬はといえば、優勝した珍名馬・オニャンコポンこそ名門社台ファーム生産馬だったものの、2着のロジハービンは新冠・村田牧場、3着・ヴェローナシチーも新冠・カミイスタット、と新冠勢が上位を占め、ノーザンファームは上位3頭に一頭も入らない、という久々の椿事となったのである。
このレースに関して言えば、出走したのは前記2頭しかいなかったし、昨年末のホープフルSにエース級4頭がこぞって出走したからなおさら手薄になったのだろう、という見方もできる*1。
古馬に目を移せば、今週だけでも、愛知杯で優勝、日経新春杯で1.2フィニッシュ、と、依然として”ノーザン帝国”の勢いはとどまるところを知らない。
ただ、今年に入ってから、人気を背負った3歳新馬戦、未勝利戦で今一つ振るわず、勝ち星が伸び悩んでいるルメール騎手の様子などを見ていると、そろそろそんな帝国にも陰りが出てきたんじゃないかな、とまた疑いたくもなる。
こういうことを言うと、次の週からルメール騎手も、ノーザンファーム産の馬たちも怒涛の如く勝ちだす、というのがこれまでの傾向だったりもするから*2、まぁこんなことを言えるのもあと数日に限られているのかもしれないが、早来・千歳の”血の飽和”に、それも受けた良血種牡馬、繁殖牝馬が向かう先の広がり、と、いつ変化が起きても不思議ではない環境は整いつつあるだけに、おそるおそるでも、この先もう少し様子を見てみたいな、と思っているところである。
*1:もっとも、あのレースでは、その中でもエースだったはずのコマンドラインが惨敗する、という悲劇もあったのだが。
*2:2年前の夏も瞬間そんな雰囲気を感じさせつつ(たった2日間、されど2日間。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)、その次の週にはシラユキヒメ血統の2頭が東西で重賞を勝つ、という定番に戻った(輝きだした「白」の系譜。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)のだった。