信じられなくて、ごめん。

3歳春の頂点に向けた長い戦いが終わり、今週から「夏競馬」モードに突入した中央競馬

2歳戦が幕を開けた1週目に安田記念が来るのも、いつものカレンダーどおり。

世界的に見ても極めて層が厚い芝マイルの舞台だけに、例年同様豪華なメンバーが揃い、5番人気までが単勝10倍を切る拮抗した状況となった。

ずらりと並んだフルゲート18頭の馬の中で、今どの馬が一番好きか?と聞かれたら、自分は迷わずソングライン、と答えただろう。

誇るべき同窓の林徹調教師が手塩にかけて育てたキズナ産駒。末脚の切れ味は抜群、牝馬ながらコンスタントにレースを使い続け、海外遠征にも度々挑んでいる。

前年のこのレースで悲願のGⅠ初タイトルを手に入れ、前走のヴィクトリアマイルでもソダシとの死闘を制して堂々の制覇。クラブの規定で来春の繁殖入りが決まっていて、今年の一走一走が”最後の”挑戦となる馬だからこそ、ゴール板を先頭で駆け抜ける姿を見たい思いはあった。

だが、いざ馬券を買う、その段になって心の中にリアリスティックな感情が芽生える。

ここ数年、「歴史に残る牝馬」が挑んでは跳ね返されてきたのがこのレースで、あのアーモンドアイも、グランアレグリアも、ヴィクトリアマイル優勝の勢いそのままに乗り込んで、それでも手が届かなかった。

いかに前年覇者でコースとの相性も抜群とはいえ、中2週の決して楽ではないローテーションで連勝できるほど、マイルの世界は楽ではない。それをやったのは、常識を飛び越えた2009年のウォッカただ一頭。そして、ソングラインは間違いなく名馬なれど、ここまで名前が挙がった歴史的名牝と比べれば「普通の馬」。

特に3歳秋以降は、強い勝ち方をしたと思ったら次のレースで馬券に絡めずに敗北、という凸凹を繰り返していて、2戦続けて結果を出せたことがない。

だから、ここは迷わず消し、ソダシに夢を託しつつ、シュネルマイスター、セリフォス、ガイアフォースといった堅実そうな牡馬たちを抑えにいったのだが・・・


最後の直線で伸びてきたサンデーレーシングの勝負服2頭、特に戸崎騎手が操る桃色帽子の馬が抜群の脚色で先頭に突き抜けたのを見た時、自分は激しく後悔したがもちろん後の祭り。

14年ぶりに歴史は塗り替えられ、ソングラインは3たびGⅠの美酒を味わうことになった。

これも勝負のアヤ、自分の見る目のなさを反省するほかないのだが、もしこの夏以降、もう一度この馬に夢を託せる機会がめぐってきたならば、次こそは・・・という思いでいることを、忘れないようにここに書き留めておきたいと思っている。

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