「最強牝馬決定戦」も今や昔。

エリザベス女王杯」と言えば、かつては3歳(当時4歳)牝馬三冠レースの最終戦

その後、秋華賞の創設に伴い、3歳馬と古馬が相まみえるレースへと変容を遂げたが、それでも牝馬にとって「最強」の称号を得るためのレースであることに変わりはなかった。

だが、今年第48回を迎えたこのレース。冠になっている英国の女王がこの世を去られてはや1年以上が経過した・・・から、ということではないのだろうが、勝った馬に「最強牝馬」の称号を与えるには、どうにもメンツが微妙だった。

前年の覇者、ジェラルディーナは今年も出走していたが、この馬の5歳になってからのこの一年の戦績はいまいちパッとしない。

他の古馬陣を眺めても、近走で目につく実績を残しているのはようやく遅咲きの血が開花し始めた感のあるヴィルシーナの娘、ディヴィーナ(府中牝馬S優勝)くらいで、それ以外は、牝馬限定重賞でも今一歩な感じの顔ぶればかり。

いつもならクラシックを賑わせた3歳勢がそこに割って入るところだが、今年は絶対女王のリバティアイランドが早々とジャパンカップ挑戦を表明して不在となっており、馬柱で存在感を発揮しているのはオークス2着、秋華賞3着のハーパーくらい。

一方、3歳でも春のクラシック路線とは全く無縁のローテーションを歩み、唯一の重賞挑戦が2着に入った前走ローズSだけ、というブレイディヴェーグが驚くべきことに1番人気に支持されていた。

確かにローズSコースレコードを塗り替えたマスクトディーヴァに唯一迫れたのはこの馬だけだったし、そのマスクトディーヴァが秋華賞でリバティアイランドに一瞬あわや、と思わせる豪脚を発揮した、という経緯もあるから、”勢い重視派”の賭人たちが興味を示しても不思議ではないのだが、そうはいってもまだ1勝クラスのレースまでしか勝ったことのない重賞未勝利馬であることに変わりはない。

ゆえに、さすがにこれで勝たれてしまっては、「GⅠ」の看板が色あせてしまう・・・という個人的な思いから、この1番人気の馬を蹴飛ばして、府中牝馬S組を中心に3歳馬を絡めて・・・といろいろなパターンを考えてはみたが、しっくりくる組み合わせはどうにもこうにも見つからず。

そして、グダグダやった末、ようやく買い目が決まってネット投票の画面に遷移した時に現れたのは、「指定されたレースは締め切りになりました」という無念の表示だった・・・。


結果的にはブレイディヴェーグが好位抜け出しから文句なしの快勝。逆に一発に期待したアートハウスや、絡めるつもりだったディヴィーナ、ジェラルディーナ、といったメンバーは軒並み討ち死状態だったから、買えなくて良かった、ということになったわけだが、レースを見終わった後は、安堵とともに、「伝統のエリ女」はどこへ行った・・・というため息しか出てこなかった。

まぁ、アーモンドアイやクロノジェネシスの全盛期にラッキーライラックがこのレースを連覇した時にも同じことは思ったし、今の牝馬のトップ層が天皇賞(秋)ジャパンカップ(突き抜けるとブリーダーズカップまで・・・)に出ても互角に戦えるくらい強くなったからこそこういう話になっている、と考えれば、それはダイバーシティの観点からも実に喜ばしい話ではあるのだが、つい10年、20年くらい前、一流牝馬たちが淀で火花を散らしていた時代を知る者としては、もう少しレベルの底上げがあっても良いかな、という愚痴もここに書き残しておくことにしたい。

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