Jリーグ最終節。
テレビでセレッソ大阪vsFC東京戦を見る。
自分が“期待”していたのは、
劇的な終幕、それも“悲劇的な”終幕。
それはたぶん、テレビの前の多くの視聴者も同じだっただろう。
そんな視聴者の悪趣味な“期待”を裏切ることなく、
後半ロスタイム、“敵役”FC東京・今野の同点ゴールで、
セレッソの夢ははかなく消えた。
降って湧いたような、
今年のセレッソの終盤の快進撃だったが、
それととともに必ず話題に上ったのは、
5年前のファーストステージで、
同じく最終節でセレッソが優勝を逃した、という“悲劇”。
ちょうどその日、国立競技場で、
“ホーム”*1のジェフ市原を応援していた自分は、
自分の応援するチームが目の前で気前良く勝利を献上したのを見届けた上に、
試合後、オーロラビジョンの中のセレッソ大阪が、延長戦でフロンターレに屈し、
直後、敵方のマリノスイレブンが歓喜の渦に巻き込まれるのを
指をくわえて眺めていた・・・。
春以外は“季節外れ”のユニフォームを身にまとって
一年間プレーするこの大阪のチームには、どうしても悲劇がまとわりつくようである。
今日の試合に関して言えば、
いかにも相手が悪すぎた。
ベテランGK、吉田のぎこちない動きや、
ゼ・カルロスのPK失敗を見るまでもなく、
優勝の重圧がセレッソイレブンに重くのしかかっていたのは明らかで、
そんな中、ツボにはまると止められないFC東京の攻撃陣を相手に回して、
何度も一方的に押し込まれる時間帯を作りながらも、
二度先手を奪った、という事実は、
評価されてしかるべきだろう。
もっとも、森島寛晃選手にとっては最後の優勝のチャンスだったかもしれないだけに、
もう少し長くピッチに残しておいてほしかった・・・*2。
終わってみれば、ガンバ大阪が劇的な優勝。
発足時の10チームの中で唯一タイトルに縁がなかったチームが、
ついに一番大きなタイトルを取った。
ある意味、ガンバの攻撃陣トリオは、
今年のJリーグにとって、一種の象徴的存在だったから、
終盤失速したとはいえ、ある意味優勝に一番ふさわしいチームがタイトルを取った、
と言ってよい。
しかも、ガンバ一筋の松波正信選手が引退するシーズンで、
というあたりが、ドラマに花を添えている*3。
なお、我らがジェフユナイテッドであるが、
得失点差で上位にいるレッズ、アントラーズが揃ってお祭り的快勝*4を
収めたこともあって、
優勝の可能性があったにもかかわらず、中継の中では蚊帳の外状態。
しかも、後半になって唯一相手にリードを許してしまう・・・。
だが、いつもなら、あっさりと星を落としそうな展開で、
ロスタイムに阿部のPKと坂本隊長のど根性ゴールで逆転したあたり、
2年前とは違う、チームの成長を感じる。
スタジアムにいたら、痺れただろう・・・。
願わくば、監督を含め、もう一年同じメンバーでシーズンを戦わせてあげたい。
決して叶わぬ夢なのかもしれないが・・・。
*1:といっても、圧倒的にマリノスサポーターの方が多かったが・・・
*2:堅実な采配で知られる小林監督だが、最後はやはり“守り”の意識が強くなりすぎたように思う。もっとも、誰が監督でも同じ心情になるだろうから、決して責められないことではあるが。
*3:今の学生世代の方々には想像が付かないかもしれないが、高校サッカーのスター選手だった帝京高校の松波がどのチームに入るか?というのは、当時、一般のニュース番組(NHKの7時のニュースでも)でも取り上げられるような大きな話題になっていた。ドラフト制度がなく、“いつの間にか”入団先が決まるJリーグのシステムでは極めて稀なことであり、実際、それ以降、高卒選手の入団先があれほど話題になったことはない。発足当時のJリーグのニュース性の高さゆえの出来事でもあった。