トリノの光

早起きしてトリノ五輪の開会式を見ようと思っていたのだが、
案の定寝過ごした。


イタリアの人が手がける演出だけあって、
期待していただけに、ライブで見られなかったのはいかにも残念。


ニュースで取り上げられていた氷上を走るフェラーリだとか、
母国の英雄トンバ&ベルモンドの聖火リレーだとかは、
想定の範囲内だったが、
もっと細かいところの演出も、相当凝っていたのであろう。


夕方にハイライトは流れるようだが、
後で編集された映像を見ただけでは、どうしても感動は伝わらない・・・。


競技の方は、今夕から本格的に始まるようだが、
個人的には、“長野世代”のベテランたちが、
代表選手として多数名を連ねているのが嬉しい。


トリノ2006プレビュー」号だった先週発売のNumber誌でも、
安藤美姫選手を筆頭とする女子フィギュア陣や、
今井メロ加藤条治といった若手選手達に混じって、
岡部孝信選手(1970年生まれ)、
岡崎朋美選手兼主将(1971年生まれ)、
清水宏保選手(1974年2月生まれ)といった「元気な30代」に
多くのページが割かれている*1


彼らほどの注目こそ浴びていないが、
他にも、ジャンプの葛西紀明選手(1972年生まれ)*2
スピードスケートの田畑真紀選手(1974年生まれ)
モーグルの畑中みゆき選手(1975年生まれ)、
ハーフパイプ山岡聡子選手(1974年生まれ)、
ショートトラック寺尾悟選手(1975年生まれ)、
田中千景選手(1973年生まれ)、
クロスカントリーの蛯沢克仁選手(1972年生まれ)、
横山寿美子選手(1974年3月生まれ)
といったあたりが、「名も実もある」ベテランとして
名前を連ねている。


メディアはどうしても若い選手にスポットを当てがちだが、
今の30代の選手たちは、長野五輪に向けた強化策の中で、
素質を見出され、早い時期から国際経験も積んでいる選手たちだけに、
侮ってはいけない*3




自分はかつて、五輪直後の長野に何年か駐在していた。


20世紀最後の“お祭り”に沸いた“国際都市NAGANO”も、
ピンバッジを売っていた外人さんたちの滞在ビザが切れるのと
軌を一にして(笑)、かつての“田舎町”に戻り、
一世一代のスポットライトと声援を浴びた選手達の多くは、
地元の先生や公務員、そして草の根プレイヤーの道を進むことになった。


そんな冬季五輪アスリート達の現況について、
地元の報道に触れ、地元の人たちの“証言”を仕入*4
仕事の合間に競技会に駆けつけて*5
自分のウェブサイトで綴っていたこともあるから、
冬季五輪に対する思い入れは、それなりに強い*6


現在の日本選手団が置かれている状況を考えれば、
今大会で、メディアが騒ぐような評判どおりの結果を残せるとは思えない。


モーグルに関しては、上村・里谷両選手が本調子になく、
特に上村愛子選手の怪我の状況は相当深刻なようだし、
ハーフパイプはいかにW杯での実績があっても、
米国のリアルプロボーダーが参入する中で、
「採点競技」の理不尽さに泣かされる可能性は高い。


フィギュアスケートは、荒川か村主のどちらかがメダルを取れれば御の字で、
スルツカヤの悲願の金メダルの瞬間や
クワン、リアシェンコの華麗な滑りを見届けることに精力を注いだ方が、
生産的かもしれない。


そして、スケートにしてもノルディックにしても、
長野の“遺産”にすがっている感は否めない。


だが、“長野の栄光”を背負って戦う
ベテラン選手達*7の(おそらくは)最後の勇姿を見届けるだけの価値は、
十分にあると思っている


ちなみに、自分としては、やはり“長野枠”の選手達に、
熱い声援を送りたいところ。


“白馬のジャンヌ・ダルク上村愛子選手*8は別格として、
あとはスピードスケートの今井裕介選手(佐久長聖高出身)、
そして、中信地区の一大財閥、アルピコの看板を背負って滑る親子鷹、
外ノ池亜希選手*9と、
吉井小百合選手の東海大三高先輩・後輩コンビなどに、
注目している。


時差の関係で、ビデオテープと格闘せざるを得ないのが、
少し辛いところではあるが・・・。

*1:清水選手のコメントが相変わらず超常的(かつ強気)なのが面白い。ライターの筆によるところも大きいのだろうが。吉井妙子「清水宏保−不調、低迷、すべて計画通りです。」

*2:もちろん原田雅彦選手も(笑)。

*3:これは、98年以降に長野と北海道を襲った大不況と五輪の“反動”のせいで、それ以降の選手たちが、一部の指定強化選手を除けば、遠征すらままならない状況で競技生活を続けなければならなかったことの裏返しでもある。

*4:別に集めなくても、狭い田舎のこと、職場のおじさん、おばさんの自慢話のタネと言えば、決まってそのあたりの話になる(笑)。

*5:“雪のゲレンデ”という非日常的な環境で競技が行われるゆえに、選手とサポーターとの距離が非常に近いのが、冬季五輪競技の面白さでもあった。

*6:自分自身ウィンタースポーツの競技経験がないだけに、純粋に“観客”として楽しめる、というのも一因だろうか。

*7:いわば“長野の残党”ともいうべきか

*8:兵庫出身だが、高校は白馬高なので、彼女も立派な「長野枠」である。

*9:外ノ池選手は昨年不振をかこっていたが、ここに来て復活し、無事代表に滑り込んだ。かつて日本女子短距離陣最強のオールラウンダーと称され、ソルトレイクでは不本意ながらも7位入賞した選手。Number誌に記事が載っていたのも嬉しい。折山淑美「大人になれた私」。

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