同窓の縁

三越伊勢丹経営統合が正式に決まった。


こういう話の“裏”に何があるのかは皆知りたがるもので、いつものように日経新聞でも「ルポ誕生メガ百貨店」と銘打ったコラムの連載を始めているのだが、その第2回で目を引いたのが以下のくだり。

「ライバル百貨店のトップが酒を酌み交わしながら話すのは、二人が全国有数の進学校開成高校の同窓であることが大きい。高校時代、武藤はラグビー部、石塚は剣道部に在籍。在学中は面識がなかったが、二人をつないだ人物がいる。三菱UFJ証券会長で伊勢丹監査役も務める五味康昌(64)だ。実は五味も開成高校出身。社長就任後、石塚は開成高校剣道部の先輩を通じて面識を得た五味に武藤を紹介された。それ以来、二人で、ときには三人でひざをつき合わせて関係を深めてきた。」(日本経済新聞2007年8月25日付・朝刊第11面)

元々自由奔放な“非組織人”がデフォルト的生き方になっているあの学校が、こういう生臭いビジネスをつなぐ“糸”として取りざたされること自体珍しいのだが、関係者のコメントを聞くまでもなく、

「両社長が開成高校出身ということは今回の統合と直接関係がない」

というのが、まぁ本当のところだろう。


大体大企業のトップをやっているような人間同士であれば、二本、三本と糸を辿っていけば、何らかの縁にめぐり合うもので、そんな狭い世の中で、たまたま接点が「高校」にあった、というだけの話。


業界再編のような野望を持った人間であれば、母校人脈へのこだわりを持っていようがいまいが、利用できるものは利用するのは当然のことで、単なる“手段”を殊更に大きく取り上げる報道姿勢にはあまり感心できない(笑)。



なお、余談になるが、素人目に見ても到底うまく行くとは思えないこの合併*1


しかも経営統合に際して余計なプレミアムをつけてくれたおかげで、株価がウナギ下がりの一方当事者の株主たる筆者としては、同窓の誼で今からこの話チャラにしてくれないか、と切に願う次第である・・・。

*1:顧客層や店舗配置が異なるのは、両社の目指しているところが異なるのだから当たり前の話なのであって、それゆえに“相互補完”がかなう、と主張する人たちには、百貨店においてもっとも重要な“ブランド”というものをどのように理解しているのか、とことん問うてみたい。

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