ここ数年、コンビニで売っている飲料やお菓子系の商品には、いわゆる「食玩」をくっ付けるのがブームになっている。
そんな中、今コンビニの飲料棚で異彩を放っているのが、『ワンダゼロマックス』(アサヒ飲料株式会社)のキャンペーンで、缶コーヒーを買うと漏れなくついてくる「プルバックカー」(写真)。
とりあえず自分が買ったのはホンダの「S2000」(黒)とダイハツの「Copen」(黄色)が付いた缶だったのだが、その他にもトヨタ、マツダ、スズキ、と言ったメーカーの車のミニチュア(「オープンカーコレクション」)が並んでいる*1。
さっそく、持って帰って開けてみたのだが、ただでくっ付いてくる割には良くできているし、床の上を転がすとどこまでもすっ飛んでいくような軽快な動きを見せてくれる。
“子供の頃チョロQ欲しかったのに買ってもらえなくて友達のを物欲しげに見てた”筆者としては、これが“おまけ”で手に入る時代になったのだなぁ・・・というのが何とも感慨深い。
ところで、自分が注目したのは、これらの食玩のパッケージに付いているライセンス表示。
ホンダの「S2000」を見ると「Honda Official Licensed Product」と書いてあるのだが、ダイハツの「Copen」には、「Approved by DAIHATSU MOTOR CO.LTD.」とある。
他のメーカーを見ても、「Approved」と「Licensed」で分かれており(トヨタ、マツダは前者、スズキは後者)、同じミニチュアカーで何故ライセンス表示がこう分かれるのか、というのは気になるところだといえるだろう。
元々、こういった自動車の形状をモデルにした商品を典型的な「知的財産権」で捕捉するのは困難だと言われていて、著作権で保護しようとすれば「美的鑑賞性を欠く」「意匠法の領域」といった理屈で保護が否定されてしまうし、かといって意匠権で保護できるか、といえば、そこにも疑問が呈されているのが実情である*2。「立体商標」なんて話にもならない(笑)。
それで、業界では“商品化権”なるいかがわしい(笑)権利が実務上用いられることになるわけで、上記のようなライセンス表示の“ブレ”も、このような「商品化権」を権利として堂々と主張するか、あるいは、ちょっと控えめに主張するか、といった会社ごとのスタンスがにじみ出ているのかなぁ・・
などと考えてみるとなかなか興味深いものがある。
気になった方は、一度コンビニで手にとって見て欲しい。
なお、肝心の缶コーヒー「ワンダゼロマックス」のお味は、と言えば、「次世代缶コーヒー」と銘打っているだけあって、なかなかサッパリとした旨味。
「糖分ゼロ」と謳いつつ、ミルクの甘さがほんのりと染み渡るタイプのコーヒーなので、ブラック党には舌打ちされるかもしれないが、昔の“微糖”コーヒーのベタベタな甘さに比べれば、数段進化していると思う*3。
(参考)
ワンダサイト
http://www.asahiinryo.co.jp/wonda/zm/index.html
と、最後にまとめてみたところで種明かしをすると、これ、実は、サイバーエージェント系の会社がやっている「Cyberbuzz」という“ブログと広告の連動企画”である。
“何とか2.0”の時代、ということもあって、自分もちょっと体感してみたく試してみたのだが、普通に商品の宣伝文書くだけだとつまらんので、ここは少し企業法務戦士風味で行ってみようか、と捻りを入れてみた*4。
こんなものでいいのかしらん・・・?
*1:お気に入りの車を探すために、ごそごそと棚をあさっているとちょっと怪しい人になってしまうので注意。
*2:仮に、「おもちゃ」を意匠に係る物品として指定すれば保護できる、という前提に立ったとしても、自動車メーカーが自己の製品意匠すべてを「おもちゃ」で保護しようとすれば甚大なコストがかかるし、権利存続期間も短いから、商品としての価値が高いかつての名車ほど保護されない、というジレンマに陥ることになってしまうだろう。
*3:筆者の主観で言えば、同じワンダの「モーニングショット」に近い感じなのだが、実のところ、自分はあのコーヒーを朝飲んだためしがない・・・。夜中22時頃、オフィスのドリンクスタンドでもうひとふん張りの景気づけ。こんな生活そろそろ脱出したいのだが・・・(というのはただのグチ)。
*4:読者の中には、広告系ブログが嫌いな方もいらっしゃるだろうが、どんな硬派雑誌にもいわゆる買い取り広告記事が混ざっていることだし、たまには・・・と言うことでご猶予いただきたい。