スポーツネタが続いて恐縮だが、スポンサー契約も絡んで混迷を極めている五輪代表競泳チームの着用水着問題について。
土曜日の記録会では、森田智己選手と伊藤華英選手が試着し好記録が出たと話題になっていた。
この日の記録会では、中村礼子選手、奥村幸大選手らが着用し、これまた揃って好記録が出た模様。
ビジネス法務的観点からみれば、最終的に公式スポンサー(=オフィシャルサプライヤー)3社の水着が使われなかった場合に契約上どのような処理がなされるのか、というのが最大の注目点になるわけだが、そもそも、スポーツ用品メーカーがこの種のスポンサーになっている理由が、
「オリンピック代表選手も着ている素晴しい水着」
であることをアピールして自社製品のブランド力を高めることにあるのは言うまでもないわけで、にもかかわらず、これだけ「従来の水着の機能が劣る」という情報が一人歩きしてしまうと、もはや本番で代表選手が着用しようがしまいが手遅れ・・・という感がしなくもない。
インタビューに答える水連幹部や、一部の選手達のコメントが、日々果てしない“逆宣伝効果”をもたらしている状況だけに、メーカー各社の上層部としてはハラワタ煮えくり返るような思いだろうが*1、かといって、契約を盾に自社製品の着用を強要して、本番で日本競泳陣が惨敗するようなことになれば、それこそ、しばらく消えない“戦犯”の汚名を背負いこむことになってしまうことも予想される。
これが“プロジェクトX”の世界であれば、
「五輪を直前に控えた○月○日、スピード社の水着の衝撃が日本列島に走った」
↓
「軽い。これでは到底勝てない・・・」
↓
「××は言い放った。『○○日以内に製品を改良しろ。でなければ、貴社の製品を五輪の舞台で使うことはできない!』」
↓
「○○は開発チームを集めた。そして、一言呟いた。」
「『これは生きるか死ぬかのたたかいだ。俺達の技術力を世界に見せてやれ』」
↓
「△△は、寝食を忘れてありとあらゆる素材を試した。そして・・・・」
↓
♪つばめよ〜高い空から〜 教えてよ〜(以下略) by みゆき姫
となるわけだが、今回ばかりは開発期間のリミットも極めて厳しそうだし、過度の期待を寄せるわけにもいかない。
何のかんの言っても、プレッシャーのかかる大舞台のこと。水着よりもっと、大事なものがあるんじゃないか・・・という気もするのであるが、一流のレベルで活躍する人間の心は、その人にしか分からないのもまた事実なわけで。
この際ビジネス上の観点は忘れて、大舞台で当人に悔いの残らないような選択の機会を与えてあげて欲しい・・・と思ったりもしている。
(法務を業とする人間がこんなことを言っていると、怒られてしまいそうだが)
*1:スポンサー契約の詳細を見たわけではないが、他社製品を実際に着用するか否かにかかわらず、これまでの競技関係者の言動自体が既に契約解除事由に相当する、と言われても仕方ないのではないか・・・。