3人の子供が亡くなった福岡の飲酒運転追突事故(2006年)で、高裁が一審を破棄して危険運転罪を認定し、懲役20年、という重い判決を言い渡した、というニュース。
判決のうち、記事で引用されている部分を見ると、
「現場の道路にはこう配があり長時間の脇見運転は不可能。被告が前方に視線を向けながら被害車両を認識できなかったのは、飲酒の影響以外には考えられない」
(日本経済新聞2009年5月15日付夕刊・第1面)
として、危険運転罪の構成要件該当性を認めたようである。
実は、この事件については(自分でも忘れていたのだが)、一審判決が出た際にエントリーを立てていたので、今改めて読み直してみた(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20080108/1199836142)。
うーん・・・どうなのだろう。
全くの初心者でなければ、どんな道だろうが「(飲酒の有無にかかわらず)ボーッとしながら」運転する可能性は捨てきれないことを考えると、事故直後の被告人の呼気アルコール濃度が一定基準を超えていない本件で、情況証拠をどんなに積み重ねても「飲酒の影響」であることに合理的疑いを差し挟まないほどの立証はなしえないのではないか、という疑問は未だ残る(記録を見たわけではないので憶測の域を出ないにしても、だ)。
そして、何よりも“懲役7年6月”が軽い、という前提で、法定刑の軽重が論じられていたことへの違和感も、いまだに消えない。
量刑も含めて突っ込みどころ満載な判決のように思えるだけに、個人的には上告審の判断に期待したいところである。