ダイワスカーレットやディープスカイの活躍などもあって、サンデーサイレンス後継種牡馬としてNo.1の地位を確立しつつあったアグネスタキオンが、急性心不全で今年の種付けシーズンの終わりを待たずして早逝してしまった。
享年11歳。
今世紀に入ってから走った馬の中ではジャンポケと並んで思い入れが強い馬だし、皐月賞までの圧倒的な勝ち方は、ディープインパクトよりも競走能力は上だったんじゃないか、と思わせるようなパフォーマンスだったから、まだまだ優秀なDNAを残せたはずの年齢でこの世を去ってしまったのは何とも残念である*1。
もちろん、一番痛いのは、看板馬を失った社台グループなんだろうけど・・・*2。
後に残された看板馬の“血の濃さ”ゆえに、そこそこの結果は挙げられても(サンデーサイレンスのような)大きな爆発力は期待できなくなっている現状をどう考えるか。
このままいくと、「サンデーサイレンス・ブライアンズタイム導入以前」の状況に後戻りすることも避けられないわけで、日本競馬界、特に生産界を埋没させないためには、意図的にマイナー血統馬をプッシュすることで、よりインパクトのある“血の爆発”を目指していくしかないように思える*3
新しい鉱脈を探し当てるまで迷走することも覚悟の上、と割り切れれば、もう少し楽なのだろうが、そこまで行く間に、しばらく混乱が続くことは避けられないように思われる。
*1:血統的にもNorthern Dancerの血が濃く入っていて日本の繁殖牝馬との組み合わせが難しいディープよりも、ロイヤルスキー、リマンドといった“あまり濃くならない”血に支えられたタキオンの方が、多くの牝馬との相性は良かったんじゃないかと思う。
*2:エルコンドルパサーしかりエンドスウィープしかり、ここ数年社台が導入した看板種牡馬が、結果を出し始めた頃に急逝するケースが相次いでいる、というのは何とも不吉なことだ。吉田一族の底力は、サンデーサイレンスをも凌駕するはずだから、これくらいの不運で直ちに競走馬ビジネスの屋台骨が揺らぐことはないにしても、それなりに大きなダメージとなっているのは間違いないだろう。
*3:個人的にはウォーエンブレムに期待しているのだけれど、コンスタントに種付けができる状況にならない限り、1頭で「革命」を起こすのは難しいだろう。後はマンノウォー系のマイナー種牡馬にでも期待するしかないのだろうか・・・。